毎日オーラルケアをしているつもりでも、方法が間違っていたら効果なし!
実は日本人の多くは正しいケアができていないとか。口内環境を整えるために本当に必要な方法とは?
大切なのは歯磨きではなく「プラークコントロール」
豊山とえ子さん
Toeko Toyama
1959年生まれ。歯科衛生士。夫である豊山洋輔氏とともに、削らない歯科治療をする「聖母歯科医院」を経営。日本顎咬合学会認定歯科衛生士、ホワイトニングコーディネーターなどの資格も。著書『歯は磨かないでください 歯周病を治すと、全身が健康になる』(廣済堂出版)が話題に
歯磨きでなく「プラークコントロール」を
”私は毎日歯を磨いているから大丈夫!”と思っている人も多いと思いますが、まずはその認識から変えてくださいと、歯科衛生士の豊山とえ子さん。
「日本人の多くは、歯を磨けば虫歯や歯周病が防げると思っているようですが、これは間違い。日本では毎日歯を磨く人が95%もいるにもかかわらず、虫歯や歯周病が多いのがその証です。本当に必要なのは、歯を磨くことではなくプラーク(歯垢)コントロール。口内の細菌を取り除くことです。海外では小さい頃から口内の細菌の取り除き方を教わっています。でも日本では“何を取り除くか”を理解していない人が多いため、正しいオーラルケアができないことが多いのです」
歯ブラシでは6割しか汚れが落ちない
では正しいオーラルケアの方法とは?
「ほとんどの人は、歯ブラシを歯の表面など当てやすい部分にしか当てておらず、歯垢が残ってしまっています。歯ブラシで落とせる歯垢は約61%というデータも。歯垢がたまるのは、歯と歯の間、歯茎のきわ、歯の真後ろ、奥歯の嚙み合わせの溝の4つ。これを落とすにはワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロスも使うことが不可欠。
まず歯ブラシは毛の先端とかかと部分を、歯の外と内それぞれの奥角と手前角に当てるのがポイント。歯茎のきわ、歯と歯の間の角に斜め45度に当て、5㎜幅程度を上下または左右に小刻みに振動させて。1分間に数万回振動する電動歯ブラシなら歯1本に2秒ほど軽く当てるだけで効果的に歯垢が落とせてベターです。歯ブラシが届きにくい歯と歯の間には、ピンポイントで毛先が届くワンタフトブラシを使いましょう。特にいちばん奥の歯の向こう側や前歯にはヘッドが直角のものが最適です。
また、歯と歯の間の歯垢の除去には歯間ブラシを。ただし歯間ブラシは歯の隙間に合わせてサイズを選ぶことが重要です。小さすぎると歯垢が残り、大きすぎると歯肉や歯を傷つけるのでストレスなく入るものを。歯と歯の間の隙間がない場合はフロスが◎。初心者には細めのワックス付きで、持ち手のあるものがおすすめ。指に巻きつけて使うフロスは自己流で使うと歯垢が残りがちなので、一度歯科医師や歯科衛生士に使い方を教わって。これらの組み合わせで歯垢除去率が格段に上がります。歯専用鏡や歯の汚れを染め出す液で確認しながら行うとさらに理想的」
次回はプラークコントロールの具体的なケア法をご紹介します。
撮影/中川十内 イラスト/内藤しなこ 構成・原文/和田美穂