素材を選ばない柔軟さと和・洋・中すべての料理に変身できる多様性。コレステロール値の低下、老化防止、更年期症状の軽減、美容やダイエットにもいいなど、豆腐はまるでスーパーマンのような存在。奈良時代から長い長い間日本人に愛され続けてきた豆腐を、先人の知恵に感謝しつつ、おいしくいただきましょう!
今回は豆腐の水切りについて、さまざまな方法をご紹介します。
豆腐料理の最大のポイントは「水きり」です。
料理に合わせて、水分調整をして豆腐をおいしくいただきましょう。
豆腐は約90%が水分です。これが口当たりのやわらかさの源なのです。原料である大豆のタンパク質の粒子が、海綿のような細かい網状になっていて、中に水分を閉じ込めています。これはちょうどスポンジと同じ。そう、豆腐はタンパク質のスポンジなのです。ですから、ザルにのせてしばらくおいたり重しをしたりすると、水分が出てくるわけです。料理に合わせて、この水分量を上手に調節することを「豆腐の水きり」と呼びます。
たとえば、炒めたり焼いたりしたときに、水分が多すぎると中から水が出て、でき上がりが水っぽくなったことはありませんか。逆にやわらかい食感を楽しみたいときに、水気をきりすぎると、ボソボソになってしまいます。このように豆腐料理では、料理に合わせた水きりをすることが、とても大切なポイントなのです。
冷ややっこ、揚げだし豆腐に!
ふんわりツルルン
A 盆ザルにのせて自然に水気をきる
豆腐をパックから出して盆ザルにのせ、下にボウルを当てて自然に水をきります。豆腐によって若干違いますが、10分で約3%、20 分で約5%の水分が出ます。それ以上長くおく場合は、表面が乾燥するのでラップなどをかぶせるようにしましょう。
B 傾けたバットにのせて水気をきる
バットにのせておくだけで、自然に水がにじみ出てきますが、写真のようにバットを傾けておくと、より効果的。盆ザルを使うとザルの網目が豆腐に残ることがありますが、バットならその心配はありません。バットがなければ平皿にのせても。
C 水きりかごつきの密閉容器を利用して
夏場は室温に放置すると、豆腐が傷みやすいので、水きり中も冷蔵庫に入れておきたいもの。そんなときに便利なのが、かごつきの密閉容器。これなら冷蔵庫で場所をとりません。すのこつきなど、使いやすいものを選びましょう。
ふんわりツルルン向きメニュー
揚げだし豆腐
冷ややっこ
肉豆腐
ほかにも!
たらこ豆腐
ちりめん山椒豆腐
豆腐サラダ
豆腐入りスープなど
麻婆豆腐、いり豆腐に!
しっとりホロホロ
A 手で粗くほぐして盆ザルに広げる
手でほぐすほうが、表面に凹凸ができて、中の水分が出やすくなります。いり豆腐やチャンプルーのようにほぐして使う料理は、先にほぐして、盆ザルに広げましょう。丸ごと水きりするより、かなり多くの水分を出すことができます。
B バットにのせた上にさらにバットをのせる
形をくずしたくない場合は、軽く重しをのせて水きりをします。バットがなければ平皿1 枚でもかまいません。この状態で約20分おくと、バットの中にかなりの水が出て、厚みが約3/4 になり、しっとりしながら存在感のあるかたさになります。
C ペーパータオルで包み電子レンジで加熱
豆腐をペーパータオルで包んで耐熱皿にのせ、電子レンジで加熱します。出したら、ザルにのせて冷ましながら、自然に水気をきります。1 丁につき、電子レンジ(500W)約2 分でしっとりホロホロに。3 分加熱すれば、ねっとりトロトロになります。
しっとりホロホロ向きメニュー
豆腐ときのこの炒め
いり豆腐
ゴーヤチャンプルー
ほかにも!
麻婆豆腐
中華風うま煮
豆腐と高菜の炒め
けんちん汁など
かため!
ねっとりトロトロ
A 重しをのせたバットをのせて水きりをする
重しをのせることで、しっかりと水きりができます。重しは豆腐の重量と同じ、もしくは1.5 倍程度に。重すぎると豆腐がつぶれてしまいます。重さより水きりにかける時間が大切。30分はおきましょう。重しはボウルやペットボトルに水を入れて。
B ゆでこぼして冷ましながら水きりをする
↓
豆腐の水分は加熱することで出てきますから、調理する前にゆでると、かなりの水分が抜けます。形を残したい場合はそのままゆでますが、ほぐして料理する場合は、先に手で粗くほぐし、湯が沸騰したら入れて、ふたたび煮立ってきたら盆ザルの上にあけて、冷ましながら水気をきります。豆腐が冷める間にかなりの水分が出るので、しっかり水きりができます。白あえなどのすりつぶす料理に向きます。
ねっとりトロトロ向きメニュー
豆腐ピザ
簡単白あえ
豆腐ステーキ
ほかにも!
鶏ささ身の豆腐あえ
豆腐のカレー炒め
豆腐とタコの
プロヴァンス風など
次回は豆腐の切り方についてご紹介します。お楽しみに。
編集協力/熱田陽子 北村美香
装丁・デザイン/原田暁子