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パニック症とは「究極の不安症」。発作の恐怖感から引きこもりになることも。/教えてDr.!第8回

ちょっと気になる病気 教えてDr.! パニック症

 

私がお答えします!
医療法人和楽会理事長、
パニック症研究センター代表
貝谷久宣さん Hisanobu Kaiya

「なごやメンタルクリニック」「心療内科・神経科 赤坂クリニック」「横浜クリニック」ともに理事長。日本におけるパニック症に関する治療・研究のパイオニア。著書多数

 

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相談

突然、ひどい不安に襲われます。それが怖くて、最近は外出を控えるように。そのうち治るものなのでしょうか?

 

答え

パニック発作だけでなく、発作が起こると考える予期不安もやっかいです。生活に支障が出るようなら専門医に相談を。

 

 

パニック症とは?
突然起こるパニック発作…
その恐怖感から引きこもりになることも。

 

パニック症とは「究極の不安症」。

 

突然、激しい呼吸困難などのパニック発作が起こる病気です。本来は、時や場所を選ばず、家でリラックスしているときや寝ているときでも、突然起こります。

 

しかし一度発作を経験すると、恐怖を感じたり、緊張する場面など、なにか引き金があって起こる場合もあります。

 

その症状は動悸やめまい、吐き気などの身体症状として現れ、中には「心臓が破裂して、口から飛び出るのではないか」「このまま死んでしまうかも」と思うほど激烈なこともあります。

 

しかし、その発作は多くの場合は30分以内でおさまります。

 

この発作による生命の危険はありませんが、繰り返し起こることで、発作への不安や恐怖感が頭から離れなくなります。

 

これを「予期不安」といい、やがて発作を予感する場所や状況そのものが恐怖の対象になり、その状況を避ける「回避行動」をとるようになります。

 

 

実は発作そのものよりも、この予期不安のほうが長く続きます。回避行動が続くと、しだいに「広場恐怖症」になっていきます。「広場」とは広い場所ではなく、例えば、飛行機や電車、エレベーター、人混みなど、発作が起きても逃げられない場所や、すぐに助けを求められない状況のこと。

 

こうした場所を恐れるようになると、行動範囲が狭くなり、人との接触を避け、引きこもりにつながることも。パニック症が長引くと、うつ病を併発することもあります。

 

不安や恐怖が根底にあるほかの病気に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)がありますが、その違いは、PTSDはトラウマが病気の原因なのに対し、パニック症は病気そのものがトラウマになる点です。

 

パニック症を発症しやすいのは、根底に“不安気質”がある人です。例えば、幼少期に母親から離されるなどの経験で「分離不安症」になったり、学童期や思春期に自分に自信が持てず「社交不安症」に陥った人などに多く見られます。

 

受診は心療内科、神経科、精神神経科を。診断は内科的な検査でほかの病気が隠れていないかを確認した後、おもに問診で行われます。

 

治療は発作をコントロールする薬物療法のほか、「認知行動療法」によって思考のクセを直したり、「暴露療法」で不安な場面に慣らしていくなどの精神療法も行います。

 

患者さんは、規則正しい生活を心がけ、ストレス解消やリラックスできる方法を身につけたり、軽い運動で体を動かすことも重要です。

 

まとめロゴ

自分で行う対策

  • ●規則正しい生活や呼吸法などで自律神経を整える。
  • ●ストレスの解消、軽い運動を行う。

 

病院で行う治療法

  • ●薬物療法、カウンセリング、認知行動療法、暴露療法。

 

 

イラスト/macco 取材・原文/山村浩子

 

 

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