東京大学医学部附属病院リハビリテーション部 理学療法士 山口正貴先生が、長年の研究と現場経験から編み出した「ねたままストレッチ」。腰痛になりにくい・治りやすい軟らかさを作るストレッチの「ま」「ま」の方法を具体的にご紹介します。
「ストレッチには目標を設けています。一度、目標とする柔軟性を獲得してしまえば、1週間に一回行うだけで十分なのです。誰しも楽なほうがいいですからね。
しかし、現在腰痛のある方は根治するためにも1日1回1か月は行ってみてください。効果を感じられるはずです」。
「ねたままストレッチ」は以下に注意しておこなってください。
◆1日1回。入浴後から就寝前が効果的。
「布団に入って、ちょっとやってから寝る」習慣を
まずは1回10秒×3セット。数日行なって、どこにも痛みがなければ、徐々に時間を延ばして最終的には1回30秒×3セット。
◆左右交互。休憩を挟んで。
全身を脱力し、深呼吸しながら
「ねじる」「タオル」は左右交互に、「まげる」「まんが」は1セット行うごとに10秒ほど間隔をあけましょう。深呼吸しながら全身を脱力して行ってください。
◆負荷量はお尻や足に痛みが出ない範囲。
少し痛い、というくらいまで
運動後、背骨に少し痛みが出ても、しばらくして痛みが消失するのはOK。しかし数時間も残る場合はやりすぎ。運動後にお尻や足に痛みが出た場合は完全にやりすぎ。ペースを見直しましょう。
◆反動や勢いをつけないこと。
そのポーズをとったら、重力に身を任せる
自分で無理に伸ばそうとしないこと。力を抜いて、筋肉や関節が伸びるのを感じて。
【ま】
「まげるストレッチ」の目標は、足を引き込む力は軽く、太ももが胸につくこと。
お尻と腰の筋肉を軟かく、腰椎を曲げる可動域を広げることが目的です。
1. 膝を立てるときは必ず片方ずつ
仰向けで両膝を立てるところからスタート。このとき片足ずつ立てること。同時に立てると腰が反り痛める可能性が。
2. 頭を床につけたままで片膝ずつ抱える
このとき頭を上げては絶対にダメ。お尻から腰の筋肉が硬い人は頭が床から離れやすいので注意。
3. 両膝を抱える
頭は床につけたままで。もし可能なら左右の手を組む。10秒たったら必ず片足ずつ下ろし1 に戻す。腰、足に痛みが出なければ次に進む。
4. 太ももを胸に引き寄せる
このストレッチの最終形。反動をつけず軽く引き寄せるように行うこと。
股関節が痛い人は…
2までは同じ順序。股関節に痛みがある人は膝頭をくっつけなくても大丈夫。開脚して行ってください。
膝が痛い人は…
2までは同じ順序。膝に痛みのある人は無理をせず、両手を太ももの裏に置くようにしてください。
次はもうひとつの【ま】のストレッチ。
【ま】
「まんがストレッチ」の目標は、このポーズを痛みや硬さを感じずにできること。
お腹と太ももの前の筋肉を軟らかく、腰椎を反らせる可動域を広げることが目的です。
1. うつぶせで肘を立てる
肘は肩の真下に来るように。深呼吸して首、肩、腰、お尻を脱力。10秒たったらうつぶせに戻る。目標を達成したら次へ。
2. 肘を立てて膝も曲げる
最終形。できれば両踵はつけて脱力。太ももの裏がつることもあるので無理せずに。
うつぶせができない人は…
仰向け→バンザイを繰り返す
仰向けからバンザイを繰り返す。床から頭が浮く人は無理につけようとせず枕などを使用。背骨が軟らかくなってきたら徐々に枕を低くし、頭が床につくのを目指す。
上のイラストができた人は…
仰向け・うつぶせを繰り返す
うつぶせになる。このポーズだと胸郭の厚さの分だけ腰がわずかに反ることになる。10秒たったら仰向けに戻る。
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「ねたままストレッチ」で腰痛は治る!
山口正貴 著 ¥1300(税別)/集英社
腰痛を防ぐ・腰痛を自力で治すこと。そのためにはまず軟らかい体は不可欠。本書内には、ストレッチの応用編なども。
山口先生の「さらば、腰痛!」という情熱の言葉が印象的です。