口内劣化度のチェックで歯周病が進行し始めているのを認識した人も多かったことでしょう。さて、20~30代で治療した"かぶせ"に違和感が出ていませんか?過去の歯の治療部分の劣化を放置しておくと、健康な歯までダメにしてしまうことも! 過去の治療痕も含めて、歯の再チェックが必須なのです!
今回、お話を伺ったのは…
Kiyoshi Amano
天野聖志さん
天野歯科医院院長、歯科医師。米国歯学修了、米国補綴歯科学会認定医、ドックベストセメント認定医、国際歯科学士会フェロー。メディアにも数多く登場。『歯を削らない、抜かない、だから痛くない、むし歯・歯周病の治し方』(現代書林)も話題。https://amanodental.com/
歯の治療部分は年々劣化。
再治療は必須
アワエイジ世代の歯の悩みで多く耳にするのが、過去に治療した歯の悩み。「奥歯のかぶせが合わなくなってきて、強く嚙めない」とか「前歯のかぶせが少し浮いてきて、歯茎の境が黒く見えてしまう」など。
「50歳前後になると、過去に治療した部分に違和感が生じやすくなりますね。歯は治療したら永久にもつわけではありません。食べたり飲んだり、嚙んだりと日々消耗するので、劣化もします。ですが、多くの人は過去に治療した部分は痛みなどが出ないと治療には来ませんね」
と指摘するのは、天野歯科医院院長の天野聖志先生。しかも、50歳前後になると口内老化も始まるため、過去の治療痕の劣化はますます進む可能性があると言います。
「歯の土台となる歯茎部分も治療した頃に比べると痩せてきます。また、顔の骨格も変化するので、嚙み合わせも少しずつ変わって合わなくなってきます。もともと合っていた土台や嚙み合わせでなくなれば、治療でかぶせたものが割れたり、隙間から菌が入ることもあります。放置して、中で歯周病が悪化し、歯槽骨まで溶けていたというケースも少なくありません」
特に神経などを抜いていると、かなり進行して膿がたまって気づいたということもあるといいます。50代前後は、まずは過去の治療箇所も含めて、歯の状態がどうか歯科医でチェック。痛くなってからではなく、プレケアが大事なのです。
次回は、噛み合わせの問題に迫ります。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊藤まなび