コロナ禍での生活スタイルの変化によって陥る、心身の不調。それを回復するために必要な「アナログライフ」を自ら実践中というハーバード大学&ソルボンヌ大学医学部客員教授・根来秀行さんに伺いました。
コロナ禍でこそ追求したいアナログライフ
新型コロナの登場からはや2年。多くの人が生活習慣を変えざるを得ない状況に。体を動かす時間が減り、食事時間もバラバラ、夜遅くまでインターネット漬けで睡眠不足…。その結果、免疫機能が低下し、コロナうつなど心身の不調に陥る人が続出しました。
僕は一貫して、自然の理に基づいた生活習慣の重要性を唱えてきましたが、はからずもコロナ禍において色々なことが制約される中で、そのことが証明されたと思います。
いずれコロナが収束したとき、テレワークなどIT化の流れの中で生まれた生活スタイルは定着し仕事の効率が上がる一方、心身へのダメージも引き続き問題になるでしょう。そこから回復するために必要なことはアナログ的な生活スタイルだと思います。
例えば、テレワークで移動時間が減った分、日常的に歩く。僕はどんなに忙しくても、大学や病院の中でエレベーターを使いませんし、1〜2㎞くらいの距離なら歩いて移動します。昨年の1日の歩数は平均14000歩。コロナ前より増えました。
あと僕は音楽が大好きで、聴いたり弾いたり作ったりしますが、基本的には打ち込みではなく、ピアノやギターなど、楽器を使います。生の楽器の響きが奏でる波長の心地よさは科学的にも根拠があり、生音で作った音楽は自律神経を整え、免疫を高めることにもつながります。
効率が悪く一見無駄と思われるものにこそ、本質がある。コロナ生活の中で便利さを追求するだけでなく、アナログ的なことをあえて体験することで、体が本来持っている自然免疫が引き出され、その人らしい生き方が身についていけばいいなあと思います。
毛細血管ケアのバイブル
『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』
根来秀行 著/集英社
1,375円
毛細血管を元気にして免疫機能を高める具体的なメソッドが満載
根来秀行さん
Hideyuki Negoro
ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』 『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業「毛細血管」は増やすが勝ち!』(ともに集英社)など著書多数
撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン 構成・原文/石丸久美子