歯のトラブルが出やすいアワエイジ世代。治療の選択肢としてインプラントがありますが、オペが怖い? 痛い? 20年もつ? など、素敵女医二人にじっくり語り合っていただいた対談の最終回です。
佐藤恵子さん Keiko Sato
47歳 歯科 Kデンタルオフィス茅場町
東京医科歯科大学歯学部卒業。元摂食機能保存学講座所属。日本歯周病学会所属
坂本紗有見さん Sayumi Sakamoto
59歳 矯正歯科・歯科 銀座並木通り さゆみ矯正歯科デンタルクリニック81
日本アンチエイジング歯科学会所属。著書に『歯周病、口臭、むし歯を防ぐ 1分間「殺菌ベロ回し」』(アスコム)がある
インプラントをするなら、家族や周囲に知らせておくことが大事
佐藤 紗有見先生は自身の歯について考えたときに、インプラントは選択肢に入れていますか?
坂本 私はどうしても踏みきれないんです。まずオペが怖いし、痛いのも苦手。そんな恐怖を経て入れたものが、20年もつのだろうかと不安になってしまう。もちろん入れ歯より嚙みやすいというメリットもありますが。
佐藤 私は歯科医として経験しておくのもいいかなとも思いますが、やるとしても、信頼できる医師に施術をしていただくのが大前提だと思います。
坂本 肯定派の先生は「インプラントで人生が変わる」とおっしゃいますね。またブリッジは、両脇の歯を削って作製するので、もしそれが健全な歯の場合、非常にもったいないと感じてしまいます。
ただ、しっかりとセルフケアをして、並行してプロのケアも受けていくなら悪くはないかもしれません。私としては、きちんと嚙める入れ歯を作製できるなら、それがいちばんいいと思っています。
佐藤 インプラントをするなら、家族や周囲に知らせておくことが大事。年をとって認知症になったとしても、施設の人はその人の歯がインプラントかどうかわからないわけですから。
坂本 前もって自己申告が必要ですね。
佐藤 インプラントを入れたあと、周辺の歯肉が炎症を起こすと、出血してまわりの骨も失ってしまいます。そこの血管から細菌が入って全身に回るので、心臓病、アルツハイマー型認知症、糖尿病など、いろいろな病気にも関連します。
歯のトラブルが出やすいアワエイジ世代
坂本 40代、50代になると、体と同じように歯にもさまざまなダメージやトラブルが出てきますよね。
佐藤 日本の場合は基本が保険診療のシンプルな治療なので、早めにやり直しになってしまいます。マイエイジの読者は、まさに保険診療でくり返し歯を削ってきた世代といえるかもしれません。
保険の治療だと、10年も経つと接着剤が壊れて溶けて、二次的な虫歯を生じていることが多いんです。検診でレントゲンを撮り、口の中を見ながら確認することで、ご本人が気づかない虫歯を発見できます。
坂本 やり直す際、セラミックにばかり目を向けていると歯を失うこともあるので、注意が必要ですよね。セラミックは見た目はいいけれど硬い。
硬いもの同士が当たると欠けるおそれがあるし、治しても根っこにダメージが出てしまうこともあります。キラッと光るので見栄えは悪いですが、歯には金合金がいちばんいいと思います。
佐藤 そうですね。セラミックは厚みが必要なので、歯をかなり削ることになります。その点、金合金はセラミックより削らなくてもいい。しかも普通の歯と同じようにすり減っていきます。ただ、今は金の価格が高騰しているので費用はかかりますが。
坂本 健康の要といわれる歯。コロナ禍でいろいろ大変ですが、ずっと自分の歯で嚙めるよう、しっかりケアしていきたいですね。
「シンセーショナルスマイルは、院内でのオフィスホワイトニングと、その後使う、ホーム用タッチペンのキットです。タッチペンで歯に薄く薬剤を塗り、マウスピースをはめて20分。あとは口をすすぐだけ。手軽に歯の白さをキープできます」(坂本紗有見先生)
「唾液は、歯周病や虫歯の原因菌、口臭などを撃退できる“天然の消毒液”。でも加齢とともに少なくなりがちなので“殺菌ベロ回し”をぜひ! やり方は1回1分、口を閉じて上から下にぐるりと舌を回すだけ。じわっと唾液が下あごの内側にたまってきます。舌のエクササイズにもなり、唾液も出やすくなります」(坂本紗有見先生)
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子