【言葉のワクチンを打ってくださった方(回答者)】
1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。岐阜市立女子短大、金城学院大学短大部、桃山学院大学、福山市立大学を経て、福山市立大学名誉教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者で、アイン・ランドの大ベストセラー『水源』『利己主義という気概』(ともにビジネス社)を翻訳。著書に『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』(すべてKKベストセラーズ)、『優しいあなたが不幸になりやすいのは世界が悪いのではなく自業自得なのだよ』(大和出版)、『ニーチェのふんどし』(秀和システム)などがある。
<57歳会社員のモヤモヤ>
4年制大学を卒業後、総合職で就職しました。
今とは違い、酒席でのセクハラ、職場でのパラハラは当たり前の時代。
意見を言えば「女のくせに」という目で見られ、
何かと男が優遇されていました。
それでも辞めずに続けてきた会社員人生ですが、
振り返ってみると、ハタと疑問を感じるようになりました。
あんなに嫌なことばかりがあっても続けてきたけれど、
私のしてきた仕事って、何か意味があったのだろうか?
自分は結局、人生において何も成していないよね、と。
<藤森かよこ先生があなたに打つ「本日の言葉のワクチン」>
これまで長い間、悔しい思いをしながらも働き続けてきたのでしょう?
それならすでに「成している」じゃないですか。
「女のくせに」なんて言われる時代を乗り越えて、あなたは懸命に働いてきた。
それだけでもう十分「成して」います。
まず、このことを胸に刻んでください。
その一方で、よい意味で50代はまだ「成したのか、成していないのか」
最終的な人生の決着がついていない年代だとも思います。
というのは、私は今のあなたの気持ちもよくわかるんですよ。
なぜなら55歳くらいまで私もサバイバルな人生でした。
あなたのように悔しい思いをしながら、私なりにもがき、働いていた。
将来のビジョンもない中、ふと我に返ると自分は何も知らないし、何もしていない気がしたものです。
「55歳になっちゃった。ここから先、私はどう生きたらいいの」なんてね。
でもそんなふうに立ち止まれるのは、人生をサバイバルしてきたからこその余裕です。
「自分は何も知らないし、何もしていない、意味がなかった」と思うなら、
知らなかったことを今から勉強して、意味を見出せばいいじゃないですか。
あるいは、本当に好きなものを探したり、好きだったものに再びトライしたりするのもいいですね。
40代までは体力があってごまかしが利くけれど、50歳を過ぎると格段に体力が落ちます。
そして疲れやすくなった分、自分に正直になります。
「私、あの人、好きじゃなかった」「この仕事、もううんざり」とかね。
いいんですよ、それで。
あなたの正直な気持ちに従いましょう。
体力は多少落ちているけれど、気力はまだまだある50代。
今のあなたがやりたい、やり残したというものをすぐに始めたらいい。
そして、そのやりたいことをこの先「成して」いきましょうよ。
人間、そうそう変われるものではありませんから、ちょっと時間はかかります。
今日明日、すっかり人生が変わるというものではありません。
だけど、死ぬ間際に「そんなに不幸な人生ではなかったな」と思えるように、今できること、やりたいことをやっていくことです。
70代の私は自分について便宜上「老後」という言い方をしますが、実は「老後って何?」と思っています。
それくらい、40代、50代の頃と気持ちはあまり変わらない。
「老後」というと、社会のメンバーから外れた場所にいる錯覚に陥りそうになりますが、変化が激しい現代社会の中に生きる一人として、決して安全地帯にいるわけじゃない。
知らないことを今も勉強し続けて生きる現役です。
実は正直なところ、70代になっても未だに「自分の人生、全部負け戦じゃないか」と思うことすらあります。
とはいえ、以前より、多幸感を得られやすくなりました
例えば、あなただって賃金労働のために家を出るときに「ああ、今日働きに行く場所があってよかったな」とありがたく感じたりできる朝があるのではないでしょうか?
だからあなたも、すでに十分に「成している」けれど、今の自分に正直に好きなもの、興味のあるもの、勉強したいものに向かってほしいと思います。
そしてこれからますます、成していくものを増やしてくださいね。
取材・文/中沢明子 写真/Unsplash
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