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タンパク質をプロテインで補うのはあり? なし?

健康のためにタンパク質の摂取が大事だと広く知られるようになった昨今。特に筋トレをしている人は、効率よくタンパク質を補おうとプロテインを利用している人も多いのでは?でもタンパク質って、プロテインで補うのはありなの?そんな気になる疑問について、最新の分子整合栄養学に詳しい管理栄養士の金津里佳さんに伺いました!

 

プロテインをとることでお腹の不調を招いている人も…

近年、タンパク質をとるためにプロテインをとる人が急増。市販のプロテインの種類が増えたことも人気の理由のようですが、そもそもタンパク質をプロテインで補うのはありなのでしょうか?

 

「プロテインはおすすめできません。私のまわりやクリニックにいらっしゃる方をみていると、プロテインをとっている人の中には、お腹が張ったり下痢をしている人が、けっこういらっしゃいます。

これは、肉を食べるとお腹がゆるくなるのと同じ状態です。

 

もともとタンパク質不足の人や、リーキーガット症候群で腸粘膜が健全でない人がプロテインをとると、消化酵素がきちんと働かず、消化不良を起こしてしまいます。

こうなるとタンパク質を補おうと思ってプロテインをとっているのに、タンパク質の補給にならないばかりか、体に負担がかかることになります。

さらに、アミノ酸に分解されないまま体に取り込まれた未消化のタンパク質は体にとって異物なので、体のエネルギーとして利用できず、しかもアレルギーを引き起こす抗体を作りやすくもなるのです」(金津里佳さん)

 

 

プロテインは熱処理や添加物などの問題が。タンパク質は食品からとることを目指して

また、プロテイン製造過程で熱処理によって変性したタンパク質が体で正しく働くかどうかは疑問です。

そのうえプロテインには、飲みやすくするため、人工甘味料や果糖ブドウ糖液糖、香料が添加されていることが多く、その場合は体にとって不要なものをとることになります。何が入っているのか、成分のチェックも大切です。

 

また、ビタミンやミネラルなどほかの栄養素が配合されているものも多いですが、効果が期待できるほどの量ではないことがほとんどです。

特に問題なのは鉄。プロテインに配合されている鉄は非ヘム鉄なのですが、これは体内の炎症を大きくするリスクもあります。

 

 

つまり、そういうプロテインをとることは、メリットよりデメリットのほうが大きいのです。ですから基本は、やはり肉や魚や卵、大豆食品などの食品からとるのがおすすめです。

 

肉にはタンパク質だけでなく、ビタミンB群や亜鉛、体で利用しやすいヘム鉄が豊富に含まれ、これらは体の代謝に必要な酵素の原料にもなります。

特定の栄養素だけをたくさんとるのでなく、いろいろな栄養素がとれる食品からとることを第一にしましょう」

 

緊急でタンパク質を補う必要がある人は、プロテインよりアミノ酸のサプリメントを

ちなみに、プロテインがおすすめの人もいる?

 

「病中病後など緊急でタンパク質を補う必要がある人や、咀嚼(そしゃく)が困難になったご高齢の方、大会前のアスリートの方なら利用してもよいと思います。

ただ、アスリートの方でも腸粘膜が健全であることが前提です。病中病後や高齢者など緊急の場合は、プロテインでなく、タンパク質が分解されたアミノ酸のサプリメントを補うとよいと思います。

 

ただし、必須アミノ酸はバランスよくとって初めて効率よく働くので、9種類のうちどれか1種類が少ないと、残りの8種類も少ない量に合わせてしか利用されません。

ですから9種類がバランスよく配合されたサプリメントを選ぶことが大切です。

BCAA(必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン)が強化されたものなどもありますが、特定の種類が多く配合されていても効果はさほど期待できないことを理解していただきたいと思います。また、香料など余計なものが配合されていないものを選ぶこともポイントです。

 

サプリメントは玉石混交です。選ぶ際には、臨床経験が豊富な医師や管理栄養士の指導のもとで取り入れるのが理想的です」

 

不足しがちなタンパク質ですが、プロテインなど加工されたものではなく、食品から毎食しっかりとることをがけましょう。

 

 

【教えていただいた方】

金津里佳
金津里佳さん
管理栄養士

医療法人美健会 ルネスクリニック東京・管理栄養士。北陸学院大学短期大学部食物栄養学科卒業。産科婦人科、人工透析科、栄養療法を主とする自由診療クリニックでの勤務を経て、2019年より現職。「人の身体はみな同じではない」をつねに意識し、日々の栄養カウンセリングに臨む。「食事は治療」との信念から一生続く食事という行為を根本治療ととらえ、論拠が納得できる正しい情報を届けたいという思いから、書籍などで情報を発信。著書に『9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方』(青春出版社)がある。 金津さんphoto/久富健太郎

 

写真/Shutterstock 取材・文/和田美穂

 

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