料理家の山本千織さんが代々木上原に拠点を置くお弁当スタジオ「chioben(チオベン)」をご存知ですか? モデルやタレントさん達にロケ弁が大人気で、SNSにもたくさんのお弁当写真がアップされています。最近ではNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも取り上げられました。レシピ本も出版されているんですよ。
味はもちろん、盛り付けや彩りの美しさから「奇跡のお弁当」とも言われています。1度食べると虜になる人続出なのが、春巻きとたこめし。たこめしは生のたこをスライスしてフライパンで炒め、油ごと炊いたごはんに混ぜているとのこと。山椒の風味も絶妙です。春巻きは食べ応えがあるのにさっぱりした美味しさ。どちらのメニューも脂っこさをまったく感じないのは、こめ油を使っているからなのだそう。
「以前はオリーブオイルやごま油をよく使っていましたが、香りが強くなくて美味しいものを探し、こめ油にたどり着きました。たこめしはこめ油で味が完成すると言ってもいいほど、こめ油がないと作れない味になっています。和え物にも欠かせません」と、千織さん。
野菜を茹でるときも、こめ油をほんの少し。軽い口あたりなのにコクが出るんだそうです。
「ご飯を炊くときにお米2合に対して小さじ1杯のこめ油を足すのもおすすめです。沸点が高くなるのでふっくらと美味しく炊き上がり、炊飯器にお米がこびりつきにくくなります」とは、築野(つの)食品工業の築野靖子さん。こめ油についての解説も。
「玄米由来のこめ油は、1反の田んぼからわずか2本しか作れない貴重な油です。その中には、植物ステロール、ビタミンE、医薬品原料にも使われている米特有の抗酸化成分γーオリザノールなど米ぬか・米胚芽由来の栄養成分が凝縮されています」
酸化しにくいので加熱しても油特有のイヤなニオイがなく、揚げ物の衣に油が付きにくいのも特徴とか。そのため冷めても美味しさをキープ。なるほど、千織さんのお弁当づくりに欠かせない油だというのも頷けます。
写真左が「こめ油」(500g・税別¥400)。本社が和歌山にあることから、生産が盛んなぶどう山椒を使用したこめ油も販売しています。緑のラベルが「山椒香味油」(97g・¥900)、赤のラベルは「完熟山椒香味油」(97g・¥1,100)※価格はすべて税別
もうすぐお正月ということで、千織さんが特別に簡単おせち弁当を作ってくれました。お店ではおせち弁当を販売する予定はないとのことなので、これは幻のお弁当ですよ!
「私が作るお弁当には揚げ物の茶色が多いので、緑を必ず添えます。それに黄色と白の食材を入れると見た目が明るくなります」
上のお重の下段左は「蕪と柿の山椒香味油和え」。スライスした蕪と柿を山椒香味油と藻塩だけで味付けしています。下のお重の下段左は、生姜、藻塩、こめ油で味付けした「ほうれん草の白和え」。みかんの皮に入れて盛り付けるとは、特別感が高まりますよね。
「こめ油と山椒は以前から合う味だと思っていました。麺にかけても、スープに入れても温度で香りがより際立ってコクも出ます」と山椒香味油についても大絶賛の千織さんでした。
取材・文/佐藤素美