こんにちは! 野菜料理家の庄司いずみです。
私がベジタリアンライフを始めたきっかけは、今年成人を迎えた娘が生まれたときの体の不調が原因でした。乳腺炎というおっぱいのトラブルがあり、炎症があまりにひどかったので、助産師さんから「しばらくはごはんと野菜のおとなしいメニューで」とアドバイスをされたのです。
もともとが野菜好き、野菜だけの献立でもまったく不満なくむしろ快適だったため、徐々にベジタリアンの食事に傾いていったのでした。
ということは……。思えば20年、野菜ばっかり食べてきたことになります。
その私が、最初に食べたとき「何このおいしさ!」と叫んだ野菜があります。それは、栃木にある海老原ファームという農家さんのお野菜です。
もう4年くらい前でしょうか。ご縁があってお誘いいただき、最初に食べたのは畑でもいだアスパラガスだったかきゅうりだったか……。何年も前のことなので定かではないのですが、驚きのあまり脳裏に焼き付いて離れないのが、アスパラガスの畑がカラッカラに乾燥していたことです。
土はカラカラなのに、アスパラをポキンと折って口に運んだら、甘みや風味も素晴らしいのですが、ものすごく瑞々しい。
「あの土からどうやってこの水分が!?」と不思議だったのですが、海老原ファームの主、海老原さん曰く「水やりをひかえると、野菜が一生懸命土の中の水分を探し、しっかり蓄える」のだとか。
当時で90数種類の野菜を育て、「まだ百姓になれないんだよね」と悔しそうでしたが、その90数種類の野菜がいずれも、かぶならばかぶらしい甘みと風味があり、にんじんならにんじんらしい味があり、ルッコラなら驚くほどのピリリとした辛さがあるなど、それぞれの野菜が個性を主張しているのだから野菜好きにはたまりません。
海老原ファームの野菜は最近では“エビベジ”と呼ばれ、新宿の伊勢丹や恵比寿の三越伊勢丹でも買えるブランド野菜になったのは、古くからのファンには嬉しいこと。
つい先日、青山でそのエビベジが買え、味わえるイベントがあり、私も足を運びました。
見てください、この野菜たち。見るからに新鮮、つやつやです。
その日は私もちょっとした料理を用意し、ご参加の方にふるまったのですが、このように切っただけの野菜を並べた食べ比べコーナーも大人気でした。
まさに切っただけ、ドレッシングはおろか、塩すら添えてないのですが、生のままのにんじんやパプリカはもちろん、切っただけの白菜がおいしいのに驚きました。
久しぶりにお会いした海老原さんは、「とうとう野菜、100を超えたよ~」と満面の笑顔。
100種類の作物を育てるから百姓。簡単におっしゃいますが、それぞれ育て方の違う野菜を100種以上育てるのは恐らくとてもたいへんなはずです。
イベントから帰ったあと、久しぶりにこの本をめくって夕食の献立を考えました。
娘に白和えが食べたいと言われたのですが、そういったおなじみのおそうざいは、適当にパパッと作ってしまうため、おいしくできるときと、「ちょっと薄味だったかなぁ」と感じるときと……。料理家として恥ずべきことですが、味にばらつきが出ることも。
本のタイトルは『エビベジ 野菜レシピ』。
この本では海老原ファームで作っている野菜、たとえば海老原さんがこだわって作っている昔ながらのきゅうり──、粉をふいたようなブルームきゅうりの話や、最近はスーパーでも見かけるようになったロマネスコなど、野菜の話が満載でとても勉強になるのです。
それとともに、野菜好きの食いしん坊に嬉しいのが、写真のページのようなお料理のレシピ。海老原さんのお宅でふだん召し上がっていらっしゃるおそうざい、奥様の智子さんの作るお料理がていねいに紹介されていて、「いつもの白和えが食べたい」なんてときに、とても助かるのです。 このほか、春菊の胡麻和えだったり、いも汁だったり、かぶときゅうりの浅漬けなども。
ごちそうもいいですが、毎日食べても飽きない料理が紹介されていて、読んでると幸せな気持ちになるのです。
こちらはおまけ。レシピをひとつ紹介しますね。
先日イベントで、エビベジのかぶの葉で作った簡単なサラダですが、もちろんふつうのかぶの葉でも作れます。
レシピと言っても塩もみしたかぶの葉に、スパイスとにんにくを入れてジュッと熱した油をかけるだけなのですが……。コツはココナッツオイルを使うこと。
甘い風味がほろ苦いかぶの葉とよくあって、いくらでも食べられるのです。かぶの葉があまったらぜひお試しくださいね。
☆かぶの葉のサラダ☆
材料:4~5人分
a かぶの葉 200g(ざく切り)
a 塩 小さじ1/2
b ココナッツオイル 大さじ1と1/2
b にんにく 1片(粗みじん切り)
クミンシード 小さじ1
1 aをボウルに入れて和え、5分置いて水気を絞る。
2 フライパンにbを入れて弱火にかけ、にんにくがカリッとしてきたらクミンシードを入れる。
3 クミンシードがパチパチはぜたら、熱いうちに1のボウルにジュッとかける。
庄司いずみ
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