主婦40年のキャリアがものを言う、家族のために作るシアワセな作りおき
私は24歳のときに母になりました。
右も左もわからないおかあさん1年生だったけれど、離乳食も一から手作り。
スープも一からちゃんと作って、冷凍庫の製氷器に入れて作っていました。
当時は有機野菜もなかなかない時代。
それでもなんとか探してきて、お野菜を濾したりイワシを全部すり身にしたり、すごく時間をかけていたんです。
それまではキッチンに立ったことはあまりなかったのに、やってみたら私はけっこうこだわるタイプ(笑)。
すでに女優デビューしていたので、地方に行って、おいしいものをよく食べさせてもらったりしていましたし。
若い頃に飲食店でバイトしていたこともあり、そんな料理の知識を元に自分なりに工夫していたなぁ〜と懐かしく思い出します。
私は何かと頑張っちゃうみたいなところがあり、料理はその頃にけっこう鍛えられたと思います。
おかげで、おいしいものを家族みんなで食べるというシアワセをいつも感じていられる人生です。
たとえ気分が晴れないときでも「食べることは生きることだ」とばかりに料理に集中し、みんなに食べてもらえば気持ちが落ち着いてくるんです。
この時もそうでした。
よく眠れなかった明け方、起きてごはんを炊いて塩むすびを作り出しました。
だし巻き卵、おかひじきの和え物、ナスとピーマンの炒め煮、タケノコとワカメと油揚げの味噌汁、塩鯖も焼きました。
娘が起きてきて「おいしそ〜〜」と満面の笑み。
その笑顔を見たら、私も笑顔になっちゃいました。
食べるタイミングが合わないとき、こんなふうに大皿で置いておくのが私のスタイル。
「おいとくから、みんな勝手に取って食べてね。残ったらしまっておくのよ」という暗黙の意味です。
我が家ではこういう食事を「おかずバイキング」と呼びます(笑)。
こちらの日も、食べるタイミングがみんなバラバラだったので、日中に夕食を大皿に作りおきしていました。
茄子とインゲンの揚げ浸し。
ローストビーフ(ちょっと火が入りすぎ)。
ニンジンと豆モヤシのナムル。
大根と厚揚げとレンコンの煮物。
ミニトマトのカプレーゼ。
「どうぞ、好きな時に好きなお皿に取ってお食べくださーい」です。
翌日のための作りおきなら、タッパーに詰めて冷蔵庫に入れておきます。
いつでも「適当に出して取り分けて食べてね」と。これもバイキング!?
野菜もお肉もバランス良く。
スペアリブを煮て、きんぴらごぼうを作り、ほうれん草のごま和え、牛肉の炒め煮、ゆでブロッコリー、ゆでトウモロコシ。
そんなに何日も保存しておくものは作らないけれど(というよりすぐ食べてしまう)、我が家の作りおき人気メニューは…
4色カラーピーマンとツナの塩昆布炒め(無限ピーマンとか呼ばれてます)。
おからサラダ(ポテトサラダ風)。
糖質が高いのでジャガイモを使ったポテサラは作らないのですが、代わりにおからを使った「風」は本当によく作ります。
このおからサラダのレシピはよく聞かれるのでメモしておきますね。
おからパウダーに豆乳と鶏ガラスープの素(またはコンソメスープの素)を入れてレンジで温め、よく混ぜておきます。
玉ねぎのスライスを塩もみして水にさらしたもの・きゅうりの薄切りを塩もみし、軽く洗って水気を切ったもの・ロースハムを切ったものを全部おからと混ぜ合わせます。
マヨネーズと黒コショウで和えてできあがり。
ジャガイモで作るポテトサラダよりも断然糖質が少ないので、ダイエット中の人でも気兼ねなくたくさん食べられますよ!
うちでは定番中の定番。
長く作り続けてきた「かあちゃんの味」です。
原日出子さん
Profile
1959年11月10日生まれ。女優。専門学校で演劇を学び、劇団四季の研究生に。’79年、映画でデビュー。’81年、NHKの連続テレビ小説「本日も晴天なり」のヒロイン役に抜擢(2022年〜’23年に再放送されて話題に)。以来、40年以上にわたりテレビドラマや映画、舞台でコンスタントに活躍。バラエティ、情報番組、CMなどにもひっぱりだこです。2023年10月13日全国公開「月」、12月1日全国公開「隣人X -疑惑の彼女-」、2024年公開予定「大いなる不在」に出演。
Instagramアカウント:@hara_hideko
取材・文/蓮見則子