今世紀は「腸の時代」!" 腸"がこれからの美と健康を大きく左右するといわれています。今回は、羽田美智子さんが、腸内細菌の世界的権威、辨野義己(べんのよしみ)先生からOurAge世代に向けた快便にまつわる"腸にいい話"を教えていただきました。
"うんちは体からの便り"と先生。メッセージをしっかりと読み取って若さと健康寿命を手に入れましょう。
うんち博士・辨野 義己先生に教わりました
健康・長寿・若さのカギ!
「快便」ライフの送り方
うんちの出が健康・長寿・若さを左右する
羽田 腸内環境という言葉を最近よく耳にします。辨野先生はその道の第一人者でいらっしゃいますが、健康や若さとどういう関係があるのでしょうか。
辨野 「羽田さん、いいお通じがありますか?」(笑)。こう聞くと皆さん、驚かれたりクスッと笑われたり、中には嫌な顔をされる方もいらっしゃいますが、この答えこそ、快適な生活、人生を送るためのカギ。いいうんちが出る習慣を身につけることが健康・長寿・若さの秘訣なのです。
羽田 確かに今の時代、食べることには熱心ですが、出すことに関しては無頓着かもしれません。私は仕事柄、肌の状態をいつも気にかけていますが、便通の良し悪しと肌は密接に関係していますね。
辨野 “美腸が美肌を作る”のです。日本人女性の48%が便秘だという統計があります。腸内にものをため込むと悪さをする菌がどんどん有害物質を出し、それが吸収されて肌に大きな影響を与えるのです。
「いくつになっても腸内環境は変えられる。希望の言葉ですね」
いくつになっても腸内環境は改善できる!
羽田 今からでも腸内環境を整えることはできますか?
辨野 はい。まずは自分の腸年齢を知って食事と運動を中心に、ストレスや睡眠不足などの生活環境を見直してください。そして野菜をしっかりと食べること。少し前までは、ビフィズス菌や乳酸菌がいちばんいいと言われていましたが、今は野菜を中心とした食物繊維をしっかりとると「長寿菌」(大便菌とビフィズス菌の腸内細菌を合わせた総称。辨野先生が名付けた)が活性化して良好な腸内環境を作るということがわかってきました。
羽田 長寿菌! 初めて聞きました。どうしたらこの菌を取り込むことができますか?
辨野 女性には約2.5㎏の体内微生物がすんでいて「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」が、良好なバランスの目安として知られています。もともと、私たちの大腸内には、日和見菌の含まれていた“長寿菌”がたくさんすんでいるんですよ。
羽田 わ~っ、本当ですか。では、これを減らさずに増やしていくことを考えればいいんですね!
辨野 その通り。しかし、肉類の食べすぎや野菜不足、運動不足、アルコールの過剰摂取で日本人の大腸がんリスクは史上最悪という現状もあります。
羽田 ここ数年、大腸がんは女性の死亡原因の第1位。だからこそ女性は特に「快便」への意識が重要なんですね。
辨野 よくヨーグルトは何がいいでしょうかと質問を受けますが、どれでもいいんです。混ぜてもいい。1日300gを目安に摂取してほしいのですが、3回に分けて食べてもいいし、味噌汁に入れたりサラダのドレッシングにするなど、料理にも活用してみてください。
羽田 加熱すると菌が死んでしまいませんか?
辨野 菌は死んでも菌体成分がとれるので問題ないんですよ。もっと気軽に考えて大丈夫。僕が思うのは、もっと気軽にうんちの話をしてほしいし、うんちを気にしてほしいんです。腸内環境を整えることが、あらゆる病気の予防につながったり、健康寿命を延ばすのに有効ということがわかってきました。今は“腸を制する者は健康をも制する”時代ですから。
羽田 そうですね。私も意識して食事と運動を取り入れ、快便を目指します。
辨野義己さん
Yoshimi Benno
1948年生まれ。国立研究開発法人理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室特別招聘研究員。40年以上、腸内細菌と健康の因果関係を研究。『腸内細菌の驚愕パワーとしくみ』(C&R研究所)、『100歳まで元気な人は何を食べているか?』(三笠書房)など著書多数
次回からは、「快便ライフ」を送るために知っておきたい4つのことをご紹介していきます。
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/稲垣亮弐(マロンブランド) スタイリスト/梶原寛子〈羽田さん〉 中野径恵〈食品〉
取材・原文/向井真樹 撮影協力/UTUWA