羽田美智子
“自分磨き”のための大人の手習い
Vol.4
脳科学コメンテーター・黒川伊保子さんが指南。
50代になると実は、
「脳」と「直感」が
どんどん冴えてきます!
「56歳からが脳の絶頂期!」(黒川伊保子さん)。ふと目にしたこの言葉によって
年を重ねることに希望が持てるようになった、という羽田美智子さん。
脳科学のエキスパート、黒川さんにMyAge世代に向けた
「脳のためにこれからやるべきこと」を教えていただきました。
「脳は何をすればいいかを
知っているの。だから
無邪気でいるのが一番!」
脳を上手に働かせるには
自分の物差しを判断基準に
羽田“脳のピークは56歳の誕生日の直前から”という黒川さんのお話を雑誌で拝読して、衝撃を受けました。それ以来、いつかお会いしてもっと詳しくお聞きしたいと思っていたんです。
黒川 それは光栄です。「40代を花にたとえるならバラの花のようだけど、50代はもっと大きなボタンの花のようよ」とある先輩から言われたことがあるのですが、その言葉をそのまま羽田さんに贈ります。
羽田 ありがとうございます。何だかすごく希望が持てる言葉ですね。私は自分が40代に突入したときに50代の方から「40代が最高よ。50代になると、途端にあちこちガタがきて…」と言われ、先のことを思って気持ちがドーンと暗くなったことを今でも覚えているんですね。だからこそ、56歳までに脳をピークに持っていくコツをぜひお聞きしたかったのです。
黒川 脳は自分で考えたことには数%しか能力を使わないのに、潜在意識には90%以上の力を発揮するものなの。だから脳が最も上手に動いている人というのは、世間で言う“運のいい人”と言い換えることができるんです。何を選んだら自分にフィットして心地よくいられるか、脳がいちばんよく知っていますからね。そのためにすべきことは、脳の神経回路の邪魔をせずに健康でいることなんです。
羽田 何だか簡単そうにも聞こえますが、私にもできるかしら。
黒川 羽田さんはまず、その先輩の言葉を封印しましょう。ネガティブな考えは、世の中のネガティブな信号を感知しやすくなって潜在意識の中に滞ります。だからまた引き寄せてしまうという悪循環に陥るわけ。かといって意識してポジティブにするのも考えもの。自分がいいと思ったものが、人の物差しで測った価値観であったり人から見てどうかということで脳をコントロールしていたとしたら、それはとても危険なことなの。
羽田 幸せや心地よいと思うことは、自分で測り、選ぶべきなんですね。
黒川 その通り!
羽田 脳って不思議な臓器ですね。以前、脳は腸から始まったという説を聞
いたことがあります。
黒川 物事がパッとつかめることがありますよね。“合点がいく”“なるほど!”という感覚ですが、あれは小脳の活性化によるもの。小脳が活性化すると、連動して免疫の中枢を担う小腸も活性化して、免疫力がグンと上がるんです。人はよく“腹に落ちる”とか“腑に落ちる”と言いますが、本当に納得するとそれがお腹に落ちて、落ちたことに対して人はめげないんですね。
羽田 なるほど~! では、お腹に落ちないこと、納得しないことをするのは、脳のためにはよくないのですね。
黒川 はい。神経回路の邪魔をせず健康さえ保っていれば、脳はいちばんいいものを見せてくれます。私たちはその状態をつくるだけなんです。
次ページに続きます。
閉経は50歳からの未来を
明るくする最大のチャンス!
黒川 皆さん、閉経を女性のゴールと考える傾向にあるようですが、脳にとってはビッグチャンスなんですよ。
羽田 えっ、それはどういう意味なのでしょうか?
黒川 閉経すると血液を捨てずにすみますよね。血中には、内部に鉄分を貯蔵しているタンパク質の一種、フェリチンがあります。これをどれだけたくさん持っているかがポイントなんです。
羽田 裸の状態の鉄ではなく。
黒川 ええ。血液中にこのフェリチンがしっかりあると、疲れにくくなります。そのフェリチンは、閉経と同時に増えてきます。また、女性ホルモンの材料であるコレステロールも使われなくなるので増えてきますが、これは脳の信号を守る大事な材料。したがって、閉経は脳がバージョンアップするチャンスなんです。
羽田 なるほど。そう聞くと、閉経も怖くなくなりますね。
黒川 閉経の平均年齢は50歳。閉経を自分のアドバンテージにつなげるためには、48~56歳までの間で、体と脳をどう調整するかがポイント。運動をはじめ、今まで使ったことのなかった神経回路をどれだけ豊かにできるか。車にたとえるなら、その間にどれだけの機能を搭載できるかで、56歳からの性能が決まってくるというわけ。私、この時期を勝手に「閉経B48」と命名してみました(笑)。BはビフォーのBでもあり、ビューティのB。
羽田 私も「閉経B48」の年齢(笑)。
黒川 さらに先を見ると、80歳を越え
ても人間の脳は112歳までは進化することがわかっています。実は、90代半ばで脳が若返るというデータもあるの。90代の先輩は「80歳までは世の中をレースのカーテン越しに見ているようなもの。80歳を越えると、そのカーテンが開いて、何もかもがスッキリ見えてきた」とおっしゃいました。
羽田 え~! !
黒川 80代からはいよいよ“神の域”。楽しみだと思いませんか?
羽田 先輩方がそう言ってくださると気が楽になるし、希望が持てますね!
黒川伊保子さん
Ihoko Kurokawa
1959年生まれ。人工知能研究者。脳科学コメンテーター。奈良女子大学理学部物理学科卒。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで人工知能の研究開発に従事後、コンサルタント会社勤務、民間研究所勤務などを経て、2003年、感性リサーチを設立。右の著書や『女は覚悟を決めなさい』(ポプラ社)など著書多数
黒田さんの最新刊は、こちら。
「なんだか最近、さえない…」と思ったら、それは脳が疲れているせいかも!? 脳を見つめ続けてきた黒川さんが提案する、〝脳のメンテナンス〞のための生活指南本。
『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す!
人生を変える7日間プログラム』
本体¥1,200+税/集英社
お求めはこちらから。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-781604-4&mode=1
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/稲垣亮弐(マロンブランド)〈羽田さん〉
ヘア&メイク協力/千葉智子(ロッセット) スタイリスト/坂本久仁子〈羽田さん〉
取材・原文/向井真樹