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「老後のお金が不安なら毎日体重計に乗りなさい 前編」 ~50歳からお金が貯まる人になる8つのレッスン~

老後に必要な資金は夫婦合わせて2000万円……いわゆる〝2000万円問題〟が世間をにぎわし、「どうしよう、そんな大金はとても無理」と焦った方も多いはず。そんな方にぜひ読んでいただきたいのがこの連載です。焦っているだけではお金は貯まりません。今からでもできる〝お金が貯まるコツ〟を身につけ、不安を安心に変えていきましょう!

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子です。

1998年に独立してから20年以上にわたり、おもに個人のお客さまのお金の相談にのってきました。

 

さまざまな方のお話を聞いてきて思うのは、お金があってもなくても、みなさんそれぞれ悩みを抱えているということ。

そしてお金というのは年収が高ければ貯まるものではない、ということ。

 

 

お金が貯められる人、それはずばり、お金に対する意識が高い人です。

 

お金に対する意識が高ければ、それは自然と日頃のお金の使い方や習慣に表れます。

そしてその積み重ねが、貯蓄という形で具体的に見えるようになってくるのです。

 

この連載はOurAge編集部から「人生100年時代ときいて素直に喜べる人はどれだけいるのでしょう。もし100歳まで生きるとしたら、読者が心配するのはまずお金のことです。老後に後悔しないよう、アラフィフの読者が今からできる対策を教えていただけませんか」という依頼から生まれました。

 

そこでOurAge世代に身につけてほしい、お金への意識を高まる方法を具体的にご紹介していきたいと思います。

 

 

まず最初に。

この連載のタイトルについて「お金の話なのに、なんで体重計に乗りなさいなんてタイトルがついているの?」と不思議に思った方もいらっしゃることでしょう。

 

その理由をお話しする前に……突然ですが、クイズです。

 

「健康の価値は、試算すると××万円の価値がある」と言われているのですが、いくらだと思いますか?

 

 

なんと、5000万円です。

 

 

 

健康も資産のひとつ。健康度で老後の経済状況はこんなに違う

 

資産というと、預貯金や不動産、株などが頭に浮かぶと思いますが、実は健康も金額に換算すると5000万円もの大金に相当する重要な資産なのです。

 

 

それがよくわかるのが下のグラフです。

出典:『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』黒田尚子著(日本経済新聞社)

 

 

これは年収800万円(可処分所得590万円)の40代男性会社員Aさんの健康度を

①85歳で亡くなるまでほぼ健康体

②現役時代から85歳で亡くなるまでずっと病気がち(40歳から高血圧で薬を投薬、55歳で脳卒中、75歳で認知症を発症と想定)

③リタイア後に病気を発症し、85歳で亡くなる(66歳で脳卒中、75歳で認知症を発症と想定)

という3つのパターンでシュミレーションし、それぞれの貯金残高を算出したものです。

 

するとその結果、①と②では預金残高に合計約5000万円の差が生じています。

つまり健康には5000万円の価値があるということです。

 

 

 

このグラフをごらんいただければ、いかに健康であることが大事な資産であり、人生の後半戦の経済状況を左右するものであるのか実感していただけるのではないでしょうか。

 

 

一般的に20~30代のときはみなさん元気で、これといって健康面に不安を感じずに生きてきた方が多いと思います。

ところが40代後半から50代になってくると、だんだん健康な人とそうでない人との差が開いてきます。

ちょうど50歳前後のOurAge読者のみなさんは、まさにそれを実感しているところかもしれません。

 

日本人に多い病気にがん、脳卒中、心筋梗塞などがありますが、これらは生活習慣病ともいわれています。

50歳前後ともなると若い頃から健康に気を使ってきた人と、そうでない人とでは、こういった病気にかかるリスクが全然変わってきてしまうのです。

 

 

 

老後のお金が不安な人ほど、毎日体重計に乗って健康管理を

 

ですから今からでも遅くはありません。

まずは毎日体重計に乗り、さまざま病気へのリスクを高める〝万病のもと肥満〟に注意し、健康寿命を延ばしていきましょう。

 

また健康を維持するには、日々の管理だけではなく、健康診断や人間ドック、脳ドック、がん検診といった検査を定期的にしっかり受けることも大切です。

ですから、そこにかけるお金と時間を惜しんではいけません

 

