若い頃とはなんとなく違ってきたことの原因がここに!?
タンパク質不足が招く、体への悪影響とは?
最近、気になる不調や症状はありませんか? それは実はタンパク質不足が原因かもしれません。それほどタンパク質は体に必要なもの。気になる不調ポイントを、ひとつひとつチェック!
今回は、1.体のだるさ と 2.美容面 の2つの不調ポイントをご紹介します。
タンパク質こそ
私たちに必要な栄養素!
よく耳にすること。日本人は農耕民族で伝統的に穀類や野菜を食べていたので、腸が欧米人よりも長い。だから肉を食べると長く腸にとどまり腐敗しやすいので、肉食には適していないというもの。
「これは都市伝説のようなもの。ある研究グループが、50歳以上の日本人とアメリカ人各650人ずつ、大腸に内視鏡を入れて調査したところ、長さに変わりはないことが判明しています」(藤田先生)
つまり、日本人の腸でも、肉はちゃんと消化されるということ。
「そもそも人間は、2万年前から同じ体をしています。その頃は狩猟採集生活をして、肉や草、木の実を食べていました。農耕民族となって米を栽培しはじめたのは、その長い歴史からいえば、ほんの最近のこと。精白された米を食べるようになったのは、ここ100年くらいです。肉食をやめて、米中心の食事で体が必要な必須アミノ酸や脂質が得られないと、さまざまな弊害が出てきます」
例えば、タンパク質不足になると、肌や髪のコラーゲンが不足して、ハリがなくなります。筋肉が落ちれば太りやすくなり、更年期以降は骨の健康にも悪影響が。タンパク質はホルモンや神経伝達物質などの材料にもなるので、不足すると心の病気の原因にも。各臓器の細胞膜の材料が足りなければ、細胞が弱くなり、がんになるリスクも高まります。
「タンパク質こそ私たちにいちばん必要な栄養素。特に50歳からは、低糖質&高タンパク質の食事をおすすめします」
1 体がだるい
体がだるく、疲れが取れない
ちょっとしたことですぐ疲れる、疲れがなかなか抜けない、なんとなく体がだるい…。年齢のせいと片づけがちですが、実はそれはタンパク質不足の可能性が大。体を支える筋肉はタンパク質でできているため、タンパク質が不足すれば筋肉量が落ち、ふんばりが利きません。さらに疲労を回復する成長ホルモンが分泌できないため、疲れが取れにくくなります。
また、必要な酸素や栄養を細胞に運ぶ鉄が不足することで、各臓器の機能低下を招きます。タンパク質など、食べたものをエネルギーに換えるためにはビタミンB群も必要。これらの栄養素は肉や青背の魚に多く含まれるため、きちんと摂取することで解消するかも!
2 美容面
肌や髪の老化が進む
肌や髪の老化もOurAge世代の大きな悩み。これも年齢を理由にあきらめがちですが、もう一度食事内容を見直してみましょう。シワやたるみの原因は、肌のコラーゲン不足。いくらコラーゲン入りの化粧品を使っても、それがそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。
重要なのは体内で合成すること。それには食事で、タンパク質、鉄、ビタミンCを摂取することが不可欠。また、髪にツヤがない、ボリュームが出ないなども、タンパク質不足が考えられます。髪の材料になるのもタンパク質で、亜鉛がその働きを助けます。赤身肉には、タンパク質に加え、鉄も亜鉛も含まれるので、積極的に食べることをおすすめします。
藤田紘一郎さん Koichiro Fujita
1939年生まれ。東京医科歯科大学名誉教授・医学博士。
専門は寄生虫学、感染免疫学。免疫、腸研究の第一人者。
腸や長寿食に関する著書多数。
近著に『50歳からは肉を食べ始めなさい』(フォレスト出版)
次回は、タンパク質不足による更年期と老後の体の不調ポイントについてご紹介します。
取材・原文/山村浩子 藤田紘一郎