今回は乳腺全摘&同時再建を行なった安河内美和子さんにお話を伺いました。
同性から見ても惚れ惚れするような引き締まったボディライン。趣味がダンスという安河内さんのそのしなやかでキビキビとした動きは、少し前に全摘&再建手術をしたとは思えないほどエネルギーに満ちあふれていました!
考え抜いた末に
出した結論は
復帰が早い
乳腺全摘&同時再建!
安河内美和子さん
Miwako Yasukouchi
1959年生まれ。
広告代理店勤務、プロデューサー
ダンスを続けたい気持ちを
大切にして選んだ治療法
「母も叔母も乳がんだったので、いつか私も…と、どこかで覚悟していた部分がありました。発見が遅れて転移してしまうことが怖いという認識があったので、がんと診断されたときは『直径1㎝以下で超早期発見した自分は偉い! 褒めてあげたい!』という気持ちのほうが先でした(笑)。偶然にお風呂で見つけただけでしたが…。
手術とかいろいろ大変だなあ…とは思いましたが、不思議なことに不安や恐れを感じることもなく、冷静な自分に驚いたほど。さっさと適切な治療を受けて元に戻ろうと、実にサバサバした気分でした。告知された帰り道、家族や仕事仲間、ダンスの先生などに『乳がんになったけど、迷惑かけないよう頑張ります!』と第一報を送りました。そんなストレートな報告、受たほうが困ったかもしれませんね。
その病院ですすめられた治療は、スタンダードな部分摘出+放射線治療でしたが、セカンドオピニオンや経験者談も聞いて納得できるまで考えました。そして出した結論は別のクリニックでの『乳腺全摘&同時再建』手術。これは、乳腺外科医によるがん摘出手術と、形成外科医による再建手術を一挙に行うもの。一度だけの手術で完了でき、しかも胸のふくらみを失わずにすむという点では、仕事にもダンスにもすぐ復帰したいという自分の希望とマッチしていました。
さて、手術です。全摘手術は大抵2週間入院ですが、このクリニックは手術当日午前中に行き、午後手術し、1泊して翌朝9時までに退院という、甘やかしがまったくない驚異の欧米式入院体制。体育会系の私には向いていたかもしれません(笑)。
家事などもすぐに始めたため、病人扱いされたのはほんの数日。翌週からは在宅でパソコン業務をスタート、数日後には軽めのヨガ、3週間経たずに、ダンスのレッスンも再開しました。
術後1カ月。以前の筋トレも復活させました。腹筋ローラーが活躍! 治療方針が決まってからの経過は、こんな写真とともにFacebookに記録しています。乳がんの方の参考になればという思いから
次のページでは手術後の抗がん剤治療などについてご紹介します。
抗がん剤、ホルモン治療も
副作用がないのがラッキー
2カ月後からは抗がん剤治療。副作用の穏やかな飲み薬にしてもらったせいか、自覚できる副作用はほぼありません。普通に仕事もできました。それも無事に終え、今はホルモン療法のみです。これも更年期と同じような不調が出ることが多いのですが、ありがたいことに今のところ症状はなし。
誤解を恐れずに言うならば『乳がんになってよかった』と思っています。なっていなければ縁がなかったような素晴らしい方々との出会いが財産になりつつあります。それは確実に今後の私の生き方の見直しにもつながっていくもの。将来迎えるであろう定年退職の時を待たずに、生涯現役で続けられる仕事を見つけようという意識の芽生えを生みました。そう、まだまだ人生は長く、そして楽しみなのです!」
乳がん患者御用達のユニクロのソフトブラを大人買い!
手術から20日目。3㎏のダンベルとゴムチューブで筋トレ中
安河内さんの乳がんの経過
■2015年6月:入浴中に右胸のしこりに気づく。同月、某大学病院にて検査、針生検実施。
■同年7月:ステージⅠの浸潤がんと判明。部分摘出+放射線治療をすすめられる。自分が求める治療法かどうかをセカンドオピニオンも含めて比較検討、「乳腺全摘、皮膚温存、同時再建」という答えを出す。
■同年8月:乳腺全摘&同時再建手術(1泊のみ)
■同年10月~2016年3月:経口の抗がん剤服用。
■2016年4月:ホルモン治療開始(10年間の予定)。
※記事の体験・感想はあくまで個人の感想です(ルポ部分)。 気になる症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。
次回は手術や治療内容に妥協しなかった、菅原三千代さんのお話をご紹介します。
撮影/露木聡子
構成・原文/蓮見則子