北海道の食。作り手の底力。
~北海道グルメライブ・星野リゾート トマム~
北海道の「今」をいただける、冬のグルメライブイベントに参加してきました。北海道は美味しい食材の宝庫という漠然としたイメージは持っていましたが、ひとつひとつの食材に奥深い物語と作り手の熱い思いが詰まっていることを実感。知っているようで知らなかった昆布やホタテのことも驚きでした。
会場はしんしんと降る雪と大きなエゾ松が美しい、星野リゾート トマムの森のレストラン「ニニヌプリ」。北海道各地の生産者さんと北海道で活躍しているシェフたちの共演による晩餐の始まりです。トラットリア・ピッツエリア テルツィーナの堀川秀樹シェフをリーダーにイタリアン・フレンチ・ハンガリーなど様々なジャンルの料理人たちが続々登場。いよいよイベントの始まりです。
これは、画期的なワイングラス用のポーチ。首から下げるとワインを注いだグラスをこぼさずに運ぶことができるのです。
そう。美味しい物が結集すれば、もちろん、北海道のこだわりワインもマリアージュ。お料理に合わせて少しずつテイスティングも楽しめます。
雪の大地ならではの野菜は「雪下人参」。収穫して雪の下に貯蔵することにより、甘味が熟成されて、なんと、糖度8%越え。
これを使ったお料理は、星野リゾートトマムの総料理長・熊野芳武シェフの「雪下人参のペースト バフンウニ添え」。人参の香りが濃い。そして本当に人参だけ?と思う程の甘み。それに“羅臼昆布を食べて育つ”濃厚のバフンウニ。とこれ、8種類並んでいた前菜の中でも一番人気であっという間になくなってしまいました。
ほかにも絶品メニューが! 次ページでご紹介します。
もうひとつ、こちらも絶品だったのが、宮の森ミュージアムガーデンレストラン コント・ドゥ・フェ総料理長 田口智也シェフの「八雲産 耳づりホタテのマリネと留寿都産 雪下人参と牛蒡のイマジネーション」。甘くてぷりんぷりんのホタテは、噴火湾のミネラルたっぷりの海で育てられたもの。これを甘くてシャキシャキの雪下人参と、カリカリ牛蒡と一緒にいただきます。なんと、このぷっくりサイズになるには3年かかるのだそうです。ホタテが大きくなるには3年もの歳月をかけて育てているなんて、ちょっと驚きでした。
そして、感動的だったのは、お肉の生産者さんのお話。日高・まつもと牧場の和牛「こぶ黒」は、地元特産の日高昆布を食べて、ストレスフリーの豊かな環境ですくすくと育てられています。昆布を食べて育つ黒毛和牛だから「こぶ黒」。知る人ぞ知る札幌の隠れ家イタリアンRICCIの川崎律司シェフの「新ひだか三石産 まつもと牧場の黒毛和牛「こぶ黒」ととかちマッシュのミルフィーユ」は、薄切り肉をミルフィーユのように重ねることで、この“こぶ黒”がもつ旨みをしっかり感じることができるエレガントなお料理でした。
田口シェフの「干し草で燻した北里八雲牛とビーツのミートローフ 小栗さんが作った心温まるチーズを添えて」で使われた、八雲牧場の“北里八雲有機牛”は、日本初の「有機畜産JAS基準」認定の肉用牛。牛肉にも有機認定があるなんて、これまた驚き。この牧場では輸入穀物飼料を使わず、牧場の草100%で飼育。その牧草は、そうして育てる牛たちの排泄物をたい肥にして還元という循環型。噛みしめるほどに旨みが広がる赤身の美味しい特徴を、その完全有機の干し草を使って燻す料理法でいただくなんて、なんという贅沢、素敵なセンスの逸品でした。
全て語りたい素晴らしいものばかりだったのですが、あとひとつ。これまた感激してしまったストーリーとお料理の主役は「羅臼昆布」。そう、世界遺産の海・知床半島の「羅臼」です。羅臼漁協組合の方が大きな昆布を片手に、羅臼昆布漁師の心意気を語ってくれました。羅臼の漁師は昆布を獲るだけでなく、その後が腕の見せ所。通常は7回ほどの仕上げを、羅臼では23回もの工程を行うというのです。
まず、浜に広げて夜露にあてて柔らかくします。そしてくるくると昆布を巻き、今度は巻いた昆布を伸ばして重石をのせる。これを20日間くらいかけて何度も何度も繰り返していくと、昆布の縁の部分に白い粉のようなものが出てきます。これを「やっと昆布に花が咲いた」と表現するのだとか。ここまでで22工程。最後の23工程目は縁の部分を切り取り、さらに重石をのせて旨みを引き出してようやく出荷する製品に。これだけでも涙ものの感動なのですが、さらに漁師さん曰く。「昆布は生き物です。私たち漁師の手を離れたら、今度はみなさんの手で1年後、2年後と旨みを加えて行ってください。」昆布はとっても奥深い。
この羅臼昆布を極上のお料理にしてくれたのは、札幌にある北海道のフランス料理・サヴールの金田二郎シェフ。「スケソウダラと羅臼昆布のヴァプール バフンウニと昆布フェメのソース ヴァン ブラン」。羅臼昆布が凝縮しているこっくりとろとろのソース、昆布の味わいを染み込ませたスケソウダラ、とろんとしたバフンウニの甘み。赤ワインを飲んでも負けないといえるほどの濃い旨み。
まだまだ、語り切れないほどの北海道の食と作り手の底力。まさに恐るべしの奥深~い魅力の続きは、ぜひ、北の大地を旅して見つけてください。
星野リゾート トマム
http://www.snowtomamu.jp/winter/
石井宏子
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