9種類の泉質と400本の源泉。宮城県の鳴子温泉郷は、温泉街を散歩して多彩な温泉を湯巡りすれば、かけ算で美しくなれる場所です! 今回からは温泉の横綱・鳴子温泉郷の魅力を4回にわけてご紹介します。
プチ湯治、自分メンテナンス。
週末移住したくなる温泉郷
鳴子温泉郷
● 宮城県
透明グリーンから白濁へ。時間や天候で色が変わる神秘的な温泉。とろとろの感触の硫黄泉で血行促進して代謝アップ&肌すべすべ。(鳴子ホテル)
新幹線からローカル線に乗り換えて40分、鳴子温泉駅に着いたときには、自分時計が少しゆっくりになっているのを感じます。駅を出たら目の前が温泉街、鉄道で行けるのも一人旅には気軽です。鳴子温泉の魅力は湯治文化が残っていること。温泉街の商店には、地元で暮らす人、湯治で長逗留する人、ふらりと旅で立ち寄る人、みんなが集まるので独特の温かさが感じられます。
共同湯へ行けば地元のお母さんと会話が弾み、みんなが温泉を愛していることがわかります。いつでもどこでも迎えてくれる誰かがいる街は、初めてのロングステイでも安心です。コロッケ1個から買える肉屋さん、惣菜や焼き魚も手に入る魚屋さん、ごちそうパンがあるベーカリー、雑貨の掘り出し物が見つかるお土産屋さん、手仕事の伝統に触れられる漆器店や、こけし工房…、毎日散歩しても飽きません。
心身を整えるためには、滞在する宿の食事も大切。地元の旬野菜が中心のおいしくて体に優しい料理が出る宿をふたつ選びました。「旅館大沼」では〝一汁三菜プラン〞をセレクト。発酵玄米と3品の野菜料理をよく嚙んでゆっくり食べるとお腹いっぱい、夕食と朝食は宿で玄米菜食をいただけるので気楽にデトックスできます。
宿泊者専用の露天風呂は少し離れた山にあります。茶室や山荘もあり、希望すれば音楽を聴いたりして過ごすこともできます。ロングステイは時間を自由に使えるのが魅力。お隣の鳴子御殿湯駅は列車で1駅、歩いても30分ほどなのでちょうどいい運動になります。異なる泉質の温泉を湯巡りすることで肌や体への効果はかけ算になります。肌の乾燥が気になるならしっとり系温泉、体の滞りが気になるなら代謝系温泉と、その日の状態や気分で目指す温泉を替えるというのも温泉の横綱・鳴子温泉郷ならでは醍醐味です。
「山ふところの宿みやま」は、農家を営む家族がもてなす小さな宿。金山杉の別館は、こんな空間で暮らしたいと思える自然素材のインテリア、生麻の畳のシンプルな和室は心のリセットにもぴったりです。地元職人が作ったおひつに入った自家栽培米のご飯は、ほんのり杉の香がして絶品。上質なこだわりが感じられる居心地のよい宿です。
鳴子ホテル
温泉神社をお詣りしたら、お隣のこちらで立ち寄り入浴。ごうごうと湯煙が上がる源泉。湯量豊富な自家源泉が、広い大浴場にたっぷりと源泉かけ流しでフレッシュ。その時によって変わる温泉の色も楽しみ。美肌と代謝アップが両方かなう温泉です。
DATA
☎0229-83-2001
[泊]¥14,190~、♨¥1,080 12:00~14:00
内湯+露天=2(男女入れ替え)、貸切1、源泉かけ流し、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉、㏗8.0
すべすべ しっとり デトックス
餅処 深瀬
鳴子名物栗だんご発祥の店。大栗がごろっと丸ごと入った餅にアツアツのみたらし餡で幸せになれます。
☎0229-83-2146 栗だんごセット¥350
おかしときっさ たまごや
湯巡り途中にスイーツとカフェブレイク。
☎0229-83-3021 (営)8:00~20:00
店で焼き上げる手作りのパリブレストシュークリーム¥200、コーヒー¥640
そば処 小花
体を整えたいときには内臓を温める〝温そば〞を。上品なだしに細めのそば。そばのルチンで抗酸化、地鶏でタンパク質も摂取。
☎0229-83-2126
11:00~22:00 無休 地鶏南蛮そば¥700
次回は、千年の歴史を誇る共同湯「滝乃湯」とおすすめのお店2軒をご紹介します。
*[泊]=宿泊料は特に記載のないかぎり、2名1室の場合の1泊2食付き平日1名分の料金(税別)です。宿やホテルにより、別途サービス料や入湯税が加算される場合もあります。
*宿泊日、部屋、料理プランなどによって料金が異なります。
*料理は日によって変わることがあります。
撮影/三谷 浩 杉本 圭 石井宏子 イラスト/かくたりかこ
取材・文/石井宏子(温泉ビューティ研究家)