実験1 “夕食の2時間前”にミックスナッツを食べると血糖値をコントロールできる!
第7回の「間食の食べ方実践編」で、「夕食の2時間前にミックスナッツとドライフルーツを食べると、夕食後の血糖値の上昇を抑える効果がある」と、古谷彰子先生にレクチャーしていただいたミックスナッツの効用。ミックスナッツといえば、ビタミン、ミネラル、良質な脂質、そして豊富な食物繊維をバランスよく含んだ栄養価が高い食材として知られています。
2024年5月に開催された「第78回日本栄養・食糧学会大会」にて、古谷彰子先生が参加する研究チームが「ミックスナッツ間食がもたらす更年期障害 症状への影響」について研究結果を発表し、大きな反響を呼びました。なんと、少量(個別包装1袋分・約150kcal)のミックスナッツを“夕食の2時間前”に、4週間にわたって毎日食べ続けたところ、唾液中の女性ホルモン濃度(エストロゲン、プロゲステロン)が上昇したのだそうですよ!
古谷先生の研究チームが実験に協力してもらったのは、更年期症状を自覚している18人の女性たち(40代~50代前後)。彼女たちを被験者として、【夕食前の間食なし】【夕食前にドライマンゴーの間食あり】【夕食前にミックスナッツ+ドライマンゴーの間食あり】という3つのグループに分けて、4週間にわたって比較・検証する実験を行ったのです。
「まずは血糖値を測定しました。すると、どのグループも“夕食から1時間後”に血糖値の上昇がピークになりましたが、【ミックスナッツ+ドライマンゴーの間食あり】のグループは、【間食なし】のグループに比べて、血糖値のピークの増加値が半分以下になるという結果が出たのです。また、【ミックスナッツ+ドライフルーツの間食あり】のグループは、“夕食から2時間後”には、夕食前よりも血糖値が低くなるという結果が見られました」(古谷彰子先生)
“夕食2時間前”の間食として、ミックスナッツ+ドライマンゴーを継続的に食べたことによって、インスリンの働きがよくなり、夕食後の血糖値の抑制効果があることが実証されたのです。

Furutani et al., submitted to Journal of Menopausal Medicine, 2025
ナッツとドライフルーツの専門店 小島屋HP参考
実験2 ミックスナッツを毎日食べたら、唾液中の女性ホルモン値が変化!
この実験では【夕食前の間食なし】【夕食前にミックスナッツを間食】【夕食前にドライフルーツを間食】の3つのグループに分けて比較・検証しました。すると、“夕食の2時間前”に【ドライフルーツを間食】したグループは、女性ホルモン値の変化がほとんど見られず、【夕食前の間食なし】のグループとほぼ同様の結果に。でも、【ミックスナッツを間食】したグループでは、唾液中から検出した女性ホルモン値(エストロゲン、プロゲステロン)の上昇が見られました。
つまり、1日に少量のミックスナッツを食べることによって、更年期に低下するエストロゲンとプロゲステロンの分泌量の低下が、わずかに抑制された可能性が示唆されたのです。

Furutani et al., submitted to Journal of Menopausal Medicine, 2025
ナッツとドライフルーツの専門店 小島屋HP参考
「実験前と実験後、18人の女性被験者(40代~50代前後)に、更年期の不快症状についてアンケートをとったんですよ。すると、ミックスナッツ(個別包装1袋分、約150kcal)を“夕食の2時間前”に、4週間にわたって毎日食べた人たちから『ホットフラッシュ、寝汗などの不定愁訴が軽減された』と、うれしい報告が寄せられました」
実験3 ミックスナッツを毎日食べたら、心身の不調の軽減に役立った
次の実験は「ミックスナッツを間食することで、更年期の心身の不調を改善できるか?」をテーマに、【夕食前の間食なし】と【夕食前にミックスナッツを間食】の2グループに分けて実施。
「4週間にわたるミックスナッツの間食ごとに、『更年期の不定愁訴スコア』を試験前後に測定しました。まずは簡略更年期指数(更年期症状の程度を把握する指数)が示す、更年期特有の不快症状10項目に注目し、実際に症状が軽減できたかどうかを調べました」
10項目の不快症状は以下のとおりです。
<精神衛生面>
・寝つきが悪い、または眠りが浅い
・くよくよしたり、憂うつになることがある
・怒りやすく、すぐイライラする
<血管・循環器>
・足腰が冷えやすい
・動悸、息切れがする
・顔や体がほてる
・汗をかきやすい
<全体>
・疲れやすい
・肩こり、腰痛、手足の痛みがある
・頭痛、めまい、吐き気がある
「実験後、“夕食の2時間前”にミックスナッツを間食したグループの『心身の不調』を表わすスコアが減少しました。特に、『寝つきが悪い、または眠りが浅い』『くよくよしたり、憂うつになることがある』『怒りやすく、すぐイライラする』という3項目において、ミックナッツを間食した人たちの症状が緩和した様子がスコアの上で顕著に表れています」
1日に少量のミックスナッツを間食したことによって、ホットフラッシュはもちろんのこと、メンタルの不調改善にも役立つという結果が出たのです!」
【ナッツ間食で心身の不調は改善できるか?】

Furutani et al., submitted to Journal of Menopausal Medicine, 2025
ナッツとドライフルーツの専門店 小島屋HP参考
◆アーモンドミルクを飲むなら、朝食とともにとるのがおすすめ
ちなみに、アーモンドミルクを飲む場合は、時間栄養学的にはどの時間帯がいいのでしょうか。
古谷先生によれば、「ミックスナッツは“夕食の2時間前”に間食として食べるのがおすすめですが、アーモンドミルクを飲む場合は、朝食と一緒にとるのがよいですね」とのこと。
アーモンドミルクは、アーモンドを細かくすりつぶして水を加えたもの。実は、細かくすりつぶすことによって、アーモンドの栄養素の吸収率が高まることがわかっています。
「アーモンドに含まれるオレイン酸はアーモンドミルクでとるほうが、吸収率が2倍近くアップします。オレイン酸には血液中の悪玉コレステロールを減らし、体脂肪がたまりにくくなる働きがあるので、更年期世代にとってうれしい栄養素。また、アーモンドには抗酸化成分のビタミンEが豊富に含まれていますから、朝とることで、酸化ストレスから体を守る効果があるとされているんですよ」
毎朝コップ1杯のアーモンドミルクを飲む習慣が、ダイエットや生活習慣病予防、アンチエイジングにも役立ちます。
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★朝食におすすめ! アーモンドミルクと組み合わせてとりたい簡単メニュー
・ツナサンド+アーモンドミルク
ツナには、体内時計のリセット効果があるDHA、EPAが豊富に含まれています。朝忙しいときもコンビニで買って、手軽に栄養を摂取できます。
・フルーツグラノーラ+アーモンドミルク
フルーツグラノーラは、朝におすすめの炭水化物。食物繊維が豊富に含まれているので、便秘改善の効果が期待できます。
【お話を伺った方】

愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員、アスリートフードマイスター専任講師、発酵料理士協会特別講師として勤務するかたわら、ChronoManage代表として起業。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする時間栄養学を研究。科学的根拠をもとにした生活アドバイスや栄養指導、実体験をもとにした講演活動や食育活動、料理教室も開催している。経験と研究で得た確かなデータに基づく論文が好評。著書に『決まった時間に起きて食べるだけ 10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社)など。
イラスト/かくたりかこ 取材・文/大石久恵


