ルーマニアの修道院の宿坊料理~ルーマニア・Brancoveanu修道院~
ルーマニアを旅してきました。目的のひとつはルーマニアやオーストリアの自然療法の視察と勉強。ハーブ、水、温泉、鉱物や動物さえも代替医療の手法になる、自然とともに自然と寄り添って「人」も生きているのだと感じる旅でした。
印象的だった旅ごはんに出会ったのは、修道院「Manastirea Brancoveni」に泊めていただいた時のこと。ルーマニアには正教会の教会や修道院が数多くあり、集落ごとに特徴がある建物に心魅かれます。Brancoveni村は1300年代後半からある歴史ある集落、この修道院は15世紀に建てられました。
病に悩む人を癒す診療所のような役割をした時代もあり、裏手にある小さな教会の内部は今まさに修復作業が進んでいるところでした。トルコ・オーストリア戦争で一部消失、1837年の大地震で損傷などを経て、1842年に再建と、さまざまな歴史を経て、現在は修道女の修道院になっていて泊めていただくことができます。
中心にあるメインの教会は真っ白なしっくい壁が印象的。ここで、夜中の12時からと、朝の8時から、毎日2回の礼拝が行われています。
内部は美しいフレスコ画で埋め尽くされ、祭壇に注がれる光が、なんともいえず印象的。とても優しく癒されるような、近寄りがたい威厳を感じるような、不思議な気持ちで立ち止まってしまいました。正教会の賛美歌は伴奏がなく人の声だけ。満月の光が注がれる教会で響く夜のミサの歌声が心に響きました。
泊めていただく部屋は、修道女の方々は日頃暮らしている空間。その一部を滞在者のために整えてくれるのです。
バルコニーはハーブや花で埋め尽くされていました。良く見ると、パセリやミントなど、虫よけになるハーブが窓辺に置かれていました。あくまでもナチュラルに気持ちよく過ごせる一夜でした。
敷地に湧く「聖なる泉」。消化を助け、整腸作用もあるそうです。やわらかくて甘味があって、冷たくてとても美味しい。ルーマニアの夏は40℃くらいまで気温が上がり、猛暑なのですが、この泉の水は、ボトルにくんでも暫くの間ひんやりが続くのです。とても不思議。
さて、いよいよ楽しみにしていた修道院の晩餐です。
修道院の食事は曜日によって食べるものが違うそうです。泊まった水曜日は野菜だけの日。明日は魚を食べる日だそうで、お庭で明日の下ごしらえのために魚をさばいていました。自然の恵みを少しずつ、数日のスパンでバランスをとっていただく。これもひとつの自然療法のヒントになりました。
ルーマニアの代表的な料理・豆のスープ「メルジメク・チョルバス」はレンズ豆のスープですが、今夜のスープには数種類の豆が入っていました。ほんのりとした塩味。豆の香りと甘味を楽しむ優しい一品。
ちょっとぴりりとした辛味が食欲をそそる野菜のスープ。香りと味わいの濃いトマト。ペーストのように見えるものは、なすのサラダ「サルタ・デ・ヴィネテ」。なすを焼いて皮をむき潰したものにオリーブオイルやニンニクなどで整えたもので、ルーマニアの代表的な家庭料理なので、ホテルの朝食などでも見かけることがあるのですが、この修道院のものはピカイチ!目の大きさが2倍くらいになってしまうほどの美味しさです。なめらかな食感、ほろ苦い焼きなすの芳ばしさ、上質なオイルのコク。
そして、メインはルーマニアでよく食べられている「パプリカ」のお料理。今日は野菜の日ですから、中に詰められているのは“野菜”と“お米”。しかも、食べてビックリ、いったいどうやって作ったらこんなに美味しい出汁の効いた炊き込みご飯になるのかしら?と思うような絶品料理。それもそのはず、野菜は修道院の敷地内の畑をはじめ、全てこの村で作ったものだそうです。もちろん有機&無農薬は当たり前、余計な手を加えず、ここの土と太陽と風が育てた野菜たちは、味わいが濃く、ミネラルや栄養もいっぱいなのです。パプリカはビタミンCが豊富。日差しの強いルーマニアの夏に欠かせない美白食材です。さらにビタミンPが含まれているので加熱しても壊れにくく、加熱調理することでβ-カロテンを効率よく取り込むことができます。
Manastirea Brancoveni
http://www.episcopiaslatinei.ro/manastiri/m-brancoveni/
石井宏子
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