みなさん、これがなんだかわかりますか?
とある会場の外にディスプレイされていたカカオの実なんです。
そしてこちらが白い房の中のカカオ豆です。
実はこの日は、「ImPACT山川プログラム」と明治が行った共同研究の中間報告会でした。既に新聞やTVでのニュースでご存知の方もいらっしゃると思いますが、OurAgeでもしっかり取材してきましたよ!
「ImPACT山川プログラム」とは、内閣府が取り組んでいる「革新的研究開発プログラム(ImPACT)」のひとつ。新たな科学技術の活用法を見いだすために、公募で選出された16名のプログラム・マネージャー(PM)により、さまざまなジャンルでの研究開発が続けられています。
山川義徳さんがPMとして統括する「ImPACT山川プログラム」では、脳の健康をターゲットにした研究を進めているのだそう。
「アメリカやヨーロッパでは、脳疾患を治すための脳研究がトレンドです。その一方で、脳機能が失われたのなら、それを補うためのIT開発が必要だという議論もあります。私たちは、脳の機能が低下する前の段階の、脳の健康維持、増進を目指した研究開発を進めています」
スクリーンには脳のMRI画像が映し出されました。
「現代はMRIによって脳の状態も計測できるようになりましたが、これを見ただけでは、脳が健康かどうかわからない。そこで、脳の働きを測定するIQのように、脳の健康を判断できる指標を作ろうと思ったのです」
GM-BHQ(大脳皮質の量)を数値化することで情報処理の可塑性(頭の柔軟性)、FA-BHQ(神経繊維の質)を数値化することで情報伝達の効率性(頭の回転の良さ)という、2つの指標を開発したそうです。
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「ImPACT山川プログラム」では既に150人のBHQデータを解析し、年齢が高いほどBHQが低下する傾向にあると確認しているとか。上の写真は山川さんのMRI画像で、自身も歳を重ねるにつれGM-BHQが低下していたそうです。
そこで、「BHQチャレンジ」として食事や運動、生活習慣など、さまざまな企業から脳の健康を維持・向上させるアイデアを募り、入選アイデアの中から5件を選定して実証トライアルを行ったそう。2015年の結果では、オフィスストレッチで30人中70%の人のFA-BHQが向上するという結果が出たとのこと。FA-BHQは、頭の回転の良さと関係していますから、仕事などで煮詰まったとき、ストレッチをするのはカラダにも脳にも良かったわけです。これは実施しなくちゃですね!
そして2016年度には明治との共同研究が実現し、男女15名ずつを対象に1カ月間毎日、カカオ分70%以上のチョコレートを5枚(1枚5g)摂取するという実証トライアルを行ったそう。
何と、GM-BHQは60%、FA-BHQは47%の人が約1歳から2歳分くらい増加したという結果だったそうです。しかも、特に中高年女性が増加している傾向とは、まさにOurAge世代です! これはうれしい発見ですよね。年齢と共に低下してしまうBHQも、美味しいチョコレートを毎日食べることで、脳が若返る可能性が見えてきた?
「30人を対象に1カ月間行ったトライアルですから、現在ではあくまでもデータレベルですが、今回の結果は脳の健康度が見える化の道筋になったと考えています」と、山川さん。
明治 常務執行役員 研究本部長の伊藤裕之さんも登壇し、今回の実証トライヤルの結果を受け、大規模な長期研究を進めていくとおっしゃっっていました。明治では今までに高カカオチョコレートによる健康効果の研究なども実施していますから、今後が楽しみです。
脳のためにも、食べるなら高カカオチョコレート?