患者さんに睡眠に関する悩みを相談された場合、医師はどのような対応をするのでしょう? 内科医、抗加齢医、婦人科医の女医3人にざっくばらんに語っていただきました!
(写真左から)
飛田砂織さん Saori Tobita
クリニックシュアー銀座 美容皮膚科・抗加齢医学 50歳
常喜眞理さん Mari Joki
常喜医院 内科 55歳
今井 愛さん Manami Imai
麻布十番まなみウィメンズクリニック 産婦人科 52歳
ひと口に「眠れない」といっても
症状は人それぞれ
今井 私のところに来る患者さんで睡眠の悩みを訴えるのは、やはり更年期の方が多いですね。入眠障害もあれば途中覚醒もあり、症状はいろいろです。女性ホルモンの減少の影響でうつっぽくなったり、寝ている最中に汗をかいて、パジャマがびっしょりになって起きてしまうという人もいます。
常喜 先日、「眠れない」という30代の女性患者さんが来ましたが、睡眠障害以外にも肌や胃の不調などさまざまな症状があって、かなり自律神経が乱れている状態。「何か根本的な理由があるのでは?」と聞いたところ、「家庭にストレスを感じる。一人になりたい。仕事もやめたいがやめられない」と。かなり疲れているようでした。
飛田 お薬はどんなものをお出ししたんですか?
常喜 その方はほかでもいろいろ出されたことがあり、飲むとフラフラする薬などもあったようなんです。なのでまずはちゃんと効く胃薬、痛み止め、安中散(あんちゅうさん)のような漢方を処方。そして服用時の注意をご説明したうえで、レンドルミンを処方しました。
今井 なるほど。うちにも最初から「眠剤(睡眠薬、睡眠導入剤)をください」と言う人が来ます。でも何から出せばいいのか迷うんですよね。寝つきが悪い場合はマイスリーかレンドルミンで始めますが、「眠れるけど持続しない」という人には、次に何を出したらいいのかなと思って。
常喜 推奨されているのは睡眠のホルモンに関係する薬ですけれど、効き目が弱いんですよね。眠らせる方向にパッと持っていくならば、やはり導入剤になると思います。ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系がありますが、非ベンゾジアゼピン系のほうが筋弛緩性などの副作用が少なく、ベターだといわれていますね。
今井 マイスリーやアモバンですね。
常喜 そうです。反対にベンゾジアゼピン系だと、レンドルミン、ハルシオン、サイレース、ベンザリン、デパスなど。ただし眠剤には依存性があるものもあります。
「毎日1包、穏やかな眠りが得られるグリマグを内服。メラトニンで翌日眠気が残る人にもおすすめ。テアニンも睡眠導入のような感じで日常的に軽く飲めます。緑茶に多く含まれる成分で、脳が疲れているときにα波を出してリラックスさせる効果があります。私は寝る前に2錠飲んでいます。スリープソルーションは、メラトニン、グリシン、テアニン入りの1回分のドリンク。しっかり眠りたいときや旅先など、大切なときに服用します。ギャバは脳内物質で、リラックス効果が。いずれのサプリメントもクリニックで処方可能です」(飛田先生)
次回は「内科医、抗加齢医、婦人科医が語る『不眠治療』の現在/サプリメントに頼る方法も」をご紹介します。
撮影/森山竜夫 ヘア&メイク/田代ゆかり イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子