「10人に1人」がなるのも時間の問題といわれるほど、いまや乳がんは身近な病気。しかし事前の知識があれば、きっと対処できるはずです。今回からは実際に乳がんになった女性たちにお話を伺いました。
まず最初はパティシエの國松雅子さん。オリジナルのオーダーケーキで人気の工房をたった一人で切り盛りする國松さん。明るくハッピーなのはケーキだけじゃなくご本人のキャラも! 病気をみじんも感じさせない彼女のポジティブさ、それが何よりの薬なのかもしれません。
がんに負けない秘策が
勝手に集まってくる!
前向きでいることが特効薬です
國松雅子さん
Masako Kunimatsu
1964年生まれ。パティシエ
泣いている場合じゃない!
なんとか工房を守らなきゃ!
「46歳の時、献血をしたことがきっかけで、わずか0·6㎜の胸のしこりが見つかり、悪性だとわかって切除。それから毎年、病院には定期的に通っていたのに、検査をせず、問診しか受けていないことに気づいたのはだいぶたってからのことなんですよ!
去年、5年の節目だからと検査をしてもらうと、何も見つからない。でも、自分的にはなんだかいや〜な感じが残ったんです。そのうち胸にできた痛くもかゆくもない小さな突起物が気になり、自分から精密検査を望みました。そこで乳がんと診断されたんです。ステージ3b〜4の浸潤がんとのことでした。
医師からは『手術か抗がん剤か、どっちを先にしますか?』なんて言われて。そんなのわかるわけないじゃないですか。どちらにしても、私は一人きりで工房を切り盛りしているので、動けなくて仕事を休むような治療は避けたい。ショックで泣きながらも、今後のことで頭がいっぱいでしたよ。
セカンドオピニオンでも、やはり抗がん剤で小さくしてから手術をしたほうがいいとのことだったので、『もう、いざとなったら工房をたたむしかないか!』という勢いで、抗がん剤治療をスタートしました。週に1度2時間の点滴です。副作用がひどいと聞いていたので、具合が悪くなるんだろうと覚悟していたけど、待てど暮らせど体調は悪くならない。仕事もできちゃう。ただ、1カ月で髪の毛がごっそり抜けてきました。でも、それもスカーフやストールを巻けばOKで、仕事はまったく休むこともありませんでした。
抗がん剤治療の副作用で髪が抜けていた間も、いつもおしゃれな國松さん。
そして1クール終了後のMRI検査では、90%のがんが見えなくなっていたのです! 次の抗がん剤も予定されていたはずが中止になり、あとは3カ月待ちで摘出手術をするだけの状態に。
髪の毛が抜け始めた頃、ショートにした記念に撮ってもらった写真
國松さんは食生活にも気をつけるようになったそう。
医者まかせにしない!
知識を味方に免疫力UP
実は、去年がんの発覚と時期を同じくして、『ケトジェニックダイエットアドバイザー』の養成講座を受講していました。『糖質はがんのエサ』といわれていることや、栄養と病気の関係などを学び、食生活にはかなり気を遣っていました。さらに、友人にすすめられた『ノニジュース』が私には合っていたのです。8月頃には、患部に痛みがあったのですが、ノニを飲むと痛みもおさまるので、すっかりその効果を信じることに。その他、白血球を上げる『ケイ素』と『水素』、『超音波リンパマッサージ』などを取り入れて。それが功を奏したのか、抗がん剤治療中、それまで以上に忙しく仕事をしてました。
これが國松さんが飲んでいるノニジュース。計り知れない効果がありそう!?
3月には右胸を全摘手術、左脇の小さな転移がんも切除。もうすぐまた診察を受け、今後の方針を決める予定です。今は具合が悪くなることもなく、日々、この小さな工房から、お客さまにハッピーを届けています」
國松さんの乳がんの経過
■2010年:初めての献血をきっかけに、右胸に0.6㎜の悪性腫瘍が見つかり摘出手術。
■2015年6月:乳がん検診で何も見つからなかったが、何か嫌な感じが残り、細胞診を希望。そこで乳がんのステージ3b~4と診断される。
■同年8月~12月:抗がん剤治療1クール。続けて次の抗がん剤投与の予定が、ほぼがんが消えたということで抗がん剤治療は終了。
■2016年3月:右胸摘出、左腋リンパ切除手術。
※記事の体験・感想はあくまで個人の感想です(ルポ部分)。 気になる症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。
次回は乳腺全摘&同時再建を行なった、安河内美和子さんのお話をご紹介します。
撮影/露木聡子
構成・原文/蓮見則子