こんにちは、小野アムスデン道子です。
上質のオリーブオイルはバゲットにちょっとつけていただくだけでもおいしい。かつてシチリアではオリーブオイルのことを“緑色の金塊”と呼び、相手を思う最上級の贈り物だったとか。そんな魅力的なシチリア産のオリーブオイルのお店に表参道で出会いました。
それは、オリーブに頭を突っ込んだオーナーがロゴマークになってる「セドリック・カサノヴァ」。オーナーのセドリックは、元シルク・ド・ソレイユの綱渡り芸人というユニークな経歴の持ち主でフランス人ですが、シチリア人を父に持ち、農家が丁寧に育てたオリーブオイルのおいしさを知っています。
彼のこだわりは“単一農家の畑から取れる単一品種の”オリーブオイル。一つ一つのオリーブオイルの個性が際立ちます。東京店の共同経営者でもあり、料理関連の仏語通訳もされる勅使河原加奈子さんは「このお店のオイルは、単一畑で一つの品種のオリーブを搾油して、フィルターを使わないデカンティングという製法で作ったエキストラバージンオリーブオイルです。酸度が0.05〜0.25%ととても低く、エレガントで香り立つフレッシュさを感じていただけると思います」と言います。
酸度は、オイルの酸化の度合いを示すもので、オリーブオイルとテーブルオリーブの国際協定に基づく政府間機関であるインターナショナル・オリーブ・カウンシル(略してIOC、本部はスペインのマドリード)では、エキストラバージンオリーブオイルに適するものを酸度0.8%以下としています。味見をするとフレッシュさやフルーティさとともに、びりっとした辛味を感じますが、これも質の高いオリーブオイルの証。
インターナショナル・オリーブ・カウンシル http://believe-oliveoil.jp
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ビンに手描きされたローマ字の、最初の3文字は農家の名前とあとの2文字がオリーブの種類を意味していてFRCは“フランチェスコの”オリーブオイル。それぞれ、IBは、青草のようなフレッシュさ漂う“ビアンコリーラ”、IPは野菜に合いそうなフローラルな“ピリクダーラ”、ICはリッチで芳醇な“チェラソーラ”と、試してみるとその差がよく分かります。お値段はすべて500mlで4,800円(税別)〜。
「セドリック・カサノヴァ」では、料理とマリアージュしたオリーブオイルを味わうために、店内のシチリア食材を使った小皿料理のコースを味わう「ターブル・ユニーク」を事前予約にて開催しています。昼は17時までで2名から受付可。夜は18時から4名以上の受付です。目の前でお料理を仕上げてくれるそうですが、仕上げにかけるオリーブオイルがとても大切。オリーブオイルの香りや風味が加熱すると失われるものですから。一人3,000円(ドリンク別、税別)でメニューは昼夜共通です。
店内にあった食材の中で珍しくて驚いたのが、オレガノやバジルの“乾燥ブーケ”。シチリアではよく使われるそうなのですが、枝そのまま乾燥させてあって葉の部分をちぎってこするように砕くと、香りがふわっと華やかに広がります。ブーケにしてあってお洒落なのでギフトにも喜ばれそうでおすすめ。一つ900円(税別)。
そのほか、店内には古代小麦のパスタや、お料理にいろいろ応用できそうな完熟トマトソースなどもあって、イタリア料理好きにはたまりません。極上のオリーブオイルを味わうのは本当にしあわせ。また、お友達を誘って「ターブル・ユニーク」もぜひ参加してみたいと思ったのでした。
セドリック・カサノヴァ http://cedriccasanova.jp