こんにちは小野アムスデン道子です。美食食材の一つ伊勢海老の漁獲高トップという千葉県いすみ市。ここは、房総半島の南東部、いわゆる外房にあって、海流がぶつかりあう栄養分たっぷりの海とのどかな田園地帯の両方から豊富な食材が調達できます。そんないすみ市で、注目の若手料理人のイベント「いすみCLUB RED RESTAURANT」が開催され、美食の新たな可能性に刺激を受けて来ました。
まずCRUB REDとは、35歳未満の若き料理人が参加する日本最大級のコンペティションRES U-35(RYORININ’S EMERGING DREAM)で1次審査を通過した料理人が歴代審査員と共に料理人たちの交流や発信の場となる活動を進めるというもの。今回は、いすみ市の若手料理人たちといすみ市の食材を活かしたオリジナルメニューを開発、「いすみCLUB RED RESTAURAT」として6店舗が参加して2017年9月16日〜9月30日にクリエイティブなメニューを提供しました。
私は、そんなプロジェクトの中の1日イベント「いすみ CRUB RED RESTAURANT Special」に参加。7名のシェフによる創意工夫されたメニューといすみ市の豊かな食材に驚かされました。
うかがったのは、いすみ市地元のイタリアンレストラン「trattoria GIFT」。こちらの川上豊シェフに加えてCRUB RED審査員で関西のイタリア料理界を牽引する「ポンテベッキオ」の山根大助シェフとCRUB REDの5人のシェフたち:高木和也シェフ「Calie(東京)」、田中友幸シェフ「割烹金剛(青森)」、濱多雄太シェフ「hamadaya LABO(高山)」、半田雄大シェフ「トラットリア葡萄屋(東京)」、藤崎亮平シェフ「SALVATORE CUOMO(東京)」という顔ぶれ。
いよいよ、その日のお料理をご紹介。
専門料理の種類が異なるシェフが知恵を寄せ合い、山根シェフがコンダクターのようにまとめたメニューは、いすみ市の美食食材がてんこ盛り!
まず、先付の「旬の野菜とチーズのおひたし」は11種類もの地元で採れた野菜が、湯引き、焼き、揚げなどそれぞれに合った調理でおいしさ倍増。それに新鮮な「高秀牧場チーズ工房」のモッツアレラがクリーミーに絡まって、先制パンチなおいしさ。トマト、オクラ、白ナス、など野菜の味が立っています。
山根シェフみずから目の前で焼き上げた一品は「いすみ流TAKOYAKI」。伊勢海老をエサにして育っていると言われるいすみ市のマダコ。それを大阪名物のたこ焼きにするとは!しかしそこは、山根シェフひと味違います。
お酒で柔らかく煮たタコを昆布出汁を入れた生地に入れて、オリーブオイルを引いてこんがりと焼き上げます。
ソースは、伊勢海老の出汁と伊勢エビ味噌バターにちょっぴりアンチョビの2種掛け、それにパクチーを添えて。外はカリッと香ばしく、中身はとろりとした中にタコの旨みがたっぷり。2個くださいとおねだりしてしまいました。
そのほかに、食材の組み合わせが個性的な「いすみ豚とタコのイタリア風つくね」、杉の香りを生かした「いすみ産伊勢海老杉板焼き」などどれも日本料理の焼き八寸になぞらえて、工夫がいっぱいの焼き物。
いすみ豚は、柔らかく料理した角煮で登場。〆は「タコ飯リゾピラフ」で。どれもこれも、香り、食感、味わいと食材の個性を生かしながら、料理人の創意工夫の味つけがあって楽しめました。
次は、生産現場を見学に!
食事の後は、いすみ市の見事な伊勢海老とおいしいチーズの生産現場を見にいくことに。まず、伊勢海老をその場で調理するレストラン「晴海」で、生け簀を見せてもらいましたが、引き上げた伊勢海老の多さと大きさにびっくり。海老好きの私には、まさに海の宝石箱でした。
もう一カ所、訪れたのはおいしいチーズ作りのために牛乳の新鮮さもちろん牛からこだわる「高秀牧場チーズ工房」。牛の排泄物から作った堆肥を使った自給飼料で育てる“循環型酪農”の牛は、おいしい牛乳を作り出します。牧場の清潔さにもこだわり健康に牛たちを育てています。売店で人気のさっぱりしているのに深みのあるアイスクリームの味は、そんな牛乳のおいしさから来ているようです。
いすみ市へは、東京から京葉線わかしお号で、いすみ鉄道の起点でもあるJR 大原駅まで約80分。緑豊かで海の幸にも恵まれた土地へ、美食のショートトリップが味わえました。「いすみCLUB RED RESTAURANT」は、来年2月にも第2弾が開催される予定とか。また、ローカルの素材を生かしたどんなお料理が登場するのか楽しみです。
取材協力/CLUB RED