ドレッシングなどの一括名表記は
何が入っているかわからない
「ドレッシングの添加物でよく見るのが、調味料(アミノ酸等)、酸味料、増粘剤です。これらは一括名なので、実際に何が入っているかわからず不安が残ります。
増粘剤のキサンタンガムは問題のある検証結果はありませんが、人工甘味料のスクラロースが入ったものは、できたら避けたいところです」(渡辺雄二さん)
ドレッシングの原材料名を見ると、多くの添加物が並んでいます。最近は添加物が最小限のものもあるので、購入の際は必ずチェックしたいものです。
海産物によく使われる
着色料や漂白剤はちょっと曲者
「1980年に当時の厚生省が過酸化水素に発がん性が認められたとして使用を禁止しました。実はこれは数の子やかまぼこ、ゆで麺の漂白・殺菌に使われていたのです。
その後、かまぼこやゆで麺はほかの方法に移行しましたが、数の子だけはこれに代わるものが見つからず、使用後にカタラーゼという酵素で分解する方法にしました。そこで厚生省も最終の食品に残らない条件で使用を認め、表示義務はありません。
しかし、完全に除去されているかは消費者にはわからないのが難点。数の子のしょうゆ漬けには使われていないものもあります」(渡辺雄二さん)
避けたい添加物一覧
安息香酸Na【保存料】
清涼飲料水や栄養ドリンクに多用。動物実験でも悪影響が見られ、人間においても微量で胃腸粘膜への影響が心配
亜硫酸Na【漂白剤・保存料】
かんぴょうやドライフルーツなどの漂白や、ワインの酸化防止剤として使用。胃腸への刺激が指摘されています
次亜塩素酸Na【殺菌料】
まな板や包丁の消毒などに使用され、食品に残らない前提で認められています。しかし、実際には残っている可能性が
OPP/TBZ【防かび剤】
輸入のレモンやオレンジなどの出荷時にかび防止のために添加。もともと農薬の一種でOPPは発がん性が確認されています
亜硝酸Na【発色剤】
肉の加工品などの色を保つために使用。肉に含まれるアミンと結びついて、発がん性物質に変化するといわれています
タール色素【着色料】
赤色2、黄色4など12種の色素の総称。自然界に存在しない物質で、12種類すべてに発がん性の疑いがあります
カラメル色素【着色料】
コーラ、コーヒー飲料、ソースなどに使用。カラメルⅠとⅡは安全ですが、ⅢとⅣには発がん性物質が。実際にどれが使われているかは不明
サッカリンNa【甘味料】
最近では使用頻度が低いのですが、一部の酢ダコやしょうがの酢漬けに使われることが。発がん性が疑われています
合成甘味料3品目【甘味料】
おもにカロリーオフ飲料に使用されている、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKは体への悪影響の懸念が
臭素酸K【小麦粉改良剤】
パンの製造過程で使われます。発がん性が確認されていますが、最終食品に残らない前提で使用が認められています
よく使われている添加物を〇△×で紹介
数ある添加物の中でも、よく使われているものをセレクト。
そのうち、特に危険度の高いものを×、安全性の高いものを〇、その中間のものを△で表しました。購入の際の目安にしてください。
保存性を高めるもの
生産して店頭に並び、私たちが消費するまでに、腐ってしまわないようにするための添加物。
ある意味必要ですが、体に悪いものはできる限り避けたい。
保存料
× 安息香酸Na(合成)
× ソルビン酸K(合成)
× パラベン(合成)
安息香酸Naは水に溶けやすく、おもに清涼飲料水に。
ソルビン酸Kは漬け物やワインに、パラベンは化粧品に多いのですが、しょうゆやシロップなどに使われることも
酸化防止剤
× BHA・BHT(合成)
〇 ビタミンC(L-アスコルビン酸・合成)
〇 ビタミンE(d–α–トコフェロール・合成)
酸化を防止して食品の変質を防ぐものです。
BHAは発がん性が確認され、BHTにはその疑いがあります。最近ではビタミンCやEといった安全性の高いものにシフトする傾向です
防かび剤
× イマザリル(合成)
× OPP(合成)
× TBZ(合成)
外国からの柑橘類の輸送時にかびや腐敗を防ぐために添加されます。
