「ミネラル」という名の一皿・海のアクセントにうっとり
野菜の美食で有名なオーベルジュといえば、静岡県・中伊豆の湯ヶ島温泉にある「アルカナ イズ」。美味しいものが食べたくなった時、ゆっくりひとりで温泉に浸りたい時、川の水音と虫の声をBGMに静かな夜を過ごしたい時、運気のいいロケーションでスパを受けてエネルギーチャージしたい時、折に触れて通うお気に入りの宿のひとつです。
天城の豊かな水を集めてごうごうと流れる狩野川がこちらに向かって迫ってくるような立地。川は強い運気を運んでくれる龍の通り道と言われ、流が集まってくる場所はまさにパワースポット。この宿の部屋は、一晩眠ると元気が湧いてくる気がします。
デッキにある露天風呂に入れば、対岸の緑が目の前に迫り、空中にぽっかりと浮いているような気持ちになる不思議な浮遊感があります。温泉は源泉かけ流し。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉で、乾燥しがちな肌を鎮めて、しっとり潤いをもたらしてくれる美人の湯を独り占めできます。
さて、お待ちかねのディナータイム。目の前で料理人たちが仕上げてくれるカウンターでいただくフレンチの美食が待っています。定番の名物料理「大自然・伊豆の輝き」は、60種類の野菜が、マリネ、フリット、ドライ、ピュレ、泡・・・などなど、あらゆる調理方法で一皿に盛られ、味わいの濃さ、香り、食感など何度いただいても驚きの連続です。
そして、今回の一番の感動は「ミネラル」という名の一皿。軽くマリネした金目鯛に春の芽吹きを感じさせる若菜を添えていただく前菜です。味のアクセントは“透明なジュレ”なのですが、これ、なんと!“海水”をジュレにしたものだとか。「海のミネラルを摂っていただきたくて・・・。」と、ニコッと笑って語る山本シェフ。「あっ!なるほど、わかった!」実は、前回ここでシェフにおしゃべりした「海水には100種類以上もミネラルが含まれているんですって」というわたしの話を覚えていてくれたのです。海のミネラルが凝縮した海水の絶妙な塩加減のアクセントが金目鯛に絡んで、リースリング系の白ワインとぴったり。
そして、さらに続く伊豆の海の恵みと野菜の共演。芳ばしく焼いた赤座海老とホワイトアスパラガスは黒トリュフのベール、鬼かさごは優しい新たまねぎの気泡に包まれて、添えられているのはドライにすることで甘味がぐぐぐっと引き出された春キャベツ。
海のミネラルは私たちの体の中にもあり、生きていくのに必要なものばかり、地球上の全ての生き物の生命の源は“海”なのです。そんな海のミネラルいっぱいの美食は春のエネルギーあふれる野菜もたっぷりといただけるバランス食、幸せな美しい旅ごはんでした。
静岡県・湯ヶ島温泉
アルカナ イズ
http://www.arcanaresorts.com/
石井宏子
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