巻き爪についての勘違いが意外と多いのです
さまざまな爪のトラブルを診察している塩之谷香先生。「巻いている爪は平らにし、炎症を起こしている爪は治療し、欠けている爪は人工爪を使用して修復する。『患者さんの爪を本来の形に戻す』ことをポリシーとして、爪の外来を行っています」と言います。
塩之谷香先生が日頃診察していて感じるのは、「巻き爪」と「陥入爪」の区別がついていない人が多いこと。
「巻き爪は内側に爪が巻いている状態、陥入爪は爪のふちが刃物のように皮膚にくい込み、痛みや炎症を起こしている状態をいいます。『化膿しているから消毒』『ばい菌が入っているから抗生剤』といった治療を受けているケースが多いのですが、感染が原因ではないので、薬を塗っても爪のくい込みが解消されなければ根治はしません」
くい込んでいる部分の爪を切れば一時的に痛みはなくなるものの、爪が伸びれば再びくい込んでしまいます。まずはくい込んでいる部分にテーピングやチューブを使う治療をし、くい込みを解消することが重要なのだそう。
巻き爪と陥入爪の違い
内側に爪が巻いているのが巻き爪。爪のふちが刃物のように皮膚にくい込み、痛みや炎症を起こしているのが陥入爪です。陥入爪は、爪のカーブ自体は健康な爪と変わらないケースが多いもの。痛いからと足の指を浮かせて歩いていると徐々に爪が巻き、陥入爪と巻き爪が合併した、治りにくい状態になってしまいます。
●巻き爪
爪が成長する過程でふちが横方向に丸くなり、内側に巻いた状態。健康な爪は緩やかなカーブですが、カーブが強くなると巻き爪に
●陥入爪
爪のふちが刃物のように皮膚にくい込んだ陥入爪。深爪や足に合わない靴が原因で起こります。陥入爪と巻き爪が合併することも
なぜ巻き爪になるの?
爪にはもともと巻く性質があり、足の爪は下方から力が加わることによって平らになります。手の爪もケガやまひなどで使わずにいると巻いてきます
塩之谷 香さん
Kaori Shionoya
62歳 整形外科
塩之谷整形外科
「爪の外来で、毎日50人ほどの爪の患者さんを診ています。巻き爪で悩んでいる人は多いですね。巻いている爪は超弾性ワイヤーを使って治療。患者さんの本来の爪の形に戻すことを目指して治療しています」
撮影/素敵女医 イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子