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ブレインフードで若さを保つ!

話題のブレインフードって、どんなもの?

加齢とともに老化する脳にアプローチして、若さと健康を保ち続けられるヘルスフードがあります。それがブレインフード。上手に利用して、脳機能低下を少しでも遅らせるための知恵を矢澤一良先生にお聞きしました。

矢澤一良

矢澤一良さん
早稲田大学ナノ理工学研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門研究院教授。農学博士。予防医学的食品・医薬品素材に関する研究や、海洋資源の有効利用に関する研究で、雑誌やテレビなどでも活躍。

 

日本の女性の平均寿命は延びていますが、健康寿命ということになると、平均寿命と約12歳も差があります。

「健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めるためには、ヘルスフードを利用しながら、知的食生活を続けることが大事ですね」と教えてくれたのは、早稲田大学の矢澤一良先生。
「私がヘルスフードと呼んでいるのは、なぜ効くのかという『メカニズム』がわかっていて、それが安全であるという『セーフティ』がしっかりしていること。つまり、科学的根拠である『エビデンス』がそろっているものだけを指しています。そのヘルスフードの中でも、脳にアプローチするものがブレインフード。それは、高齢化が進むこれからの時代、ますます欠かせないものになっていくでしょう」

「体の酸素の約半分を消費するのは脳ですから、血流が悪くなると脳の機能が低下。また、体内の抗酸化作用が低下すると活性酸素の量が増え、脳機能の低下が増します。さらに、脳神経細胞は年々減少していくので、それらに対抗する措置が必要です」

脳を健康に若々しく保つには、「脳の血流をよくして」「抗酸化作用を向上させ」「脳神経細胞の減少を遅らせながら、それを活性化させる」ブレインフードが大切です。

「サプリメントでしかとれないブレインフードもたくさんあります。しかし、サプリメントを飲む量や期間には個体差があり、注意が必要。サプリメント外来や相談窓口を設けている医療機関や、サプリメントアドバイザーなどの資格を持つ薬剤師のいる薬局もあるので、相談しながら自分に合ったブレインフードを選んで、若々しい脳を目指してほしいです」

 

代表的なブレインフード

何をとればどんな効果が期待できるのか、リストアップしてみました。脳機能の低下は、原因が人それぞれなので、必要なブレインフードも人によって違います。ホスファチジルセリン、DHA、イチョウ葉エキス、など、多くの人に共通の効果が期待できるものを基本に、必要に応じてムードフードなどを選びましょう。

 

ホスファチジルセリン
【期待される作用】記憶、学習機能の向上、抗認知症、ストレス耐性。
【特徴】脳の細胞膜を構成するリン脂質で、脳細胞膜に豊富に存在し、「脳の栄養素」として知られる成分。これを補うことで、記憶、学習能力の向上、認知症改善が期待できることがわかっている。牛肉や大豆にはごく少量含まれているが、十分な量を一般食品から摂取することはできない。現在は大豆由来や卵由来のレシチンから作られている。

代表的なブレインフード・DHA

DHA(ドコサヘキサエン酸)

【期待される作用】神経系の発達、記憶、学習能力の向上、網膜反射脳の向上、制がん作用、抗アレルギー作用。
【特徴】脳、網膜、神経、心臓に含まれる成分で、脳ではシナプス細胞膜の流動を改善して記憶、学習機能など脳機能全般の改善、抗認知症、敵意性抑制作用などで知られている。魚油から摂取できる。

 

EPA(エイコサペンタエン酸)

【期待される作用】血小板凝集抑制(血栓防止)、血中脂質低下作用。

【特徴】魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種。魚油に多く含まれる成分で、一日にマグロの中トロなら3切れ、イワシ2尾、サンマ1尾など、必要量は食生活の中で十分に摂取できる。日本では閉塞性動脈硬化症の医薬品となっている。

代表的なブレインフード・イチョウ葉エキス

イチョウ葉エキス

【期待される作用】脳循環不全による機能障害の改善、記憶改善、抗認知症。
【特徴】欧州諸国では、認知症の医薬品として認められている。イチョウの若葉から抽出されるイチョウ葉エキスはサプリメントでしか摂取できない。サプリメントを選ぶ際には、フラボノイド類24%以上、テルペノイド6%以上を有し、アレルギーを起こすギンコール酸の含有量が5ppm以下の規格品であることを確かめて。

代表的なブレインフード・アスタキサンチン

アスタキサンチン
【期待される作用】強い抗酸化作用。
【特徴】オキアミ、エビ、カニ、鮭などに含まれる天然色素カロテノイド類の一種で、β-カロテンの40倍、ビタミンEの1,000倍もの抗酸化作用が。メラニンの生成を抑制し、抗炎症作用を有する。LDL(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、血流改善作用があるといわれる。また、血液脳関門、網膜関門を通過できることから、脳や目の機能を正常に保つ働きがあるといわれる。

代表的なブレインフード・ミルクペプチド

ミルクペプチド
【期待される作用】抗ストレス作用、睡眠改善作用。
【特徴】牛乳由来のペプチド(アミノ酸が結合した構造)。欧州では古くからミルクにリラ
ックス効果があることが知られている。ストレスをためたり、睡眠不足が続いたりすると、脳の老化は促進されるのはいうまでもない。

 

ムードフード
ストレスによるうつの症状や、怒りっぽい、キレやすいなどの精神的な症状にアプローチ。

ヒメツルニチニチソウ
強い抗酸化作用があり、抗認知症、脳機能改善、うつ病改善などに。
緑茶カテキンやテアニン、カフェインなどを含むハーブで、抗酸化作用、精神疲労の緩和作用、覚醒作用、大脳刺激作用など。
バレリアンバレラノン、バレリン酸、イソ吉草酸などの成分が睡眠改善に働きかける。
パッションフラワービテキシン、アピゲニン、イソビテキシンなどの成分が、睡眠改善に働きかける。
カモミール

リラックス効果があり、睡眠改善に。

エゾウコギβ-エンドルフィンの分泌を促進して、抗ストレス作用に働きかける。
ガラナカフェイン、テオブロミン、サポニン、タンニン、カテキンなどにより、記憶力や注意力の改善が期待できる。
葡萄種子エキスポリフェノールによる抗酸化作用、血流の改善が期待できる。

代表的なブレインフード・葡萄種子エキス

 

イラスト/かくたりかこ  原文/宇野美貴子

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