みなさんはお出かけの時、小さなバッグで身軽に出かけるタイプですか?
それとも、ちょっと大きめのバッグにあれこれ詰めて出かけるタイプですか?
実は、お出かけのときのバッグの選び方ひとつでも、この人はお金の使い方が上手かどうかがわかることがあります。
小さいバッグで出かけられる人は、今の自分に必要なものをサッと選び取れる力がある人。
逆にいつでも大きいバッグじゃないと不安、という人は本当に必要なものを判断するのが苦手なタイプなのかもしれません。
小さいバッグで出かけられる人、つまり必要なものが何かを選び取れる人は、お金の使い方にもメリハリをつけられ、お金を上手に貯められる傾向があります。
◆お金をかけたいこと、かけなくていいことを明確にしよう
お金のご相談にいらっしゃった方によく聞かれることがあります。
それは「うちの家計ってよそのお宅と比べて、支出は多いほうですか?少ないほうですか?」です。
何にいくら支出しているかといった家計バランスは、各家庭で何を大事にしているかによって全然違ってくるもの。
それなのに、よその家は何にどれくらいのお金を使っているのかをすごく気にする人が多いです。
そこで、参考までに目安となるライフステージ別の家計バランス表をご紹介します。
(書籍「お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか」黒田尚子著より)
これはあくまで目安です。
まずは保険料や住宅ローンなどの固定費が必要以上にかかっていないかなど、チェックしましょう。
なぜかというと家計の中で固定費は毎月必ず出ていくお金で、家計に占める割合も大きいからです。
そのためここを適正な割合にすることが最初にすべきことなのです。
固定費がちゃんと適正になってきたら、次は自分の家庭で大事にしたい支出の優先順位をしっかり考えていきます。
お金をかけたい項目の割合を増やしたら、あまりかけなくてもいいかなと思う項目(優先順位が低い項目)の割合を減らして調整しましょう。
例えば食費が15%となっていますが、「うちは食事に気を使いたい。いい素材を選びたい」というのであれば、食費の割合を上げても大丈夫です。
その代わり、「お出かけはあまりしないから、娯楽費の割合を下げよう」など、あまり使わない項目の割合を減らします。
・お金をかけたいこと
・お金をかけなくてもいいこと
このふたつを明確にし、家計にメリハリをつけるクセをつけていきましょう。
◆お金を貯めるのはダイエットと同じ。締め付けすぎはリバウンドのもと
それではなぜ、家計にメリハリをつける必要があるのでしょうか。
たとえば東京など大都市に家族3人で生活している現役世代のファミリーがいるとします。
洋服は無印良品やユニクロで購入し、週末はレジャーを兼ねてイオンモールに出かける、というごく普通の暮しをしたとしても、年間の生活費は350万円以上かかってしまいます。
一方会社員の平均給与は約430万円ですが、社会保険料や税金を差し引いた可処分所得は350万円前後。
つまり収入と支出がほぼ同じということになります。
ということは、何も考えずにお金を使っていたらカツカツ!
ほとんどお金が残りません。
とはいえ、せっかく一生懸命働いているのに「節約しなきゃ」と頑張りすぎて、「あれもダメ、これもダメ」と言っていたら、ストレスが溜まってしまいます。
お金を貯めるのは、ダイエットと同じこと。
あまりに締め付けすぎては、リバウンドしてしまいます。
その点、今は推し活をする人が増えていますが、人生で大事にしていることや、楽しみのためにほかの何かを節約する、という習慣がつけられた人は最強!
ハレとケを自然と明確にできるので、お金が貯まりやすくなっていきます。
◆人はメリハリがなくなると楽しさが半減する可能性も
お金の使い方はメリハリが大事とお伝えしましたが、私の体験をお話しします。
私は現在の仕事を始める前に会社に勤めていました。
あるとき会社を辞め、世界一周旅行をしたことがあります。
もう出勤しなくていいし、気楽な一人旅でどこに行ってもいいし、時間をどう使おうと自由なのは最高!と思っていました。
ところが、いざ旅行が始まってみると、思ったよりも楽しくなかったのです。
考えてみると、ふだんは頑張って働き、待ちに待ったボーナスをもらったら飛行機に飛び乗って旅行する……個人の楽しみに使える時間に制約があった会社員だったからこそ、旅行があれだけ楽しかったんだな、と実感しました。
リタイア後に夫婦で旅行に行きたい、と考えている人は多いと思います。
もしかしたら、そのときにも何か仕事をしていたり、社会とつながりを持っていたほうが、頑張ったご褒美のような感じでより旅行が楽しめるかもしれませんね。
収入を急に倍増させるのは難しいですが、お金の使い方にメリハリをつけて楽しく生活するのなら、無理なくお金が貯められるはず。
ぜひ、お金のかけどころとかけなくていいところを考えてみてくださいね。
本日はここまで。
次回もお楽しみに!
【教えていただいた方】
1969年生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年に日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得、98年に独立系FPとして転身。現在は、各種セミナーや講演、執筆、個人相談など幅広く活躍。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格取得。「がんとくらしを考える会」理事、城西国際大学経営情報学部非常勤講師なども務める。著書に『がんとお金の真実(リアル)』『親の介護は9割逃げよ』『病気にかかるお金がわかる本』(共著)『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』『終活1年目の教科書』など多数。
取材・文/倉澤真由美、写真/山田真由美