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ガラスで見せる楽しみ

ガラスで見せる楽しみ

 

こんにちは! 野菜料理家の庄司いずみです。
野菜料理家を名乗る今では、人と食事をするときなどに「ベジタリアンなんです」と堂々と伝えられるようになりましたが、野菜中心の食事になり始めた16~17年前頃は、そう伝えるのが億劫だったものでした。
当時はマクロビオティックが流行り始め、野菜や穀類中心の食事がおしゃれとも受け取られ始めた頃ではありましたが、それは海外のセレブやモデルさんたちの間での話。身近な人に「ベジタリアンなんですよ」と告げると、「ええっ!?」と驚かれるのが常でした。

 

「栄養は大丈夫?」と心配されると恐縮でしたが、心外だったのが「茶色い料理ばかりじゃ、食べる楽しみないでしょう」などの声。野菜料理が茶色いだなんて!
茶色いのはステーキやハンバーグ、焼き肉などの肉料理のほうで、赤いトマトや緑のブロッコリー、白いだいこん、オレンジのにんじん、黄色い南瓜など、野菜はとてもカラフルです。

 

お醤油味のにっころがしやお煮染め、茄子の味噌炒めやきんぴらなどのしっかり味の野菜料理は確かに茶色く、ちょっと地味ではありますが……。
誰もが大好き、昔ながらのそれらのおかずはなんといってもごはんによく合います。考えてみるとうちでも毎日、なにかしらは“茶色い野菜おかず”が食卓に並んでいますが……。
食事は味だけで楽しむものではなく、目で見てきれい、ワクワクする演出も大切です。だから、野菜中心の食事が地味にならないよう私が常備しているのが、いろんな野菜をただただ刻んで瓶につめたピクルスなのです。これ、いいですよ。

庄司 ピクルス

刻んだ野菜をピクルス液につけるだけ。きゅうりだけ、だいこんだけ、にんじんだけなど、ひとつの野菜で作ってもいいのですが、あれもこれもと欲張って瓶に詰め込むほどよいのです。

 

1個だけ残ったピーマン、端切れだけ残っただいこん、玉ねぎ、にんじん。彩りに買ったものの使い切れなかった紫玉ねぎなど、とにかくすべてを8㎜角くらいに切ります。

 

これを清潔な保存瓶に入れて、一度煮立ててしっかり冷ましたピクルス液を注げばOK。このまま冷蔵庫で保存し、1ヶ月くらいはもちます。

 

ピクルス液のレシピは色々ありますが、うちでは酢と水が1対1。あとは少し塩を入れたり、甘めが好きなら砂糖を入れたり、ピリッとさせたいなら唐辛子や粒胡椒を足すなど気分やお好みで。辛党の私は私は砂糖はなし。ちょっとよそいきの味にしたいときは酢と昆布だしを半々でわると味に深みが出ます。

 

この刻み野菜のピクルス、とにかく重宝するのです。冷や奴にかけるだけでも引き立つし、厚揚げのステーキ、豆腐ステーキ、肉や魚のメニューならハンバーグや焼き魚の付け合わせやソースがわりにも。さっぱりしますし、料理が一気に華やかになるのが素敵です。

庄司パスタ

「お腹へった、いざごはん」と思ったら冷蔵庫がからっぽ。そんなときにも刻み野菜のピクルスさえあれば。

具材なし。にんにくと鷹の爪だけの超シンプルなペペロンチーノにパラリとかければ、彩り豊か、酸味が爽やかな野菜のパスタに大変身。同じ調子でねぎだけの炒飯に添えてもいいし、ごはんに混ぜれば混ぜ寿司に。素麺やうどんと炒めてもいいのです。

 

 

便利な上に見た目もかわいいですよね。

前は何もかもごっちゃに混ぜてピクルス液につけていたのですが、最近流行りのジャーサラダ風に、層にして漬けるのも楽しい。このままテーブルに出してもサマになるのがいいですね。テーブルに出しておくと、おのおのがサラダにかけたり、メイン料理に添えたり、麺料理の味付けをかえるときに使うなど、好きな使い方ができるのもいいのです。

 

庄司 納豆

野菜料理は見せ方ひとつ。紹介したピクルスも透けて見えないタッパーやほうろう容器に入っていたら、テーブルに出す気にはならないかも。
見せたいくらいにかわいいのは、ガラスの容器に入っているからこそ、です。

 

見せる盛りつけにはグラスも使えますよ。たとえば納豆丼を小丼ではなく、透明なグラスに入れてみたらどうでしょう。

 

一番下にごはん、その上からきゅうりやかぶなど、刻んだ野菜を何層か重ねます。そして納豆をとろりとかけ、上に薬味を積むのです。たれはしょうゆ、みそ、塩麹、しょうゆ麹など、お好みのものを。この盛りつけなら野菜がたくさん食べられるし、ごはんが少なめでも大満足。いつもの納豆丼がカフェメニューのようになるのが不思議です。

 

 

ホラね、野菜料理はこんなにカラフル。茶色くなんてないのです。

 

 

庄司いずみ

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