体力、資金力に余裕のある50代こそ住まいをリセットするのに最適な時期。セカンドライフを見据えたリフォームのポイントについて住宅ジャーナリストの山本久美子さんに教わりました。
山本久美子さん
Kumiko Yamamoto
住宅ジャーナリスト。リクルートにて「週刊住宅情報」「都心に住む」の編集を経て、2004年に独立。著書に『今こそ! 中古マンション「得」する買い方・選び方』(小学館)。セミナーなども
50代は老後の暮らし方を
考える大切な時期
給湯器が壊れたからバスルームを一緒に替える、不具合の多いキッチンを新しく、など機器の交換や老朽化をきっかけにリフォームを考える人が多いでしょう。いざリフォームするとなれば意外と予算がかかるもの。しかも水まわりは特に費用が必要になります。行き当たりばったりでリフォームするのではなく、これからの住まいのあり方を見据えたうえで計画することをおすすめします。
50代から老後の暮らしを考えるなんて、まだ早いと思う人が多いようですが、住まいは元気で快適に過ごすためにも大切な拠点。しかし老後、年金暮らしになると、大きな支出を控えたいと守りに入る人が多いのが事実です。子どもの独立後は、子育てにかかっていた費用を有効に使えるので、リフォームを視野に入れておくと資金計画にも余裕が生まれます。そのため、ポジティブに考えられる50 代のうちに、将来はどこで、どんなふうに暮らすかをイメージしながら、資金計画とともに、これからの住まいについて夫婦で話し合っておきましょう。
ポイントはセカンドライフをアクティブに過ごすためには、どんな住まいがふさわしいかということ。いつか売却するときのためにといった漠然としたものではなく、いかに人生を楽しむための住まいにするかが発想のポイントです。例えば郊外の一軒家は、子育て時期に適していますが、年齢を重ねると階段の上り下りや、庭の管理が大変です。子どもが巣立ったあとは使わない部屋が増え、夫婦二人で持て余し、掃除も負担になります。そこで2階建てを平屋に〝減築〟するといった思いきったリフォームもおすすめです。一軒家を売却して駅に近いマンションに買い替えるというのもよいでしょう。このように、セカンドライフには、生活の根本をリセットする発想が求められます。
いずれにしても、リタイア後は夫が家にいる時間が長くなることもあり、家事の省力化が必須です。最新機器に替えたり、動線を短縮するなど工夫しておくと、家事ストレスが少なくなるでしょう。何より、将来の暮らし方が見えてくると、必要なリフォームが何か、借り入れても大規模リフォームをしたほうがよいか否かなど明らかになります。
次回は知っておきたいリフォームの基礎知識の2回目をご紹介します。
撮影/富士 晃 イラスト/かくたりかこ 取材・原文/小森知佳