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人気料理研究家・藤井恵さんが使う甘酒、塩麹、魚醤。発酵調味料を使った絶品フライドチキンのレシピも紹介!

発酵の力によって生み出された調味料には、麹や乳酸菌の力による旨味とともに、健康効果の高い成分も含まれています。おいしくてヘルシーな料理で人気の料理研究家はどんな発酵調味料を使っているのか? 藤井恵さんに「隠し味として使うと料理の味がぐんとランクアップする」とおすすめの、旨味たっぷりの発酵調味料を教わります。

麹の力で生まれたおいしさで、脱マンネリ料理!

テレビや雑誌で大活躍の人気料理研究家で、管理栄養士の藤井恵さん。藤井さんの料理は、どれも基本を大切にしたもの。そこに「いつもとちょっと違うひと工夫」をプラスすることで、ついマンネリになりがちな「我が家のごはん」を、新しい味わいにしたり、ごちそう風に仕上げたりしています。

そんな、気負わない、手軽だけどびっくりするほど味わい深いおいしさが詰まったレシピが、世代を問わず熱い支持を受けています。

 

そして、こうした藤井さんのレシピ作りにひと役買っているのが、豊かな風味と個性的な味わいを持つ発酵調味料です。

 

「発酵調味料のよいところは、その味の深み。麹の力で生まれたアミノ酸が旨味のもとになっています。例えば、甘酒。砂糖はとても甘味が強いですが、代わりに甘酒を使うととてもまろやかな優しい味わいに。麹の働きによって生まれたビタミンB群やオリゴ糖も摂取できます。ビタミンB群は代謝を促して美肌をサポート。オリゴ糖は、腸の善玉菌を元気にして、腸内環境の整備に役立ちます。また、肉や魚に下味をつける際に塩麹を使うと、単に塩味をつけるだけでなく、優しい甘味も加えながら素材の旨味を引き出すことができます。肉や魚がふっくら柔らかくなるというのも魅力ですね」と藤井さん。

 

 

今回は甘酒、塩麹、魚醤の3品を紹介していただきました。

 

島根県産米コシヒカリ米麹を使用した甘酒

島根県で120年以上前から、しょうゆを製造・販売する「森田醤油」の「甘酒 生」。

奥出雲仁多米を中心とした島根県産米を原料に、自社で製麹した米麹と奥出雲の水を合わせて造った、濃厚な味わいを持つ生の甘酒。加熱処理をせずに仕上げています。通常、甘酒には米と米麹を使用しますが、この「甘酒  生」は米麹のみを使用。麹から生まれる酵素がたっぷり入っています。

 

「甘味がしっかりしているので、甘味料として料理に使いやすいです。砂糖の代わりに使用すると、優しい甘味に仕上がります。ドレッシングや酢の物などに生で使用すると、麹のおいしさを存分に味わえます。肉や魚を漬けるとほんのり甘味が増して、柔らかくなります」

「甘酒 生」
森田醤油

 

銘酒「八海山」の酒造りの技術を生かした塩麹

次に藤井さんが紹介してくれたのは、八海山の酒造りの技術を生かした、千年こうじやの「塩こうじ」。

 

「雑味がなくすっきりとした、上品な味わいです。麹特有の香りも控えめなので、いろいろなものに使いやすいです。また塩気もマイルド。素材本来の味を生かす使い方ができます。和風の料理だけでなく、トマトソースの味つけにも。おろししょうがを混ぜた、『塩麹しょうがだれ』にすると、ゆで野菜とあえたり、スープや鍋の味つけにしたり、お肉の下味にも使ったり、とても便利です」と藤井さん。

 

新潟県魚沼地方は、古くから発酵の文化の根づいた土地柄。清らかな水と恵まれた土地で育まれた米を中心に、豊かな食文化を築いています。そんな発酵の町、魚沼から生まれた銘酒が「八海山」。その酒造りで培われた技術を生かした麹を使用した塩こうじです。

「塩こうじ」

千年こうじや

 

 

イタリア伝統の魚醤「コラトゥーラ」を瀬戸内で再現

最後に紹介していただいたのは、イタリアの魚醤「コラトゥーラ」。

南イタリア屈指の景勝地アマルフィ海岸沿いの町、チェターラが発祥といわれる、カタクチイワシの魚醤です。

 

そんなイタリアの発酵調味料を、山口県瀬戸内で再現したのが、「瀬戸内コラトゥーラ」。完全無添加。国産のカタクチイワシを使い、加えているのは塩、酒粕のみです。

 

カタクチイワシは山口県熊毛郡佐賀漁港で10月から12月に水揚げされた新鮮なものを使用。丁寧に下処理し、その日のうちに酒粕と塩に漬け込むので新鮮。木樽で半年ほど寝かせ、3年ほどの熟成期間を経て、丁寧にろ過されます。

 

発酵熟成される過程で魚のタンパク質がアミノ酸(旨味)に分解・凝縮され、塩もまろやかに変化。じんわりにじみ出てくる「旨味」の液体は、にごりがなくなるまで何度も丁寧にろ過することで雑味が払われ、透き通った琥珀色になっていきます(コラトゥーラはイタリア語でろ過物という意味)。

 

「卵かけご飯や温野菜にかけるとおいしいです。また、キムチを作るときに加えると、香りがとてもよくなり、旨味も増します。肉の下味に使うことも多いです。今回はフライドチキンに使用。いつものから揚げよりワンランク上の深い味わいになります」と藤井さん。

「瀬戸内コラトゥーラ」 50ml
宇佐川株式会社 

 

そんな旨味たっぷりで、ちょっぴりイタリアンの味わいが楽しめる「コラトゥーラ」を、みんな大好きなフライドチキンに使ったレシピをご紹介しましょう。

 

【レシピ】レモン・フライドチキン

材料(作りやすい分量)

鶏もも肉:300g
小麦粉:適量
揚げ油:適量

A:
コラトゥーラ:小さじ2
クミンパウダー:小さじ1/2
レモン汁:大さじ2
ガーリックパウダー:少々

 

作り方

①Aの調味料を混ぜ合わせ、食べやすい大きさに切った鶏もも肉を加えてもみ込む。
②①に小麦粉をまぶす。
②170℃に熱した油で②を4~5分、表面がカリッとなるまで揚げる。
レモン風味のさっぱりとした味わいと、コラトゥーラの発酵風味が、肉の旨味をぐんと引き立てる、クセになるおいしさです。ぜひお試しを!

 

・藤井 恵
・藤井 恵さん
料理研究家・管理栄養士
Instagram Instagram

家族の健康を考えたおいしくてヘルシー、簡単に作れるレシピが大人気。近年は更年期世代にフォーカスしたメニュー提案も多い。『藤井恵さんの更年期ごはん 心と体がラクになる食べ方の工夫』(世界文化社)など著書多数。

 

撮影/神林 環 取材・文/瀬戸由美子

 

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