海外からのゲストにも人気の城崎温泉は、浴衣で外湯めぐりができる温泉地として有名です。様々な滞在の要望にも対応できるようにと、近年では宿の外で夕食を楽しめる店も増えてきました。そんな城崎温泉のメインストリートに2019年4月3日にオープンした城崎温泉「さんぽう西村屋 本店」は、オープンカウンターで料理人が仕上げる地元食材のお料理を味わえる店。ランチ(土日のみ)もディナーも楽しめます。
城崎温泉がある兵庫県但馬のエリアは、食材の宝庫。冬の松葉ガニをはじめ津居山港から水揚げされる日本海の恵み、ブランド牛のルーツである但馬牛、さらには、自然栽培で野菜を育てる農家「ナカツカサファーム」や、伝統製法で在来品種のわさびを復活させてミネラル豊かな水を活かして育てている「北村わさび」、湧水で育てるニジマスや、天然醸造・国産原料を貫く地元の大徳醤油など、料理人と生産者が直結することで、地域の食材や文化もまるごと味わえる旅ごはんが楽しめます。
兵庫県の地酒も揃っているし、すぐお隣の京丹後のワインもいただけます。今宵は、但馬牛炭火と旬菜のイイトコドリ「澄明(ちょうめい)」のコースにしました。まずは、きゅっと冷えた、丹後の白ワインでスタート。
この日の前菜は、うすい豆胡麻豆腐、春菊の白和え、津居山(ついやま)港産のホタルイカとウルイの酢味噌と、春満載の味わい。すっきりした白ワインにして大正解。
椀物をいただきながら、カウンターから眺める料理人の動きにワクワク。中安料理長が旬のサワラをさっとあぶっている間に、他の料理人が北山わさびをすって、準備がすすみます。
藁で燻されたサワラは、芳ばしい香りをまとって、美味しい脂とともに旨みが広がっていきます。フレッシュな鰹は、海苔ジュレとわさび醤油で。
古代米の赤米で仕込む日本酒「伊根満開」はロゼワインのような美しい色とほんのり甘いコクのある味わい。
神鍋高原の麓の湧水で育てる神鍋鱒は、山菜とふき味噌と一緒に。
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中安料理長が炭の火加減を見極めながら但馬牛のヒウチに絶妙の仕上げを施します。
赤身肉の旨味がじわり。上に乗っているのは、ルッコラの花。「ナカツカサファーム」で無農薬栽培されたルッコラの花は、パンチのある苦味とルッコラの味わいがフワッと香り、最高の薬味です。添えられた紫人参も味わいが濃い!
但馬産オーガニックの「三十八穀米」と一緒に炊いたごはんの焼きおにぎりと赤花蕎麦。ちょっとずつ両方食べたいという旅人ごころをくすぐりますね。
デザートは豊岡産苺のプリン。ちょこっとのっているのは、但馬地区名産の美方大納言小豆です。地元の山に生息する黒文字のお茶は、ほんのりスパイシーですっきり。
「さんぽう西村屋 本店」の店先では、お買い物もできます。ここも、地元産にこだわった品揃え。お土産にした、紅ズワイ蟹と朝倉山椒の「蟹山椒」が、ありそうでなかった逸品でした。ちょっと贅沢ですが、ごはんの伴として最高~。
さんぽう西村屋 本店
http://www.sanpou-nishimuraya.com/
石井宏子
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