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【専門医に聞きました】気象病(天気病)・突発性難聴・逆流性食道炎、気になるこの病気の初期症状は? セルフケアの方法は? そして治療は?

原因がわからないけれど辛い、 気象病(天気病)・突発性難聴、そして現代病ともいえる逆流性食道炎。よく耳にするけれど、どんな症状なの? 発症したらどうすればいいの?それぞれの専門医が教えてくれました。

気象病
気圧、温度、湿度などの気象変化でさまざまな不調が現れます。

気象病

相談

雨が降る前になると頭痛やめまいがします。天気と関係があるのでしょうか?
改善する方法はありますか?

雨が降る前になると、頭痛がしたり、体がだるくなることはありませんか? 気象の変化に伴って起こる不調のことを、昨今、「気象病」や「天気病」などと呼んでいます。

 

正式な病名ではないため、医療従事者の間でも、まだあまりなじみがないことも。しかしながら、実際にはそうした症状に悩まされている人がとても多く、私のクリニックの「気象病外来」では、1カ月の新規患者数は50~70名ほど。

 

その症状は頭痛を筆頭に、全身倦怠感、めまい、耳鳴り、吐き気、肩や首のこり、血圧の上昇・下降、手足のしびれ、関節痛、動悸、不安感、咳など、実に多岐にわたります。なかには古傷が痛む…という人も。

 

こうした不調がいちばん起こりやすいのが、気象の中でも「気圧が変化するとき」です。気圧が急激に上昇したり下降したりすると、その情報は耳の奥の「内耳」で感知され、脳から自律神経へと伝わり、体を順応させようとします。これが不調の原因です。

 

飛行機や高層ビルのエレベーターに乗ったとき、耳がキーンとなりますが、この状況と同じようなことが起こるわけです。

ほかにも気温の寒暖差や湿度(特に多湿)で起こる人も。気温差の大きい春先、低気圧が続く梅雨の時季、夏から秋の台風シーズンは要注意!

同じ状況下でも、体調不良が起こる人と起こらない人の差は、内耳の敏感さだと考えられています。特にデスクワークが多く運動不足の人、更年期の女性に多い傾向があります。

自分で行う対策

  • ●不調と気象との関係性を観察し、早めに対応する。
  • ●耳マッサージや姿勢の改善など。

 

病院で行う治療法

  • ●鎮痛薬、抗めまい薬、筋弛緩薬、漢方薬などの投薬治療。
  • ●ストレッチや運動指導。

 

せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅 司さん【私がお答えしました!】せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅 司さん
総合内科専門医、神経内科専門医。東邦大学医療センター大森病院などで臨床経験を経て現職。特に「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」を設け、天候と不調の関係にフォーカスした治療にも尽力

 

突発性難聴
ある日突然、なんの前触れもなく片方の耳の聞こえが悪くなる病気です。

突発性難聴

相談

朝起きたら、突然、耳が聞こえにくくなりました。これが突発性難聴というものなのですか?
原因はなんですか?

私たちの耳は、加齢に伴って体力が低下するのと同じように、聴力も落ちていきます。これが加齢性難聴で、10年、20年かけてゆっくりと進行します。

 

一方、突発性難聴はある日突然、なんの前触れもなく発症するのが大きな特徴です。突発的に発症した感音(かんおん)難聴(内耳の聴神経で起こる難聴)のうち、原因がはっきりしないものを突発性難聴と呼んでいます。

 

日本では年間1万人に1~3人ぐらいの割合で発症し、特に40代~60代の働き盛りの男性に多いのですが、近年は女性にも増えており、患者は増加傾向です。

 

ある日、朝起きたら突然、テレビの音や電話の声が聞こえにくくなる…、また発症の直前に、耳鳴りやふらつきが出ることもあります。

 

誘因は過度の疲労やストレス、慢性的な寝不足、生活習慣病などによる血流障害、内耳部分のウイルス感染などといわれていますが、実のところ、はっきりわかっていません。

 

突発性難聴には症状が似た疾患が多くあるので、問診や聴力検査、MRI検査などを必要に応じて行い、診断していきます。中には、聴こえにくい理由がたまった耳垢だったというケースもあります。

 

