実はシーズンレス!? でも、やっぱりキノコは秋の味覚の王様!
秋といえば、イメージが浮かぶ食材の1つにキノコがありますね。実は「店頭にあるものはほとんどが栽培もので、実質的には旬はない」とも言われていますが、日本では秋に美味しい天然のキノコ(松茸など!)が出回るせいか、秋らしいブラウン系の色のせいか、秋の食卓にはやはりキノコが似合います。
ファーマーズマーケットのキノコやさんでも、いろいろなキノコが見られます。日本ではなじみのない珍しいキノコも! とはいえ、私のお気に入りはずばり、エリンギです! 日本でも大人気のエリンギは、NYでも、スーパーマーケット、日系食料品店、チャイナタウンでも売っていて、手に入りやすいキノコ。英語では、「キングオイスターマッシュルーム」と呼ばれています。本来の産地、ヨーロッパでは秋が旬と言われているようで、こちらでも通年で見られるものの、やはり秋に旬を迎える他のキノコと一緒に見かけることが増えるように思います。
キノコは低カロリー&低糖質で、なおかつうまみ成分が豊富。エリンギは特に、旨味系のアミノ酸であるグルタミン酸や甘み系のアラニンとグリシンを多く含むとか! 糖質制限中の方には強い味方ですね!
食物繊維もキノコのもつ代表的な栄養素ですが、エリンギは、エネルギーの代謝及び皮膚・粘膜の健康維持に役立つビタミンB2、たんぱく質の代謝に不可欠なビタミンB6も、他の生キノコより多く含んでいます。美味しくて栄養のあるエリンギを、いつもの2倍美味しく食べられる方法をご紹介しましょう。
ファーマーズマーケットのキノコやさんは品質がいいのですが、お値段がちょっとお高め。エリンギは、スーパーではこの半額以下で買えます
主役を張れる! 美味しさと迫力。エリンギのアンチョビ・グリル
焼いたエリンギはそれだけでも美味しいですが、これは特に「ワインにあう!」と深く納得してしまったお勧めグリルです。
エリンギは座りがいいところを確認して、そこが下に来るように縦長に2等分します。切った部分に斜め格子に軽く切り込みを入れ、そこにオリーブオイルを薄くぬり、塩胡椒も少しだけします。あとでアンチョビが加わるので、塩分が気になる方は胡椒だけでいいでしょう。オーブン用トレイにクッキングペーパーをしき、平たい方を上にしてエリンギを置き、摂氏180度で10分焼きます。
刻んだアンチョビと松の実を小さじ1ずつにアンチョビのオイルを大さじ1.5混ぜて、エリンギの上にのせて、さらに5~6分、松の実がうっすら色づく程度に焼きます。松の実が落っこちないように皿にのせて、刻んだパセリをかけて、温かいうちにお召し上がりください。
キノコとアンチョビは相性バツグン。松の実でさらにコクがアップ! 傘も軸も大きめなエリンギだとグッと迫力が出ます
ありそうでなかった、エリンギのヴィーガン・ホタテ仕立て!
2品目は、エリンギのホタテ仕立て。(英語名にある「オイスター」より、日本人には「ホタテ」の方が近く感じますよね!) 一見ホタテのように見えるエリンギのソテーはさまざまあると思いますが、ヴィーガンの方にもお出しできる、私流の作り方をご紹介しますね!
エリンギは根元部分を平らになるように切り落とし、笠の部分も切り落として、2・5センチくらいの長さを目安に等分に切り分けます。切り落とした部分は3品目のソテーに混ぜるなどして活用してください。切り分けたエリンギの上と下に斜め格子状に軽く切り込みを入れ、塩胡椒します。
フライパンを中火で熱し、オリーブオイル少々とヴィーガンバター(*1)大さじ1を入れて、「ホタテ」状に切ったエリンギを並べます。普通のバターでも美味しく作れますが、ヴィーガンの方にも楽しんでいただけて、十分美味しくできるので、今回はヴィーガンバターを使って、純植物性のホタテ仕立てにしてみました。
3分くらい焼いて片側がこんがりしてきたら、ひっくり返してもう片面も焼きます。
両面がこんがりと焼けて、中まで火が通ったらできあがり。全部で5~6分でしょうか。その間、よく洗って水気をふいたパセリの葉っぱとオリーブオイルをフードプロセッサーにかけて(*2)、パセリソースをつくっておきます。
お皿にパセリソースをしき、ホタテのように焼き上がったエリンギを並べます。パセリソースをつけながらいただきますが、これ、本当に美味しいんです! 何故か味もホタテっぽい気がするから不思議! 是非お試しいただきたいです。
ヴィーガンバターはコクが物足りない時がありますが、この料理に関してはとても美味しく出来上がりました!やっぱりエリンギの旨味成分が豊かだからでしょうか
*1 オーガニック食品を多く扱うホールフーズマーケットには、ヴィーガンバターだけでもどれを買ったらいいか迷ってしまうほど、いろいろな種類が売られています。ヴィーガンの方だけでなく乳製品アレルギーのある方も助かりますね。”Non-GMO”(遺伝子組み換えでない)や”オメガ3必須脂肪酸入り”の表示があるものも。日本でも、オーガニック系のお店や通販で見かけるほか、手作りの動画もさまざまに公開されていますね。ご興味あればトライしてみては?
*2 パセリソースは 少量ですと混ざりにくいので、ある程度の量を入れる必要があります。一度では使いきれない場合は、いっそ多めに作っておくと(その時は塩胡椒をせず、使う時の味付けに合わせると便利)、鶏肉や豚肉、ラムのグリル、焼いた白身魚やサーモンなど、いろいろな料理に活用しやすいです。
付け合わせでも、サラダ感覚でも? よく味のしみた「ちぎりエリンギ」のソテー
エリンギのソテーは、美味しく早くつくるコツがあります。それは、長さを半分に切ったら、あとは包丁で切らずに手で細く裂くこと。蒸し鶏を手で細く裂くような感じです。こんにゃくも包丁で切るより手でちぎったほうが味がしみて美味しいですが、同じ原理だと思います。ホタテ仕立てで使わなかった部分は、これに混ぜて使いましょう。
エリンギを裂いたらボウルに入れ、塩胡椒、オリーブオイル、ガーリックパウダーで味付けしてフライパンに入れ、強めの中火で炒めます。包丁で細長く切って炒めてから味付けするよりも、この方が早くよく味がしみます。全体的にしんなりしてきたら火を止め、お好きな味付けで召し上がれ。
一番簡単なのは、お皿にとって香りづけの醤油をほんの少し加えていただくもの。オリーブオイルの代わりに溶かしバターを使うとコクが出ます。
写真は、パプリカを全体にまぶし、ホタテ仕立ての時につくったパセリソースを大さじ2くらい混ぜたもの。パプリカをまぶさずにパセリソースを混ぜ、食べる時にレモン汁を振りかけるのも趣が変わって美味しいです。
食べ終わって残ったオイルがあれば、バゲットにつけて食べても美味しいです