毎食後、きちんと歯を磨いているのに、なんだか歯の調子が悪い…。こんな感覚ありませんか? この違和感は、口内老化のサイン。
口の中は、体の中で最も早く老化が進むパーツです。さらに、20〜30代で治療した部分に不具合が出る時期でもあります。
こうした口内劣化が出てくるOurAge世代は、今のケアの仕方で10年後、20年後が変わります!
今回、お話を伺ったのは…
Yukiko Sato
佐藤由紀子さん
ナグモ歯科 赤坂クリニック副院長、歯科医師。予防歯科を中心に嚙み合わせ、審美歯科、歯科カウンセリングを行う。日本アンチエイジング歯科学会理事。著書に『「口もと」をキレイにすれば120%美人に見える』(大和書房)。http://nagumo-akasaka-perio.com
今、気づくかが分かれ目!
もう始まっている"オーラルフレイル"
「将来寝たきりに」と言われても、まだ正直ピンとこないのがOurAge世代かもしれません。でも実は、肌や髪よりも早く老化の兆候が表れるのが歯、口の中なのです。まだまだ大丈夫と高をくくっていると大変なことに!
最初に始まる老化の兆候は、
実は歯からやってくる
フレイル”という言葉を知っていますか? 身体機能や認知機能が低下して虚弱となった高齢者の状態をこう呼びます。介護は必要ではないけれど、老化が進んでいるという要介護予備群を示す言葉として注目を集めています。
「アワエイジ世代は、身体機能や認知機能に関しては、まだまだ大丈夫、フレイルなんて関係ない、と思われるはずです。でも、身体機能や認知機能よりも先に、口腔内が衰え、それをきっかけにフレイルが加速するともいわれています。ここ数年、学会でもフレイルに移行する前の世代に、"オーラルフレイル"をいかにくい止めるかが話題になっています」
と話すのはナグモ歯科 赤坂クリニック副院長の佐藤由紀子先生。しかも、このオーラルフレイルの兆候はすでにアワエイジ世代から表れていると佐藤先生は指摘します。
「更年期世代は、女性ホルモンの低下で体が劇的に変化するだけでなく、ストレスや生活習慣の乱れで自律神経がアンバランスになり、それによって口内環境がドラスチックに変化します。なかでも著しいのが、唾液の減少です。口が乾くと口の中に細菌が増殖しやすくなり、歯周病や虫歯で歯を失うリスクが高まります。また、口呼吸やくいしばりといった長年の癖も全身症状に影響することがあります」
なんとなく口の中が調子悪いという状態を放置すると、歯周病が進んで歯を失い、全身の不調となることも…!
「歯を失うと、おいしく食べられないだけでなく、嚙み合わせも変わってしまいます。嚙み合わせが変われば、顔の歪み、姿勢にも影響し、体の痛みや転倒のリスクも高まります。また、歯を失うと嚙んで食べる刺激がないので、認知機能も低下。寝たきりなんて先のことと思いがちですが、実は今の歯の問題が密接にかかわっているのです」
まずは、歯への意識を変えるべきと佐藤先生は言います。
「ネガティブな話をしましたが、きれいな歯は究極のアンチエイジングだと私は思います。歯に自信が持てると笑顔も出て、多くの人と会話もはずみ、若々しい表情に。肌やボディケアと同じように、素敵に年齢を重ねたいなら、まずは口内環境を若々しく保つことは必須だと思ってほしいですね」
次回は、あなたの”口内劣化”をチェックします!
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊藤まなび