素材を選ばない柔軟さと和・洋・中すべての料理に変身できる多様性。コレステロール値の低下、老化防止、更年期症状の軽減、美容やダイエットにもいいなど、豆腐はまるでスーパーマンのような存在。長い間日本人に愛され続けてきた豆腐には、仲間もたくさんあります。
今回は凍り豆腐の誕生についてご紹介します。
凍らせて熟成させ、自然の力で乾燥
うま味が凝縮した伝統の味
僧侶が、屋外に出しっ放しにした豆腐を食べたらおいしかったのが始まりという説もある「凍り豆腐」。由来は諸説あり、その歴史は中世にさかのぼり、精進料理の栄養食材として親しまれてきました。高野豆腐、凍(し)み豆腐とも呼ばれ、豆腐を凍らせ、乾燥させて作る保存食です。
宮城県大崎市岩出山の「凍り豆腐」は、170年余り前から、山からの冷たく乾燥した風にさらされる岩出山の気候風土を生かし、改良を重ねて今に生きる伝統食品。凍らせて熟成させた生地を解凍→再冷凍→解凍し、山からの冷気で乾燥させるうち、うま味が凝縮し、独特の歯ごたえが生まれます。地元の大豆を材料に、膨軟剤は使わず、100%自然乾燥の厳寒の冬がもたらしてくれる昔ながらの味。 全国的に手作りの生産者が減る中、わずかに残る貴重な凍り豆腐です。
ただ寒いだけでは不十分。風にさらされないとできないため、山からの風が絶えない岩出山の気候は、おいしい凍り豆腐を作るのに適しています。昔は農閑期になると、豆腐を干す風景があちこちに見られましたが、今は、数軒に減ってしまいました。
1枚ずつイグサで編んで干します。この作業をする「編み方」さんも少なくなり、今は貴重な存在。
生産者によって袋詰めされます。ゴムで留められた姿が手作りの風合いを醸し出しています。ネットなどで購入できます
次回は油揚げの作り方をご紹介します。