昼は脂肪を蓄える働きが低下する時間帯。バランスよく食べて!
同じものを食べても太りにくい時間帯と、太りやすい時間帯があるのを知っていますか。
トンカツ、唐揚げ、ピザ、ラーメンなど、油っぽいメニューを食べたいときは、昼の時間帯がおすすめです。活動期の昼間は代謝力がアップして、摂取カロリーを燃焼できる時間帯。脂肪を蓄える作用が低下しているので、わりと自由に食べても問題ありません。ただし、昼間は食物繊維の摂取量が不足しやすいため、野菜を意識的にとる必要があります。
「野菜に豊富に含まれる食物繊維は、腸内環境を整えるとともに、血糖値の上昇を抑えてくれるので、ダイエットの心強い味方。ほうれん草やにら、セロリ、かぼちゃなどに含まれるカリウムには、余分なナトリウム(塩分)を排出する作用もあるので、高血圧の予防やむくみの改善にもおすすめです」
昼食は、朝食から4~5時間後にとるのが望ましいとされています。なぜなら、朝食を食べてから2~3時間ほどで血糖値が元に戻り、3~4時間後には体が次の食事を受け入れる準備が整うためです。
「何はともあれ、昼食抜きは厳禁。昼食を抜いてしまうと夕食をドカ食いして、食後血糖値が急激に上昇してしまいます。そうした食習慣を続けると、体内時計が乱れて太りやすくなるばかりか、メタボを招く心配もあります。それに、朝食や昼食をしっかりと食べずに夕食で糖質オフダイエットしたりすると、食欲が暴走してダイエットに挫折することになりかねません」
また、昼食の時間が不規則になると、夕方近くにずれ込まないよう注意が必要です。昼食が遅くなると夕食時にお腹が空かず、結果として夜遅くにお菓子などをつまむ習慣がつきやすくなります。こうした生活は代謝を落とすだけでなく、体内時計が後ろにずれる「夜型化」を招きやすく、太りやすい体質につながる原因にもなります。
「脂肪をため込みやすい夕方以降にハイカロリーの食事を控えるためにも、脂肪がつきにくい日中の時間帯にしっかり食べるように意識しましょう」
昼食には何を食べるといいの?
不足しがちな野菜(食物繊維)を意識的に補給。野菜ジュースを取り入れると便利
「家で食べる昼食はそうめんやパスタなどに偏りやすく、外食のセットメニューについているサラダもごく少量で、野菜不足に陥りやすいですよね。丼物や麺類などの単品メニューは、腸内環境を整えてくれる食物繊維が不足しがちです。サラダやほうれん草のごまあえなど、小鉢をプラスして野菜不足を補いましょう」
古谷先生によれば、私たちが1日に必要とする野菜の摂取量は350g以上(厚生労働省が推奨する成人1日の野菜摂取目標量)。
「ちょうど両手1杯分の生野菜が100gちょっと。この量が1食当たりでとりたい野菜の摂取量目安です。加熱調理した野菜であれば、片手1杯分の見当です。野菜は加熱するとかさが減り、たくさん食べることができるので、温野菜や具だくさんのスープや味噌汁にするのがおすすめ。市販のミックス野菜を使うと、つけ合わせのサラダを簡単に準備できて便利です」
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ラーメンを食べる30分前に野菜ジュースを飲むと、太りにくい!
1日に350g以上の野菜を摂取するのはなかなか大変。そんなときに役立つのが野菜ジュースです。ジュースに加工することで吸収がよくなる栄養素もあるからです。
「例えばトマトの場合はリコピンの吸収率が約3.8倍になり、にんじんはβカロテンの吸収率が約1.5倍アップします。しかも、リコピンもβカロテンも油脂と相性がよいので、揚げ物や炒め物などと一緒にとると、吸収がよくなります」
そして、野菜ジュースは飲むタイミングも重要。
「実は野菜ジュースを昼食の30分前に飲むと、血糖値の急上昇を抑えるという血液検査のデータがあります。
【食事前に野菜ジュースを飲んだ場合の血糖値最大変化量】

ラーメンやカツ丼などの脂っこいメニューを食べるときには、30分前に野菜ジュースを飲んでおくと、脂肪の吸収を抑えることができておすすめです」

外食するなら、食物繊維やタンパク質をプラスアルファ
外食のメニューは、パスタやラーメン、丼物などの単品、揚げ物など、油脂を使ったものが多くなりがち。その際、脂肪の吸収を抑えるためのコツは、野菜(食物繊維)やタンパク質がとれるメニュー構成を意識することです。
例えばラーメンなら、野菜たっぷりのタンメンをチョイス。さらに、チャーシューやゆで卵を追加すれば、タンパク質を補給できます。また、パスタにはサラダを、カツ丼にはほうれん草のおひたしや漬け物をプラスすると、炭水化物+たんぱく質+食物繊維のバランスがよくなります。
古谷先生のおすすめ昼食メニュー
★揚げ物などハイカロリーなメニューには、野菜の小鉢をプラス
天ぷら、トンカツ、鶏の唐揚げなどの揚げ物、カツ丼や天丼などの丼物を食べるときは、サラダやほうれん草のごまあえなど、野菜料理の小鉢を一品加えるように意識しましょう。野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べるように心がけると、血糖値の急上昇を抑えることができます。ラーメン、焼き肉など脂っこいメニューを食べる際は、30分前に野菜ジュースを飲むと、血糖値の急上昇を抑えることができます。
★コンビニで、おにぎりやパンを買うときにも、タンパク質+食物繊維をプラス
おにぎりやパンを食べるとき、「単品だけ」だと炭水化物に偏ってしまいます。スープまたは味噌汁、サラダチキン、ゆで卵、サラダを組み合わせ、主食と汁物、おかずの構成になるように意識しましょう。また、パンを食べるときは、チーズや卵、ツナ、チキンをトッピングしたもの、サンドイッチを選ぶと、タンパク質を補給できます。
★おうちで食べるときは野菜たっぷりのスープを
ごはんにもパンにも合うのが、具だくさんのスープです。さいの目に切ったベーコン、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどの野菜をトマトベースのコンソメスープでコトコト煮込み、大豆の水煮とショートパスタを加えると、炭水化物+タンパク質+食物繊維をしっかり摂ることができます。
また、さいの目に切った玉ねぎ、じゃがいも、シーフードミックスをバターで炒め、牛乳を加えたコンソメスープで煮たスープも、タンパク質+食物繊維の補給におすすめ。オートミールを加えると食物繊維量がさらにアップ。切った具材をスープジャーに入れて、保温調理すると便利です。
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【お話を伺った方】

愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員、アスリートフードマイスター専任講師、発酵料理士協会特別講師として勤務するかたわら、ChronoManage代表として起業。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする時間栄養学を研究。科学的根拠をもとにした生活アドバイスや栄養指導、実体験をもとにした講演活動や食育活動、料理教室も開催している。経験と研究で得た確かなデータに基づく論文が好評。著書に『決まった時間に起きて食べるだけ 10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社)など。
イラスト/かくたりかこ 取材・文/大石久恵


