先進医療保険やがん保険、どうしてる?④
素敵女医メンバーですら、「なんとなく入ったものの、詳しいことはよくわからない」という声が多い保険。「5つの保険に入っていますが、肝心のがん保険には未加入です」という眼科医の宮澤優美子先生が、医療ソーシャルワーカーの坂本はと恵さんに、保険について聞きました。
宮澤優美子さん
Yumiko Miyazawa
56歳 眼科/表参道内科眼科
「複数の保険に入っていて、これ以上は不要だと思っています。がんに特化したものには入っていませんが、専門家の意見を聞きたいです!」
坂本はと恵さん
Hatoe Sakamoto
国立がん研究センター東病院 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー。現在、同院サポーティブケアセンター副センター長も務める
保険でわからないことは専門家に相談するのもアリ
宮澤 先進医療は厚生労働省が認めている定義に基づく治療法で、定期的に見直されるものですね。厚生労働省のホームページに一覧表が出ています。
坂本 現時点で、がんの先進医療は陽子線治療くらいでしょうか。私の勤務先の病院でも実施していますが、一連の治療で費用は約300万円ほどです。
宮澤 わあ、それは高い! ほかに、私のようなシングル女性が注意すべきことがあったら教えてください。
坂本 マンションなどを購入するときに入る、住宅ローンの「団体信用生命保険」ですね。これに入っていなかったばかりに、がんになった途端にローンの支払いが滞り、家に住めなくなった人がいます。診断された時点で返済が免除されるものと、就業不能になって一定期間が過ぎたあとに免除になるものとがありますが、この保障の有無でその後の経済状態が大きく変わるので、一度確認してみてください。
宮澤 わかりました。
坂本 あと、前回「がん診断一時金」のお話をしましたが、これはがん関連の遺伝子検査をしたい、治療を始める前に卵子を保存しておきたいという場合にも使えます。いずれも費用的に数十万円かかるので、若い人はなおさら、まとまったお金を自分の体のために使える「条件づけされていない」保険に入っておくと安心です。ただし掛け金が高いので無理は禁物ですが。
宮澤 確かに、欲張っていると月々の支払いがすごいことになってしまいますね。こういう保険関連の相談は、どこでしたらいいのでしょう?
坂本 各地に増えてきている、保険相談の窓口を利用するのもいいでしょうし、地元の役所や銀行などでもファイナンシャルプランナーを招いた無料セミナーを開催していることがあります。また、がん診療拠点病院や一部の病院では、がんの患者さんやご家族のために、無料でファイナンシャルプランナーのセミナーや相談日を設けているところもあります。治療しながらやりくりするにはどうしたらいいか、相談に乗ってもらえます。
宮澤 そういう機会は積極的に利用すべきですね。私は現在がん保険に入っていないのですが、今回お話を伺ってやはり入っていたほうがいいなと思いました。さっそく調べてみます。
坂本 今は入院より在宅療養の期間のほうが長い時代です。ぜひ安心して治療に専念できる保険を選んでください。
撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/木下庸子 取材・原文/上田恵子