令和元年度(平成31年度)の確定申告の受付がスタートしました。
そこで今回はフリマアプリやネットオークションを利用している方に知っておいてほしい「税金」についてお話します。
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お友達に影響されて自分も不用品をフリマアプリで売っている53歳パート主婦・A子さん。
すっかりはまってしまい、今では自分のハンドメイド作品まで売っているそうなんです。
とくに父方の叔母さまが亡くなり形見分けにいただいた貴金属の中から、自分には似合わなそうなものを売ったところ、高額で売れて大満足したA子さん。
ついお友達に「数十万円で売れたのよ!」って言ったところ「そんなに儲かったんだったら、税金はどうしているの?確定申告はしているの?」と聞かれて、真っ青。
今まで一度も「フリマアプリで儲けた分の税金を払う」なんて考えたこともなかったからです。
それで慌てて私のところに相談にきたのです。
「昨年は叔母の形見の貴金属を売ったので売り上げが結構な額になりましたが、それ以前は大きな金額を得たわけではないんです」
というA子さん。
では、状況を整理しながらお答えしていきましょう。
Q1)フリマアプリやネットオークションで不用な生活用品を売った場合、税務申告はどうなるの?
A1)生活用品等の不用品を売却した場合で得たお金は、税金がかかりません。
課税の対象外ということになります。
このことは、国税庁のタックスアンサーの「所得税の課税されない譲渡所得」という項目に書かれていますので、A子さんとともに確認をしました。
なので、この範囲でフリマアプリやネットオークションを利用していれば、確定申告の必要もありません。
Q2)叔母の形見の貴金属を売った場合はどうなるの?
A2)自分にとっては不用品であっても貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組のお値段が30万円を超えるものの譲渡は税金がかかります。
これはコレクターアイテムも同様です。
自分にとっては興味がなくいらないものであっても、コレクタ―にとっては30万円を超える額でもいいから購入したいものかもしれません。
実際に30万円以上で売れた場合、同様に税金がかかります。
A子さんが売った叔母さまの形見は、指輪2つとネックレス1つ。
それらを合計20万円で売りました。
お友達にはちょっと見栄を張って「数十万円」といいましたが、実際には3つで20万円の収入ですから税金はかからないということになります。
これをきいてちょっと安心したA子さんです。
次はA子さんが趣味で作ったアクセサリーの販売分についてです。
作るのはもっぱら自分用でたまにお友達にもプレゼントする程度でしたが、思いついてネットオークションに出したところ、材料費の倍の値段で売れたというのです。
そこで時々、フリマアプリでも売るようになったのだとか。
「この場合って、税金はかかるんでしょうか……」
とまたもや不安げなA子さん。
Q3)ハンドメイド作品を売って儲けたお金は税金を払わないといけないの?
A3)パートで働いていて給与収入があるA子さんが手づくりのアクセサリーや雑貨などをネットなどで販売した場合は、所得(売り上げから必要経費を除いた金額)が、1年間で20万円を超えれば、確定申告が必要になります。
あくまでも売れた金額(売り上げ額)ではなく、経費を引いた金額(利益)が年間で20万円を超えた場合についてです。
ちなみにA子さんの場合「経費」は
・通信費や商品を送る際の送料
・梱包に使う道具や封筒
・ネットオークションの利用料
・アクセサリーパーツの仕入れ代金
などが考えられます。
これは経費になるのかなと迷ったら、お近くの税務署に電話をするといいでしょう。
名前を名乗らなくても親切に教えてくれます。
近くの税務署で調べるときの方法は、こちらです。
つまり利益が20万円を超えなければ、確定申告はしなくてもよいわけです。
国税局のサイトに「確定申告が必要な方」について書かれていますので、確認しておきましょう。
「趣味で作って売っているアクセサリーは、20万円なんてそんな儲けは出ていません。
なので、確定申告はしなくて済みそうです」
とまたまた安心した様子のA子さん。
ほっとしているところに申し訳ないのですが、実はA子さんには他に確定申告をしなければいけないものがあります。
それは住民税です。
「えええっ」と驚くA子さん。
ごめんなさいね。
所得税の申告と住民税の申告は別なのです。
所得が20万円を超えなかったので、所得税についての確定申告はしなくても良いのですが、住民税の申告は必要になるんです。
通常、確定申告や年末調整をすると、税務署が所得や控除などの内容を住民票のある地方自治体に通知してくれます。
それを基に地方自治体が住民税を計算することになっているので、自分で住民税の申告をする必要はないのです。
ところが、所得が20万円以上ない場合は、国の税金である所得税の確定申告をする必要はないのですが、少しでも所得があれば地方税である住民税は申告をしなければならないのです。
つまりフリマアプリなどでパートの給与以外に所得があったA子さんは、その額の大小に関わらず住民税を申告する必要があるというわけなんです。
でも、大丈夫。住民税の申告はとても簡単です。
Q4)住民税の申告はどうやればいいのですか?
A4)勤務先で年末調整などをしている人は、お住いの自治体から申告用紙をもらって(ネットからダウンロードできるところが多いです)雑所得の欄に収入と経費を書き込めば、住民税の税額は自治体が計算してくれます。
各自治体では、相談所も設けていますので、心配でしたら、メモを持参して確定申告の申告書の書き方について、相談に行きましょう。
住民税申告書の提出期間は、2020年は2月17日から3月16日まで。
提出場所は、自治体によって違うので居住地の自治体のホームページなどで確認してくださいね。
申告のときには、領収書やレシートは提出しなくてもいいのですが、もし税務調査があったときには、提示することになります。
なので、金額、日付、使ったお店などがかかれたものは、できるだけ保管しておきましょう。
収入額が分かるものや領収書などは、念のため5年程度保管しておくことをおすすめします。
ちなみにA子さんは、パートをしている給与所得者でしたが、給与所得のない専業主婦がフリマアプリなどでハンドメイドのものを販売した場合は、どうかというと……
売り上げから必要経費を除いた金額(利益)が1年間で38万円を超えれば、「事業所得」または「雑所得」として確定申告が必要です。
おこづかい稼ぎの範囲なら「雑所得」として申告し、「本気でガンガン稼いでいこう、本業にしよう」と考えるなら「事業所得」として申告しましょう。
私の娘もフリマアプリをやっています。
次から次へと売れるとうれしいですよね。
ぜひ税金についての知識を持ち、上手に活用してくださいね。
★明るく気さくな人柄でギリコもすっかりファンになってしまった安田さん。
安田さんが所長の「元気が出るお金の相談所」↓