閉経以降の体の若さを保つには
骨盤底筋(こつばんていきん)と腟の若さ、骨量をキープ!
閉経後は女性ホルモンの分泌が欠乏して、骨盤底筋や腟が緩み、骨粗しょう症予備軍になる心配も…。
まずは筋力の衰えや骨量減少を食い止めて、50代の体を老年期まで絶対にキープしたい!
“過去のダイエットが影響するってホント?”
“くしゃみをすると尿もれが!”
“実母が骨粗しょう症です。娘 の私もなりやすい?”
“腟が乾燥して、かゆくて不快”
“SEX するとヒリヒリしてもうイヤ!”
“トイレに行きたい!と思ったら間に合わず…”
弾力が命!
骨盤底筋は年齢とともに変化します
40代以降、徐々に弾力が失われていく骨盤底筋。
年齢とともに変化するから、思わぬリスクがあることを、きちんと知っておきたい!
ここでは、骨盤底筋の変化や気をつけるべきこと、起こりうるリスクなどをご紹介します。
今回は、妊娠&出産期の状態についてです。
【妊娠&出産】
一時的に骨盤底筋クライシスに
陥ることが…!
「妊娠中は大きな子宮を支えるために負担がかかります。また、出産時には直径10㎝もの赤ちゃんの頭が腟や骨盤底筋の開口部を押し広げながら出てくるため、筋肉が伸びて緩み、多少の断裂も起こります。この時期は一時的な骨盤底筋クライシスの状態ですね」と松峯寿美先生。
いったん緩んで断裂した腟や骨盤底筋は、産後数カ月後には元に戻りますが、断裂修復が不完全だとそれが原因で、忘れた頃に骨盤底筋が緩み、尿もれや子宮脱などを招くことがよくあります。
「出産回数が多い人は、出産プロセスが早くて楽ですが、赤ちゃんが腟や骨盤底筋を通り抜けた回数が多いぶん、後々、骨盤底筋が緩むリスクを持っています。一方、出産経験がない人はダメージを受けていませんから、大きく緩むことはないですが、誰もが年齢とともに衰えていくのは避けられません」
難産でなくとも出産すると、多かれ少なかれ、骨盤底筋はダメージを受けます。そのため多産の人は更年期以降、緩みやすい傾向に。帝王切開の人は骨盤底筋が傷つく心配はないでしょう。
赤ちゃんが通り抜ける経験をしていないぶん、腟と骨盤底筋の緩みは軽度といえるでしょう。ただし、出産経験がない人も、年齢とともに骨盤底筋が衰えて緩むことには変わりありません。
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1946年生まれ。東峯婦人クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。
東京女子医科大学、同大学院卒業。
1980年に開業以来、妊娠・出産・更年期・老年期まで、
婦人科系のQOL(生活の 質)を保つ医療を実践。
骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術なども行う。
『女性の医学BOOK』(永岡書店)など著書多数
福岡由理さん Yuri Fukuoka
1982年生まれ。理学療法士。
東峯婦人クリニックにて産前・産後の骨盤底筋ケア、更年期以降の尿もれ、
骨盤臓器脱の予防・改善に有効な骨盤底筋トレーニングを指導している。
全身のバランスを整えて不調を改善する理学療法を行う。
共著に『ウィメンズヘルスと理学療法』(三輪書店)など
次回は、40~50代(更年期)の骨盤底筋の状態と起こりうるリスクについてご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵 監修/松峯寿美、福岡由理