突発性難聴のもうひとつの特徴は、難聴やめまいなどの症状が一度しか起こらないことです。何度も繰り返すようならメニエール病が考えられます。また外(がい)リンパ瘻(ろう)という、内耳の窓に穴があく疾患なら、緊急手術が必要です。

 

聴力低下の程度は人によって違い、軽症の場合は通院しながらの治療も可能ですが、重度の場合は入院がすすめられます。

 

この病気の治療効果は、聴力が「完全に戻る」「まったく戻らない」「その中間で、ある程度戻る」に分けられます。中には「耳の狭心症」と表現する医師もいるほど。決して放置していい病気ではありません。

 

治療は発症から遅くとも1週間以内に始めること! 症状を感じたら、すぐに耳鼻咽喉科を受診して、一刻も早く治療を始めることが、何より重要です。

 

自分で行う対策

  • ●睡眠をしっかりとって、疲れや精神的ストレスをためない。
  • ●聞こえにくいと思ったら、すぐに専門医を受診する。

 

病院で行う治療法

  • ●内服や点滴の薬物療法(ステロイド剤、血管拡張薬、ビタミンB12製剤、代謝促進薬など)。

 

石井正則さん JCHO 東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長【私がお答えしました!】JCHO 東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長 石井正則さん
専門は神経耳科(難聴・めまい・耳鳴り)、内視鏡下鼻内手術、航空宇宙医学、心療耳鼻咽喉科、動揺病・宇宙酔い。ヨガのインストラクターでもある

 

逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流して体の不調を引き起こします。

逆流性食道炎

相談

最近よく胸焼けがするのですが、どんな病気が考えられますか?
対策としてどんなことに気をつけるべきでしょうか?

胸焼けがする、喉に苦酸っぱいものがこみ上げてくる。そんなつらい症状があるなら、逆流性食道炎かもしれません。これは胃の中の胃液が食道に逆流する病気です。

 

口から食べたり飲んだりしたものは食道を経由して胃に運ばれます。通常は食道と胃の境目にある噴門という部分の括約筋により逆流しないようになっているのですが、なんらかの理由でこの機能が衰えると、胃液が食道に逆流することがあります。

 

胃液には、食べ物を消化したり細菌を殺す消化酵素や胃酸が含まれていて、その力は食べた肉を溶かすほど。胃自体は粘液で守られているので溶けることはありませんが、この酸性の強い胃液が逆流すると、食道に炎症を起こしてしまいます。

 

その結果、胸焼けやみぞおちの痛み、ものが飲み込みにくかったり何か詰まったような違和感、声のかすれなどの症状が生じます。胃液が気管に入ると慢性的な咳の症状が現れることも。

 

また、食道炎が進むと、潰瘍や食道狭窄(きょうさく)、食道腺がん、誤嚥(ごえん)性肺炎になることもあるので、放っておいていいことはありません。

 

おもな原因は加齢と生活習慣です。欧米に比べて日本では少ない病気でしたが、近年は国内でも増加傾向にあります。

 

理由は、食事の欧米化や高齢者の増加。また、ピロリ菌の駆除が進んで感染率が低下したために、胃酸の分泌が増えたことも一因と考えられています。

胃酸分泌抑制剤や消化管運動賦活剤などの薬物療法を行うと、症状は比較的すぐに解消します。しかし、長期使用は骨を弱くするなどの副作用もあるため、薬物は一時的な使用に抑え、何より「生活習慣の改善」が重要であると心得てください。

 

自分で行う対策

  • ●動物性脂肪、甘いもの、刺激物、アルコール飲料をとりすぎない。
  • ●禁煙。
  • ●便秘の解消。
  • ●腹部が圧迫される衣類や姿勢を避ける。

 

病院で行う治療法

  • ●生活指導、薬物療法(胃酸分泌抑制剤、消化管運動賦活剤など)、重度の場合は手術療法も

 

おおたけ消化器内科クリニック院長 大竹真一郎さん【私がお答えしました!】おおたけ消化器内科クリニック院長 大竹真一郎さん
総合内科専門医、消化器病専門医。便秘などの腹部症状を中心に患者の診療に当たるかたわら、メディアで医療情報を発信。著書に『つらい「逆流性食道炎」は自分で治せる!』(学研プラス)など

 

イラスト/macco 取材・原文/山村浩子

 

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