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【時間栄養学で無理なく痩せる】食べ方実践編・朝食を欠かさず食べて、体を目覚めさせよう

時間栄養学によれば、朝・昼・夜の時間帯によって、同じものを食べても太りにくい時間と、太りやすい時間があります。今回は、時間栄養学的ダイエットの実践編。朝食では何を食べるといいのか。痩せやすい体づくりに役立つ朝食のとり方について、理学博士・管理栄養士の古谷彰子先生にレクチャーしていただきます。

朝は血糖値が上がりにくい時間帯。多めに食べてもOK!

 

朝食には体内時計をリセットする役割があります。私たちの体は、前日の夕食後から10~12時間の絶食時間を経て、朝食をとることで体が目覚めます。すると内臓が動き始め、血流が巡り、一日をスタートする生体リズムのスイッチがオンに。

 

朝食を抜いてしまうと体内時計がリセットされず、時差が生じたままの状態で今日一日の体内時計がスタートしてしまいます。実はヒトの体内時計は一日24時間よりも少し長め。朝食でリセットしないと、どんどんずれてしまうのです。

 

体内時計が乱れて〈体内時差ボケ〉の状態に陥ると、頭がボーっとしたり、疲れがとれなくなったりして、昼間の活動(仕事や家事など)のパフォーマンスも低下してしまいがち。そうならないためにも朝食が欠かせません。

 

「朝食は一日の活動に備えたエネルギー源となるので、わりと多めに食べても太りません。むしろ、朝と昼にしっかりと食べて、夜の食事を控えめにするほうが痩せやすい体になるんですよ。ちなみに、仕事柄、深夜勤がある人も、自分なりの時間軸で、一定の時間を朝食タイムに決めることで、体内時計をリセットすることができます。夜勤明けで帰宅したら、朝食をとってから寝るようにするといいでしょう」(古谷彰子先生)

 

朝食に何を食べるといいの? 
炭水化物+タンパク質を基本に、DHA・EPAをプラスしよう

 

朝食はトーストとコーヒーだけ、またはフルーツだけ、ヨーグルトだけと、単品ですませていませんか? でも、体内時計をリセットするには、炭水化物とタンパク質を併せてとることが重要。なぜなら、炭水化物とタンパク質をとることによって、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を上げることができるからです。

 

インスリンの分泌を促して体を目覚めさせる炭水化物は、朝こそ食べるべき。夕食で多めに食べてしまうと、太りやすくなってしまいます。さらに、魚に含まれるDHA・EPA、食物繊維を加えると、よりベストな組み合わせに!

 

「DHAとEPAには血糖値を上げる働きがありませんが、GLP-1(ジーエルピーワン)というインスリンの分泌を促してくれるホルモンを出す働きがあります。GLP-1を経由して血糖値の上昇を促すので、DHA・EPAも朝食でとるのが効果的というわけです」

 

また、シークヮーサーにはビタミンCが豊富に含まれており、コラーゲンの生成を助ける働きがあります。体のハリや肌の健康を保つために、日々の食事に取り入れたい栄養素のひとつです。ビタミンCは紫外線による肌ダメージ(酸化ストレス)から細胞を守る抗酸化作用を持つことが知られているため、強い日差しを浴びる前の朝食に取り入れるのもおすすめです。焼き魚にかけたり、ミネラルウォーターに数滴落として飲むとよいでしょう。

 

朝食におすすめしたい炭水化物は米、小麦、とうもろこし

 

朝食でとりたい炭水化物は「地上デンプン」と呼ばれる米、小麦、とうもろこしなど。これらはデンプンの粒子が小さいため、消化吸収しやすく、血糖値が上がりやすいので、体を目覚めさせる朝の食事におすすめです。

 

「逆に言えば、土の下で育つじゃがいも、にんじん、さつまいもなどの『地下デンプン』は粒子が大きく消化吸収がゆっくり。血糖値の上昇が穏やかなので、夜にとるといいですよ。ちなみに春雨は、じゃがいも、さつまいもなどからとれたデンプンを原料としているので、夕食に適した食材です」

記事が続きます

 

不足しがちな食物繊維もプラスしたい!

