スーパーフードの流行をNY在住のエディター・黒部エリさんがこのコラムでいち早く紹介してくれたのが、2年半前。今はそれに次いで、ファッロ、カムート、スぺルトといった「古代穀物」が注目されているそう。その魅力とは?
美容意識の高い女性たちが
注目している古代小麦
ウェルネス意識の高いマイエイジ/アワエイジ読者なら、すでにキヌアもチアシードも使ったことがあるはず。けれどもファッロやスペルトの名前はまだ馴染みがないのではないでしょうか。
NYの食料品店でよく見かけるようになったのが「古代小麦」。古代に栽培されていた原生種に近い小麦です。
エンマー小麦やアインコーン小麦はエジプトやローマ時代から栽培されていた古代麦ですが、生産量が少なく、脱穀しにくいため、パン小麦に代わられ、20世紀半ばから収穫量を増やす小麦の品種改良が進みました。しかしそれにつれて、グルテン過敏症や生活習慣病が増えていったのも事実。茶色の古代穀物は、現代の品種よりもタンパク質やミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいて、繊維質に富み、嚙みごたえがあるのが特徴です。また、グルテンフリーではないですが、グルテン摂取を減らしたい人にもおすすめ。
NYのスーパーマーケットで売られている古代穀物を使用した食材類。穀物そのままやそれを使用したパスタなどです。
写真上段の商品の中身で、左からファッロの粒、アインコーン小麦のパスタ、フリーカ。フリーカは若くて青い麦をいって割ったもので中東では伝統的な食材。25分ほどゆでて使います。
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古くて新しい古代小麦の魅力が再発見され、スペルト小麦を使ったパンや、ファッロやカムートを使ったパスタも、健康志向のグルメ食料品店で見かけるようになっています。
全粒穀物で30年以上の歴史を持つボブズ・レッドミル社では古代穀物類を豊富にそろえて販売しています。
古代ローマで食されていたファッロ。ドイツで古くから食べられていたスペルト。古代エジプトに端を発し、聖書でノアが運んだとされる麦で、20世紀になってから再発見されたカムート。さらに麦ではありませんが、レバノン原産のバルガーや、インドで食されてきたソーガム、エチオピアで古くから常食されているテフ、あるいはそばの実などの穀物も、アメリカでは新しい食材として再発見されています。
健康食品業界では有名なボブズ・レッドミル社の製品。石臼を使った製粉から始まった会社で、オレゴン州を拠点とし、30年以上も前から全粒穀物を扱っています。15種類もの古代穀物を販売していて、NYでも多くのスーパーに棚があるので購入しやすく、値段も$4.29~$6.99と手頃です。
Bob’s Red Mill
次回は古代穀物を使用した料理を提供するレストラン&ベーカリーをご紹介します。
撮影/柳川詩乃 取材・原文/黒部エリ