閉経以降の体の若さを保つには
骨盤底筋(こつばんていきん)と腟の若さ、骨量をキープ!
閉経後は女性ホルモンの分泌が欠乏して、骨盤底筋や腟が緩み、骨粗しょう症予備軍になる心配も…。
まずは筋力の衰えや骨量減少を食い止めて、50代の体を老年期まで絶対にキープしたい!
“過去のダイエットが影響するってホント?”
“くしゃみをすると尿もれが!”
“実母が骨粗しょう症です。娘 の私もなりやすい?”
“腟が乾燥して、かゆくて不快”
“SEX するとヒリヒリしてもうイヤ!”
“トイレに行きたい!と思ったら間に合わず…”
弾力が命!
骨盤底筋は年齢とともに変化します
40代以降、徐々に弾力が失われていく骨盤底筋。
年齢とともに変化するから、思わぬリスクがあることを、きちんと知っておきたい!
ここでは、骨盤底の変化や気をつけるべきこと、起こりうるリスクなどをご紹介します。
今回は、60~70代以降の状態についてです。
【60~70代以降】
子宮脱などのトラブルが
起きるケースも
「骨盤底筋が緩むと、子宮、膀胱、直腸が本来あるべき位置から下垂してきます。その際、緩んで広がった腟内に子宮が落ち込む〝子宮下垂〞、腟が裏返った靴下のようにめくり返り、子宮が外に飛び出してしまう〝子宮脱〞を招くことが。また、臓器を支える靭帯などの支持組織も衰えるため、垂れ下がった膀胱や直腸の一部が子宮側に傾いて、腟壁内に瘤のように突き出る〝膀胱瘤(ぼうこうりゅう)〞や〝直腸瘤(ちょくちょうりゅう)〞を引き起こすケースも。これらは〝骨盤臓器脱〞と呼ばれるトラブル。誰にでも起きるわけではありませんが、60〜70代の女性の約2割が経験するとされます」
30代の子宮は鶏卵大のサイズですが、年齢とともにしだいに萎縮していきます。家族の介護などで腹圧をかける日々が重なれば、骨盤臓器脱のリスクが高くなります。「骨盤臓器脱は命にかかわる病気ではありませんが、悪化させないうちに治療を受けることが必要。異変に気づいたら早めに婦人科を受診しましょう」
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1946年生まれ。東峯婦人クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。
東京女子医科大学、同大学院卒業。
1980年に開業以来、妊娠・出産・更年期・老年期まで、
婦人科系のQOL(生活の 質)を保つ医療を実践。
骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術なども行う。
『女性の医学BOOK』(永岡書店)など著書多数
福岡由理さん Yuri Fukuoka
1982年生まれ。理学療法士。
東峯婦人クリニックにて産前・産後の骨盤底筋ケア、更年期以降の尿もれ、
骨盤臓器脱の予防・改善に有効な骨盤底筋トレーニングを指導している。
全身のバランスを整えて不調を改善する理学療法を行う。
共著に『ウィメンズヘルスと理学療法』(三輪書店)など
次回からは、年齢ととも弾力が失われていく「骨盤底筋」を鍛えるための、骨盤底筋トレーニングについてご紹介していきます。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵 監修/松峯寿美、福岡由理