いずれももともとは農薬で、昔は日本では使用禁止の添加物でしたが、貯蔵性や輸送のために許可されました
色をよくするもの
食材の黒ずみを防いだり、着色や漂白をして、おいしそうに見せるために添加物が使われます。
おもに化学合成されたものが多く、これらは毒性が強いので、天然由来のものを探すのがポイントになります。
発色剤
× 亜硝酸Na(合成)
× 硝酸K(合成)
× 硝酸Na(合成)
ハムやソーセージ、ベーコンなどの肉加工品が体によくないといわれるのは、これらの発色剤が理由。
この3つは極力、避けるようにしましょう
着色料
× 赤色2・102(合成)
× 黄色4・5(合成)
△ ウコン色素(ターメリック色素・天然)
△ カラメル色素(天然)
△ ベニバナ色素(天然)
〇 赤キャベツ色素・赤ビート・ビートレッド(天然)
食品に鮮やかな色をつけるための着色料。
個々の添加物によって毒性は違います。野菜などの天然由来の色素ならほぼ安全と覚えておきましょう
漂白剤
× 亜塩素酸Na(合成)
× 過酸化水素(合成)
× 亜硫酸Na(合成)
食材を漂白して見栄えよくする目的で使用。
どれも毒性が高く、上のふたつは最終食品に成分が残らないことを条件に許されており、表示義務はありません
質感をよくするもの
食品に粘度をつけたり、ふっくらとさせる、プルプル感を出すなど、食品の質感や風合いをよくする目的で使用されます。
比較的安全なものが多いのですが、増粘剤には避けたいものもあるのでチェックして!
増粘剤
× カラギーナン(天然)
× トラガントガム(天然)
〇 キサンタンガム(天然)
〇 セルロース(天然)
これらすべて天然由来のものですが、上のふたつは動物実験で体への影響が報告されています
風合いを出す
△ リン酸塩(Na)(結着剤・合成)
△ イーストフード(一括名・合成)
△ かんすい(一括名・合成)
△ 重曹(pH調整、膨張剤・合成)
△ ミョウバン(膨張剤・合成)
△ アルギン酸エステル(糊料・合成)
〇 炭酸Mg(膨張剤・合成)
パンのふっくら感はイーストフード、ラーメンの麺の風合いはかんすいによるもので、全体的に毒性は強いものではありません。
一方、ハムやソーセージの肉の結着をよくするリン酸塩(Na)は腎臓への悪影響が、サンドイッチなどに含まれるアルギン酸エステルはアレルギーが心配
ゲル化剤・乳化剤
〇 ペクチン(天然)
〇 グリセリン脂肪酸エステル(合成)
〇 レシチン(天然)
ジャムに使われるペクチン、アイスクリームなどに使われるグリセリン脂肪酸エステルも安全
味に関するもの
ダイエット系の飲料や食品に使われる甘味料、旨味を出す調味料、酸味を加える酸味料など、味を調えるのに使用。
甘味料に危険なものがありますが、ほかは比較的安全。でも、とりすぎには注意が必要です。
甘味料
× アスパルテーム(合成)
× アセスルファムK(合成)
× サッカリン・サッカリンNa(合成)
× スクラロース(合成)
△ ステビア(天然)
〇 キシリトール(合成)
〇 ソルビトール(別名ソルビット・合成)
基本的に合成のものは避けたいところ。
キシリトールとソルビトールはもともと自然にある成分を人工的に作っているのですが安全性は〇。ステビアは天然由来ですが精巣への影響の不安が残ります
調味料
△ アミノ酸系(合成)
△ 核酸系(合成)
△ 有機酸系(合成)
△ 無機塩(合成)
こんぶやかつお節、貝類などの旨味成分を人工的に作ったもので、安全性は高いが大量摂取には注意が必要
酸味料
〇 クエン酸(合成)
〇 クエン酸Na(合成)
〇 酢酸Na(合成)
食品に酸味を加える用途と、保存性を高めたりpHを調整する目的でも使われます。
安全性の高いものが多い
■教えてくれた人
千葉大学工学部合成化学科卒業後、1982年より現職。食品、環境、医療などの諸問題を消費者の視点で提起。著書に『「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物』(大和書房)など
イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子