もちろん、やみくもに何でもかんでも検査を受ければよいというわけではありません。

厚生労働省の指針では法律に基づき、例えば乳がん検診なら40歳以上を対象に2年に1回、問診およびマンモグラフィを受ける。子宮頸がん検診なら20歳以上を対象に2年に1回、問診、視診子宮頸部の細胞診および内診を受けるといったように、検査項目や対象者、受診間隔が科学的根拠に基づいて定められています。

少なくともこれらは確実に受けておきましょう。

 

◆健康維持のために定期検査を受けるメリット

 

もしがんなどの病気に罹っても、検査で早期発見し適切な治療ができれば完治の確率が高まります。

また費用の面でも、早期がんの方が再発するリスクが低く、相対的に治療費も抑えられます。

 

検診を受けると結果が思わしくなくて、「要精密検査」の連絡が来ることがありますよね。でも、「忙しい」「結果を知るのが怖い」「面倒」などで受けに行かない人が、意外と多いんです。

 

不安を解消し、適切な処置を受けるために精密検査をした方がいいのはもちろんですが、最近はがん保険などで精密検査を受けた人に対し、給付金などのインセンティブ(報酬)を用意しているものも出てきました。

つまり病気になったらお金を出すのではなく、病気にならないようにする行動(=病気を予防する行動)に対してお金を出す、という商品です。

 

医療保険でも、アプリで健康状態をポイント化し

・既定の歩数を歩いている

・血圧が下がってきている

・体重が減ってきている

といったことに対して保険料を割引してくれる、「健康増進型保険」も出てきています。

 

保険というと「病気になったときに」「亡くなった場合に」という後ろ向きなイメージがありますが、その点で健康増進型保険は違います。

健康になれば保険料が安くなるなど、ご褒美がもらえるのです。

 

 

編集部からの連載依頼にもあった〝人生100年〟という言葉。

これをきいて多くの人が思うのは、やはり長生きリスク(老後の資金が枯渇し、生活が困窮するリスク)でしょう。

 

長生きリスクを減らすためには、ここまで読んでくださった方ならもうおわかりかと思いますが、健康であることが第一です。

そのためには、さきほどご紹介した健康増進型保険のようなものをうまく利用するのも一つの手だと思います。

 

 

また人生100年時代となって、なんとなく老後が伸びたイメージがあるかもしれませんが、伸びたのは老後だけではありません。

 

現役時代も伸びているんです。

昔は一般的な企業では50歳が定年でしたが、それが55歳、60歳、65歳と定年は伸びてきています。また、定年後も70歳、75歳まで働く人たちが増えてきています。

 

 

50代は老後を見据え、大きく人生のシフトチェンジしていかないといけない年代ですが、それは仕事面でも同じこと。ライフステージに応じたお金の使い方や万一の時の備えなどを考えたりするだけではなく、老後の働き方をキャリアチェンジも含めて考えるときです。

 

 

 

◆50代は人生最後のお金の貯めどき

 

50代は人生の中でも最後のお金の貯め時になります。

一般的には一生の中でも50代前半が一番収入が高い傾向にあり、この時期にしっかり働き、きちんと稼げるかどうかが老後の経済状態を大きく左右します。

 

健康な体を維持し、しっかり稼ぐことのほかに、アラフィフがやらねばならいことはほかにもあります。

それは今後の資金計画のめどをつけること

 

具体的には

①老後の資金計画をざっくりでもいいので立ててみる

②借金(住宅ローンなど)は、繰り上げ返済するなどして返済のめどをつける

③子どもの教育費がどれくらいかかるのか、あといくらかかるのか、めどをつけておく

の3つがまずあげられます。

 

これだって健康でしっかり稼いでいればこそ、考えられるものです。

もし病気で、今日や明日のことで頭がいっぱいであれば、先々の計画なんて立てられません。

 

 

本日はここまで。

次回は、保険の見直しなど、人生の後半戦を見据えて行ったほうがよい具体例をご紹介します。

 

 

 【教えていただいた方】 

黒田尚子
黒田尚子さん
CFP®  1級ファイナンシャルプランニング技能士
公式サイトを見る

1969年生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年に日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得、98年に独立系FPとして転身。現在は、各種セミナーや講演、執筆、個人相談など幅広く活躍。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格取得。「がんとくらしを考える会」理事、城西国際大学経営情報学部非常勤講師なども務める。著書に『がんとお金の真実(リアル)』『親の介護は9割逃げよ』『病気にかかるお金がわかる本』(共著)『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』『終活1年目の教科書』など多数。

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取材・文/倉澤真由美、撮影/山田真由美

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