 

血糖値を緩やかに上げるためには、「まずは食物繊維から」という食べる順番も大切です。

 

「果糖を含むフルーツは血糖値を上げやすいので朝食に適していますが、いきなりマンゴーを食べるのではなく、先に野菜やたんぱく質をとってからのほうがいいですね。食物繊維(野菜、海藻など)、タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)、そして、デンプン質の主食を食べてから、最後にフルーツを食べるほうが血糖値の上がり方がマイルドになります」

 

また、食物繊維を朝とることによって、昼食や夕食を食べたあとの血糖値上昇を抑える「セカンドミール効果」も得られ、脂肪がつきにくい体づくりができます」

 

朝食はパン食よりも、和食のほうがいいの?

 

和食は品数があるので、朝からしっかりと食べたいときにおすすめです。例えば、ご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼き、納豆、焼きのりというメニュー構成の場合、「炭水化物+タンパク質+DHA・EPA+食物繊維」をバランスよくとることができます。古谷先生によれば、納豆に含まれるビタミンKは、骨を強くする働きだけでなく、体内時計のリセットにもかかわっているのだそうです。

 

「ただ、和食でなければダメというわけではありません。洋風でもOKです。パンやシリアルを食べる場合は、サラダチキンかツナ、目玉焼き、野菜サラダ、ヨーグルト、スープなどと組み合わせてボリュームアップすると、「炭水化物+タンパク質+食物繊維」のバランスがよくなります。トーストにジャムではなく、ツナやしらす、納豆、チーズをトッピングしたトーストにすれば、タンパク質とDHA・EPAもとれますね」

 

ちなみに、シリアルに含まれる大麦やオーツ麦は、体内時計のリセット作用がある水溶性食物繊維が豊富。海藻などに含まれる水溶性食物繊維は、朝とることで腸内環境の改善にかかわります。朝食時に食べることで、腸内細菌が元気になり、便通もよくなるのだそうです。また、牛乳に含まれるトリプトファンというタンオアク質は、夜間の眠りの質をよくするメラトニンの原料になります。

 

つまり、朝食を食べることによって体内時計が整うと、便通や眠りの質もよくなり、巡り巡って太りにくい体づくりができるのです。

 

古谷先生のおすすめ朝食メニュー

 

★焼き鮭をメインにした和定食

 

ご飯と味噌汁(わかめと豆腐)、卵焼き、納豆などを組み合わせると、食べ応えのある和定食になります。鮭の身には良質なタンパク質が含まれ、皮にはDHA・EPAが含まれているので、体内時計をリセットするのに一石二鳥。炭水化物+タンパク質+DHA・EPA+食物繊維(水溶性食物繊維)をとることができます。「朝は食欲がない」という人は、ご飯をおかゆにしたり、鮭茶漬けにしてもいいでしょう。

 

★海苔納豆トーストにスープ、サラダをプラス

 

「パン食」の人は、バターやジャムをつける代わりに、納豆、チーズ、シーチキンをトッピングしたトーストにすると、タンパク質+DHA・EPAをしっかりと補給できます。野菜スープやサラダを添えると、食物繊維が十分とれて、ボリューミーに。ツナやサバの缶詰を利用すると便利です。

理想的な朝食メニュー(和食・洋食)

 

記事が続きます

★サバの卵とじうどん

 

麺類を食べるときは、タンパク質とDHA・EPA、食物繊維を足し算して、アレンジ。サバ缶を汁ごと使ってしょうがを加え、溶き卵でとじたうどんなら、体内時計のリセット効果もばっちり。玉ねぎの薄切り、しめじを加えると、食物繊維も併せてとることができます。

 

 

【お話を伺った方】

古谷彰子
古谷彰子さん

愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員、アスリートフードマイスター専任講師、発酵料理士協会特別講師として勤務するかたわら、ChronoManage代表として起業。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする時間栄養学を研究。科学的根拠をもとにした生活アドバイスや栄養指導、実体験をもとにした講演活動や食育活動、料理教室も開催している。経験と研究で得た確かなデータに基づく論文が好評。著書に『決まった時間に起きて食べるだけ 10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社)など。

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/大石久恵

 

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