日本ではあまりなじみのない食材のオートミールとはどのようなものなのでしょうか? 管理栄養士で料理研究家の藤井恵さんにお話を伺いました。
味つけ&食感のバリエで毎日飽きずに続けられる
オートミールとは、オーツ麦(えん麦(ばく))を食べやすく加工したシリアル。欧米ではおもに朝食として、古くから食されてきた伝統的な食材です。
日本ではあまりなじみのない食材でしたが、近年「ご飯やパンなどの主食をオートミールに置き換えるダイエット」で人気に。腸内環境の整備など、さまざまな健康効果が期待できる食材としても注目を集めています。
「こうしたダイエット効果・健康効果のカギを握っているのが、オートミールに豊富に含まれている食物繊維。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、オートミールには、米や小麦にはほとんど含まれていない水溶性食物繊維の一種、β-グルカンが多く含まれています」と管理栄養士で料理研究家の藤井恵さん。
水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、一緒に摂取した糖質の消化・吸収スピードを緩やかに。肥満の原因となる血糖値の急上昇を抑えて、脂肪が過剰に蓄積されるのを防ぎます。
消化吸収のスピードが緩やかなので満腹感が持続。間食予防や、朝食に食べると、次の食事(昼食)の血糖値上昇も抑えられるという「セカンドミール効果」も期待できます。
また、糖質・カロリーとも、白米などのほかの主食より低い点も魅力。
「水溶性食物繊維は、きのこや海藻にも含まれていますが、忙しい方には主食として手軽に摂取できるオートミールが力強い味方です。ぜひ、毎日の食事に上手に取り入れて」
オートミールの食べ方として、今、人気なのが、ご飯代わりにする方法(作り方は次回ご紹介します)。水分量や加熱時間を変えればお粥にも。また、オートミールはどんな食材とも相性がよく、さまざまな味つけ・形状で楽しめます。
例えば、「ご飯もの」メニューに、お米と同じ感覚で使ってみましょう。炊飯の手間が不要というのもうれしいですね。具材として、オートミールに不足している栄養素を多く含む食品を選ぶと、ひと皿で栄養バランスのとれたヘルシーメニューになります。
「肉・魚・卵・乳製品・大豆食品など、タンパク質やミネラルが豊富な食材を組み合わせて。さらに、ビタミンA、C、Eを含む緑黄色野菜を組み合わせると、栄養バランスがとてもよくなります。また、腸活を意識するなら、発酵食品もおすすめ。キムチや納豆、ヨーグルトなどと組み合わせれば、食物繊維+乳酸菌という、腸活の最強コンビになります」と藤井恵さん。
また、ちょっと気分を変えて「小麦粉」の代わりに使用するのも楽しい!具材たっぷりのピザやお好み焼きにすれば、糖質控えめの粉ものメニューに。ベーキングパウダーを加えて焼けば、ふわふわ食感のパンに。そのほか、つなぎとしてハンバーグに加えると、食物繊維やミネラルなど、小麦粉からは摂取しにくい栄養素を補給できます。
「ただし、ほかの主食と同様、食べすぎは肥満の原因に。1食分30gを目安に、肉や魚介、野菜を組み合わせて、糖質過多にならないよう注意しながら、オートミールを楽しんでください」
よりおいしく、よりヘルシーに
食べるためのポイント5
- 1.タンパク質食材と緑黄色野菜で栄養パーフェクト
- 2.発酵食品との組み合わせは最強の腸活コンビ
- 3.小麦粉代わりに使えば糖質OFFの粉ものメニューに
- 4.香りのある素材で穀物味を抑え、風味に変化を
- 5.1食30gを目安に糖質過多にならないよう注意
教えていただいたのは
藤井 恵さん
Megumi Fujii
料理研究家、管理栄養士。30代からテレビや雑誌で大活躍。家族の健康を考えたおいしくておしゃれなレシピが大人気に。近年は中高年の健康にフォーカスしたメニューも多く提案。近著に、『藤井恵の「からだが整う」おかゆ』(文化出版局)
撮影/神林 環 スタイリスト/洲脇祐美 取材・原文/瀬戸由美子