温泉宿に連泊して自分メンテナンスを。泊まってわかった奥深い養生食は、体へのご褒美ごはん。自然の力と向き合う日本の知恵がぎっしり詰まっています。
体に優しいごちそうで元気な自分を取り戻す
夕食は野菜中心。有機無農薬栽培の農家でその日に収穫した野菜は旨味と香りが濃い。地元豆腐店の豆乳とごまで作ったソースで
温泉は自分のために行く時代に。生きている地球の恵みの泉にゆっくりと浸り、静かに流れる時間を過ごす温泉旅を、心と体を整える新しいセルフメンテナンスの習慣にしたいものです。特に提案したいのは2泊以上の連泊滞在。移動日ではない自由な1日があることで、想像以上に豊かな時間が過ごせます。
そんな「逗留湯治」の宿がついに箱根にも誕生。感動したのは食事。吟味された無農薬自然栽培の米や野菜、地元の豆腐や味噌、さらに宿の自家製の発酵食がずらり。ひとつひとつにストーリーがあり、どれもこれも驚きのおいしさ、まさに体へのご褒美食です。
自家製旨辛味噌は10種類の野菜・海藻・鰹節粉で14日間熟成。煮物やふろふき大根につけると美味
10年以上小田原で無農薬自然栽培を実践する高井おばあちゃんの作る玄米は、キヌヒカリという品種。ふっくらつやつやで、しかも程よい歯ごたえ、お米の甘味が口いっぱいに広がり感動的。発芽直前で炊く「微発芽玄米」は生きているお米だからこそ、消化吸収率やデトックス作用が高く、腸内改善につながると注目の玄米ごはんです。
好きなタイミングで玄米をいただく
朝食は干物や丸干しの魚もあり。「藁苞納豆」は、農大出身のご主人が確かな発酵知識をもとに無農薬の稲わらと大豆で作る逸品。嚙むほどに大豆の旨味を感じます
温泉は源泉かけ流し。塩化物・硫酸塩泉で肌しっとり。ぬるめの湯船で心を解放、熱めの湯船で体の芯まで温めてぐっすりと眠れます
個室書斎付きの部屋もあり、仕事も落ち着いてできそう
シンプルな和室のほか、ベッドと個室書斎のあるゆったりした部屋や、一人専用の部屋も
箱根湯本駅から100円の乗合バスで約5分。旧街道沿いの茅葺屋根の玄関を入ったところの広間には昔のかまどと茶室が。中庭では初夏に蛍が飛び交います
箱根湯本温泉「逗留湯治」の宿
養生館はるのひかり
DATA
神奈川県足柄下郡箱根町湯本554
☎0460-85-5641
全14室(二人部屋と一人部屋あり)
IN15:00 OUT10:30
1泊2食¥12,800~14,800(基本は2泊以上の連泊制。年中均一料金。年末年始・GW・お盆以外は連泊割引あり)。
源泉かけ流し
アクセス/小田原駅より箱根登山電車15分。箱根湯本駅より乗合バスで約5分
撮影・取材・文/石井宏子