乳がんリスクが高まるOurAge世代。もしあなたが乳がんと診断されたら?
2015年に乳がんが見つかり、手術、抗がん剤治療を受けた井上美也子さんに
病院選びや仕事との両立など、実体験に基づいたお話を伺いました。
井上美也子さん
第一関門は病院選び
以前は母が営むヘアサロンを手伝っていたという井上美也子さん。
「35歳で離婚を決意、経済的にも自立が必要と考えてアデランスに入社。頭皮や髪のお悩みに沿った提案をするカウンセラーとして働きはじめました」
そんな井上さんに乳がんが見つかったのは48歳のとき。会社の定期健診で要精密検査”と連絡を受けたのです。
「乳腺症と診断されたことがありましたが、しこりもないし、今回も大丈夫だろうと。アワエイジ世代は日々の忙しさから、私はがんになるはずがないと自分を過信してしまうんですよね」
ところが石灰化が見つかり、手術が必要という結果に。そこから改めて真剣な病院探しが始まります。
「理由は3つ。上司からセカンドオピニオンをすすめられていたこと。担当医と相性が合わないと感じたこと。そして何より、がんに罹患したお客さまの『自分の命は自分で守る』という言葉を思い出したこと。重要なのは、通いやすさより信頼できる医師に診てもらうことだったんですよね」
仕事を続けるということ
がんの患者さんから教えてもらった病院での手術を決め、右胸の全摘と同時に乳房再建手術で10日間入院。その後1週間休んだだけで仕事に復帰しました。
「検査のとき、パソコンを使いながら受診の順番を待つ患者さんが何人もいらして。今どきのがんは治療しながら働くのが普通だと勇気をもらいました」
3人の子どもを育てていることもあり、生活していくためにも闘病で仕事を辞める選択肢はなかったといいます。
「シングルマザーで父親の役割も果たす必要がありましたから、子どもたちに心まで病気になってはいけない、家族を守るということ、仕事に対する責任、を伝えたかったんです」
手術から1カ月後の検診で抗がん剤治療の追加が決定。仕事を続けるにはまわりの理解と協力が必要と考え、治療をオープンにすることに。
「今まで抗がん剤治療を受けた多くのお客さまと接してきていますから、そのつらさは知っているつもりでした」
髪が抜ける、姿形が変わってしまう。
「でも、ウィッグというアピアランスケア(がん患者に対する外見のケア)を提案することでお客さまが笑顔になり、私は元気をいただいてきました。
私が治療しながらウィッグをつけて仕事を続けている姿をお見せすることで、お客さまに元気のお返しができるのでは? と発想を変えました」
井上さんの乳がんの経過
2015年
1月 健康診断で再検査に
2月 乳がんと診断される
4月 手術
5月 抗がん剤治療追加に
6~8月 抗がん剤を投与
井上さんのお話は次回に続きます。
撮影/矢部ひとみ 取材・原文/佐藤素美