ローカル線でのんびり楽しむ伊勢海老イタリアン~千葉県・いすみ鉄道~
日本各地を旅する時に、その地域を走るローカル鉄道に乗るのが大好きです。ガタゴトとゆっくり走る車窓から眺める風景は、その地域の人々の暮らしを感じたり、四季折々の小さな自然の変化を見つけることが出来て楽しいのです。
最近は観光列車や食事を楽しむ鉄道も増えてきました。デザイナーやプロジェクトチームがプロデュースした素敵なクルーズトレインも楽しいですが、地域の小さな鉄道が工夫しておもてなしをしてくれる特別観光列車は心まで温かくなります。
今回乗車したのは、房総半島の真ん中を走るいすみ鉄道のグルメ列車「レストラン・キハ」の「伊勢海老特急・イタリアンコース」。2時間弱のツアーです。“キハ”というのは、車両の呼び名です。国鉄形気動車キハ28形は昭和のディーゼルカーとしてJRが国鉄だった昭和30年代から活躍していた車両。これを大切に整備して現役の急行列車として走らせているということで、いすみ鉄道は全国から鉄道ファンが殺到するほどの人気なのです。この車両の中の雰囲気をそのままに、テーブルなどを設置して特別な日に走るのが、レストラン特急“キハ”なのです。ちなみに、この列車の場合の“特急”とは特に急がないの意味だそうです。
スパークリングワインとアミューズに続いて、シーフードの前菜。漁港の朝市も有名な大原駅があるいすみ鉄道らしく、サザエのつぼ焼き風、ぷりっとした海老、やわらかーくて旨みのある蛸。そして房総の野菜。この列車は主に大人を対象としているので、ワインもフリードリンクになっています。
外房の地魚と魚介のスープが運ばれてきました。大きな本日の魚は鱸。白ワインと一緒にひとつひとつの食材を味わいます。野菜の甘味と魚介の出汁が引き立てあう味わいが絶品。最後の1滴まで飲み干したくなる美味しさです。
大原産アワビとイクラの冷製スパゲッティーニは、ごろっと厚切りのアワビが贅沢。トマトソースの甘味と酸味をいかした優しい味わいのソース。パンにつけて食べた~いと、思ったら、地元で人気のパン屋さんのパンが登場。
フランスパンともうひとつは、ドライ無花果と胡桃が入った天然酵母パン。ムーミンファミリーのナフキンが可愛い。これは、実は理由があるので、後ほど語ります。
さあ、レストランスタッフの忙しさも佳境に入ってまいりました。イタリアンコースの料理は地元の「イタリア料理Pesce azzurro~青い魚~」が担当。オーナーシェフ自ら乗車してもてなしてくださいます。本日の主役、大原産伊勢海老香草オイル焼きビッツエリアソースの仕上げ中。ガタコトと走る揺れる列車の中で、盛り付けをしたり、お客様へ料理を運んだり、大活躍なのです。
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いすみ鉄道の名物駅「国吉駅」に停車。「ここでは10分停車いたしま~す。」とのアナウンス。それゆけ~。と、乗客は急いで列車を下りて駅の中へと飛び込みます。
その理由は、これ。国吉駅構内には日本で初めての「駅中ムーミンショップ」があるのです。行く度に違うムーミングッズに出会えるので、ついつい、あれこれ揃えたくなってしまいます。10分の停車時間はあっという間。即決でコレとコレをくださーーーい。と、ムーミングッズを握りしめてレジへ。なんとか、出発時間に間に合いました。いすみ鉄道には、このキハ28形と並んで人気のある「ムーミン列車」も走っています。
自家製チーズケーキと2種類のジェラートを、深煎りイタリアンコーヒーと一緒にいただいて、レストラン列車の終着大原駅へ到着です。のどかな田園風景や、森の中、ある時は民家ぎりぎりに走るいすみ鉄道。お城が見えたり、おみくじが毎日変わる駅があったり、地域のみなさんが出迎えてくれる駅があったり。14の駅がある沿線を行ったり来たり、のんびり楽しい鉄道旅ごはんでした。
いすみ鉄道株式会社
石井宏子
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